更新
日産のe-POWERとは?仕組みやEV・ハイブリッドとの違い、採用車種など
「e-POWER」はノートやセレナなどを大ヒットさせた日産のハイブリッド技術です。
本記事ではe-POWERの仕組みや特徴を解説します。e-POWERを搭載する車種の情報についても掲載。
e-POWERとは?
e-POWERとは、日産が開発するハイブリッドシステムのことです。
初めて採用されたのは2016年に発売した「ノート e-POWER」。のちに発表された「セレナ e-POWER」とともに、e-POWERを搭載したことで大ヒット車種となりました。
e-POWERの仕組みはEV(電気自動車)に近いと言われていますが、厳密には違います。
e-POWERの仕組み
e-POWERには通常のハイブリッドと同じように、エンジンと電気モーターが搭載されています。しかし車を走らせるために使用するのはモーターのみで、エンジンは発電のみに用いられます。
電気モーターのみで走行するのが、「e-POWERやEVのようだ」と言われている理由です。
e-POWERはハイブリッドの一種だった!
これはシリーズ方式(シリーズハイブリッド)と呼ばれる仕組みで、ハイブリッド車としては最も電気自動車の要素が強い構造です。
e-POWERの仕組みを理解するために、ハイブリッドの種類についても知る必要があります。
ハイブリッドについておさらい
種類 | 特徴 | 代表車種 | |
---|---|---|---|
ストロング ハイブリッド | パラレル方式 | エンジンとモーターを 組み合わせた従来の ハイブリッド方式。 | ホンダIMAシステム(初代インサイト) |
スプリット方式 | 動力を分割する機構があり、 発進・低速時には モーターを使用、 高速時にはエンジンも 併用するなど、 効率的な出力を行う。 シリーズ・パラレル方式とも | トヨタ プリウス | |
シリーズ方式 | モーターのみで走行し、 電気が不足すると エンジンで発電する方式。 走行機能は電気自動車と同じ。 | 日産 ノート | |
マイルド ハイブリッド | 基本的にはエンジン走行をし、 モーターは補助的な役割。 | スバル XV e-BOXER |
ハイブリッド車は「ストロングハイブリッド」と「マイルドハイブリッド」の2つに分かれ、e-POWERを含むシリーズハイブリッド(シリーズ方式)はストロングハイブリッドに属します。
また、これら3つの中でシリーズ方式が最も新しい方式のため、次世代のハイブリッドと言われているのです。
これらを踏まえ、e-POWERが従来型ハイブリッドやEVと何が違うのかを解説していきます。
従来のハイブリッド・EVとの違い
電気自動車 | e-POWER | 従来型 ハイブリッド | |
---|---|---|---|
エンジン | なし | 発電目的 | 走行 発電目的 |
モーター | 走行目的 | 走行目的 | 走行目的 発電目的 |
発電機 | なし | あり | あり |
従来型ハイブリッド=ストロングハイブリッド (パラレル方式・スプリット方式) |
e-POWERがパラレル方式・スプリット方式と異なる点は、エンジンが完全なる発電用であるということです。
マイルドハイブリッドは搭載するモーターがあくまでエンジンの補助的な役割であることため、ハイブリッドの中でもガソリン車に近い立ち位置にいます。
電気自動車(EV)はモーターのみを搭載し、外部電源から充電することによって走行する車のことを指します。このことから、ガソリンエンジンを搭載するe-POWERはEVではありません。
e-POWERの特徴
優れた燃費と加速性能
e-POWERの最大の特徴は、燃費の良さと電気自動車に匹敵するほどの加速力です。
モーターで走行する車は加速力に優れており、2021年時点で加速力ランキング上位に位置する車種はすべて電気自動車です。
e-POWERはモーターで走行するため、必然的にガソリン車よりも加速性能が高くなります。
e-POWERはエンジンの発電音が大きい?
EV走行時は高い静粛性を発揮するe-POWER車ですが、エンジンが発電する際に発生する音が不快だという声もあります。
ただ、日産によると2020年6月に発売したe-POWERシリーズ最新車種のキックスでは静粛性の向上に注力したとのこと。
従来のe-POWER車も今後のアップデートによって静粛性が高められていくようです。
e-POWERは充電が不要!
先ほど説明したように、e-POWER搭載車はガソリンエンジンによる内部発電によって電力を確保しています。そのため、電気自動車と違い、充電スポットや自宅のコンセントでの充電は不要です。
つまり、e-POWER搭載車を購入したからといって特別な設備を自宅に用意したりする必要はなく、普通の自動車と同じようにガソリンスタンドで給油します。
アクセルペダルのみで加減速できる「ワンペダル操作」
e-POWER搭載車には、日産 リーフのようなピュアEVにも採用される「ワンペダル操作」を行うことが可能です。これはアクセルペダルのみで加速・減速のコントロールができるという機能で、回生ブレーキの効果を高める働きがあります。
走行モード | ペダル操作 | 加速 | 減速 |
---|---|---|---|
ノーマル | ツーペダル操作(従来) | 通常 | 通常 |
ECO | ワンペダル操作 | やや強 | 強 |
S(スマート) | 強 | 強 |
ワンペダル操作はe-POWER車に用意されている3つの走行モードのうち、ECOとSの2つで使用可能。
高速走行におけるエンジンブレーキが強すぎるとの声もありましたが、セレナe-POWERからは速度が上がるにつれ、減速する力を緩めることで改善しています。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...