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【ブガッティ T13 ブレシア(1923年型)】もはや芸術品!自動車文化の黎明期に誕生したスポーツカー
目次
発売される車は億越えカーメーカー・ブガッティの歴史
ブガッティ 最新モデル シロン ディーボ
フランス・モルスハイムに本拠を置くブガッティの創業は1909年。自動車がいよいよ大量生産されるようになり、富裕層の乗り物から大衆層への乗り物となる黎明期に誕生しました。創業者はイタリア・ミラノ生まれの技術者「エットレ・ブガッティ」。彼の生まれた家系は画家やデザイナー・彫刻家など、芸術に秀でた才能をもつものが多く、彼自身も当初は美術学校で学ぶこととなります。
美術学校に進学するも自動車の開発に興味をもったブガッティは、まだ10代であった1898年「ブガッティ・タイプ1(T1)」を設計。1902年にはタイプ2となるT2を開発し、その車はミラノで開催された自動車博覧会で賞を受賞します。T2は数々のカーメーカーから注目を浴び、T3からT10までが次々と開発され、ついに独立。モルスハイムでの創業となったのです。
芸術的な美しさと高性能エンジンが特徴のブガッティの車はレースでも強く、名を馳せますが経営は思うようにはいかず1950年代には会社は一旦消滅。紆余曲折を経ながら現在はフォルクスワーゲン傘下で「ブガッティ・オトモビル」としています。ブガッティの開発する車は今でも高級車として知られ、ヴェイロンやシロン、最新モデル「シロン ディーボ」にいたるまで販売価格は、軽く億を越えてしまうほどのスーパーカーばかりなのです。
T13ブレシアとは優勝を飾ったデビューレースの地名から
ブガッティ T13のデビューは1910年。モルスハイムに拠点を構えた翌年に誕生したその地での記念すべき第一号モデルです。当時の車と言えば大排気量が当たり前だった定説を覆し、ブガッティが考案したT13は1.4L。それまで考えも及ばなかった小型スポーツカーの分野を開拓したパイオニアと言えるでしょう。
コンパクトで高性能なエンジンをもつT13は、ちまたでも評判を得て大ヒットとなり、T13の拡大版となるT15、ツーリングカー仕様のT17など続々と改良モデルが発表されますが、第一次世界大戦の激化により販売は一旦停止。再開されたのは大戦終了後の1921年です。
1921年再デビューをはたしたブガッティ T13は、イタリア・ブレシアで開催されたイタリアGPレースに挑み、初戦でいきなり優勝を飾りそれ以降レースで断トツの強さを誇るように。この活躍からT13は通称Brescia(ブレシア)と呼ばれることとなったのです。T13ブレシアはこののち、エンジンをパワーアップさせたT22・T23へと進化。「ブレシア モディフィエ(ブレシア 改良型)」として人気を博しました。
エンジンは当時の最先端!T13ブレシアのスペックとは?
小型高性能スポーツカーとして名を馳せたブガッティ T13ブレシア。パーツの隅々、リベット留めにいたるまで芸術的細工がなされ美しい造形美を誇りますが、ホイールベースはわずか2,000mmしかありません。現在小型スポーツカーとして有名なロータス・エリーゼの2017年モデルでは、ホイールベースは2,300mm。いかにT13ブレシアが小さかったがわかります。
エンジンは1.4L 水冷直列4気筒に、当時としては最先端システムとなるSOHC(吸気と排気を1つのカムシャフトで駆動する方式)が採用され8バルブ、1914年にはバルブ数は16バルブとなり、最高出力は30HPとしました。
ブガッティ T13ブレシアは1910年から1925年まで製造されますが、その年代を分けるとき目安となるのがラジエター・グリルの形状です。おおまかに分けると、初期が6角形で、後期型が洋ナシ形となる楕円形。楕円タイプも底部が逆ハート型となるタイプや真っすぐとなるタイプに分かれています。
ブガッティ T13ブレシアの価格はオークション級
T13ブレシアの価格は、ブガッティの創業地での第一号となる歴史的価値やレースでの逸話、車の枠を超えた芸術性の高さからオークション級となっています。参考までに2015年6月に開催されたフランスでのオートモービル・ソリション8では、バーンファインド(納屋・物置などから発見された個体)となるT13ブレシアが約1億2,000万円で落札され、話題となりました。
ブガッティ T13ブレシアのスペック表
4速MT
エンジン | 水冷直列4気筒SOHC |
---|---|
最高出力 | 30HP/- |
最大トルク | – |
ボディサイズ | 全長:3,000mm 全幅:- 全高:- ホイールベース:2,000mm |
車両重量 | – |
トランスミッション | – |
駆動方式 | FR |
乗車定員 | 2人 |
新車時車両価格 | – |
撮影:MOBY編集部(ジャパン・クラシック・オートモービル 2019で撮影)
- 執筆者プロフィール
- 石黒 真理