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ボルテックスジェネレーターで空力性能は向上する?効果・原理や採用車種からおすすめ後付けパーツまで
目次
ボルテックスジェネレーターとは?|原理・効果を解説
テールランプに設置された突起状のボルテックスジェネレーター
最近の車ドアミラーやリアエンドに見られる突起状の物体は、ボルテックスジェネレーターと呼ばれる装置です。「ボルテックスジェネレーター」を和訳すると「渦発生装置」となります。
元来は軽飛行機やグライダーなどの翼面上に取り付けられ、気流を整えて安定した飛行をするための装置でしたが、空力性能を向上させるために車に転用されました。
ボルテックスジェネレーターの原理を説明するとともに、具体的にどのような効果をもたらすかを解説します。
ボルテックスジェネレーターの原理
ボルテックスジェネレーターの歴史は意外なほど古く、1930年代にはすでに考案され、模型飛行機の風洞実験によりその有用性が確認されていました。
空気は速度が上がると、オイルのように粘性を帯びる性質があります。滑らかな曲面では面に沿ってスムースに流れますが、 ボディの凸凹や切り立ったルーフエンド付近では、ボディから剥がれた空気は複雑な乱気流となって停滞し、空気の流れを妨げてしまいます。
渓流に突き出た岩が抵抗となって下流に渦ができるように、ボルテックスジェネレーター自体は空気抵抗となり渦を発生させますが、流線形状のボルテックスジェネレーターは空気を整った渦に揃えて整流することを目的とします。
ボルテックスジェネレーターの効果
ボルテックスジェネレーターをルーフエンドに取りつけることで、乱気流にゆすられることで発生していた振動が小さくなり、車がスッと落ち着いた挙動をみせるようになります。
空気がボディから剥離する際に発生した乱気流は、ボディを振動させるとともに、発生した負圧は車を後ろ向きに引っ張る力が発生します。
しかし、ボルテックスジェネレーターにより車にまとわりついていた乱気流が効率よく後方へ流れるようになります。
ボルテックスジェネレーターの効果は速度が高いほど顕著に現れますが、形状や数、取り付け位置で効果は変わってきます。直進安定性向上と負圧による空気抵抗、風切音の低減させる効果もありますが、速度の低い一般道では効果が薄いでしょう。
動画ではボルテックスジェネレーターを取りつけることで、空気の流れが改善し、乱気流によるテーブの乱れが少なくなっていることがわかります。
取り付け後では、わずかにカメラの振動が小さくなっており、カメラが取り付けられたボディ自体の振動が抑えられています。
ボルテックスジェネレーターの採用車種例
ランエボⅧ MRにオプション設定されたボルテックスジェネレーター
最高速度が300km/hを超えるF-1では、形状こそ違うもののボルテックスジェネレーターが古くから採用されていました。
市販車ではランサーエボリューション8 MRやスバル インプレッサ STI(北米仕様)に純正オプションとして用意され、ルーフエンドの気流を整えるとともにリアスポイラーのダウンフォースを効果的に発揮させる二次的効果がもたされていました。
トヨタは「エアロスタビライジングフィン」という名称で多数採用
トヨタではボルテックスジェネレーターを「エアロスタビライジングフィン」と称し、スポーツカーに限らずコンパクトカーやミニバンなどほぼ全車に採用しています。高級ブランドのレクサスにも採用されています。
エアロスタビライジングフィンは、エクステリアデザインを崩さないようにテールランプのデザインに組み込まれているのが特徴です。純正アクセサリーとして、両面テープでボディに貼りつけるタイプも用意されています。
トヨタ ヴィッツのエアロスタビライジングフィン
トヨタ ヴィッツ 2014年
軽い車体と短いホイールベースにより高速域での直進安定性に劣るトヨタ ヴィッツを始めとする小型車は、ボルテックスジェネレーターによる直進安定性の向上がわかりやすい車種でしょう。
トヨタ ハイエースバンのエアロスタビライジングフィン
トヨタ ハイエースバン 2014年
1BOX形状のバンは空気抵抗が大きいため風切り音が発生しやすく、ボディ後方には乱気流による負圧が発生するため、他の車よりも大きな走行抵抗を受けることになります。
劇的な変化は見込めませんが、確実にボルテックスジェネレーターの効果が期待できます。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...