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チェーン規制とは?実施されるときのケース・チェーンの取り付け方まで解説

チェーン規制とは?

「チェーン規制」は、道路の路面に雪が大量に降り積もったタイミングで、車を運転するドライバーに対して提示される規制です。

雪が路面に降り積もっている状況で車を運転すると、タイヤが雪の影響で足を取られてしまい立ち往生(走行不能)となったり、車体が滑ってスピンしてからの事故に繋がり最悪、死に至る可能性もあり危険です。

雪が原因の交通事故を未然に防ぐため、ドライバーに対して「タイヤチェーンの取り付け」を催促し装着が済んだ車両のみ、通行規制がかかっている道路を走行可能としているのです。

チェーン規制が実施されるときはどんなケース?

@tkyszk/stock.adobe.com

チェーン規制が実施される「タイミング」「対象の道路」「規制の対象外となるシチュエーション」と、3つのポイントに着目してまとめてみました。

チェーン規制と聞くと、全国各地で大雪が降ったらどこでも発生するのかとお考えかもしれません。しかし、実際は警察署や道路の管轄団体(全国各地のNEXCOなど)が協議を行い、チェーン規制の判断が下されているとのこと。

どのようなシチュエーションで、チェーン規制が行われるのでしょうか。

実施されるのはいつ?

チェーン規制が実施されるのは、“大雪特別警報”や“大雪に対する緊急発表”など、異常な降雪量が予想されるタイミングです。

2018年に現行のチェーン規制ルールが導入されるまでは2つの“悪い流れ”が存在し、いずれも問題となっていました。

  • 通行止めを行わない→立ち往生が発生→大規模な車両の滞留が生じる
  • 降雪の状況無関係で通行止め→他箇所での交通渋滞など混乱が生じる

8割以上の車がタイヤチェーンを未装着!

参照:国土交通省「タイヤチェーン装着率」

上記の画像の通り、8割以上の車がタイヤチェーン未装着です。

チェーンの装着を行っていない車は、雪の影響で動けなくなるなどの立ち往生が発生するケースがあります。1台でも立ち往生してしまえば後続の車も進めなくなるので大規模な渋滞が発生し、多くの車や人々に影響を与えるでしょう。

しかし、事故や立ち往生を恐れて、雪が降り始める前から通行止めを行うのも問題です。該当の道路が通行できなくなると今度は別のルートに車がなだれ込み、渋滞などの混乱を引き起こす可能性があります。

そこで新たに設定されたのが「タイヤチェーンを装着した車のみ通行を可能とする」ルールです。チェーンを装着している車の走行を許可することで、通行止め時間が実質的に短くなるようにして、混乱を避けられると考えられています。

(※なお、2022年現在、現行ルールに変更されてからチェーン規制が発令されたケースは0件となっている)

チェーン規制が実施される道路

チェーン規制は、日本国内にあるすべての道路で行われるわけではありません。

2018年、国土交通省と警察庁の連名で現行のチェーン規制ルールを公表。過去の積雪時に大規模な立ち往生・車両の滞留が生じた高速道路および国道を対象にタイヤチェーンの装着義務を設けるとしています。

現在、日本国内でチェーン規制の対象となっている高速道路および国道は合計で13ヶ所です。

一覧をチェックしてみると、新潟県や石川県、山形県、島根県といった、冬季に雪の天候が目立つ日本海側の高速道路や国道で指定されているのが目立ちます。加えて、山梨県の山中湖など、標高のある山間部を通過する高速道路や国道もチェーン規制の対象です。

過去の教訓を生かしつつ、積雪による事故や立ち往生を防ぎたいとの意図があります。チェーン規制を行うことで安全性と道路の通行量バランスを両立しているのです。

チェーン規制が実施される高速道路

チェーン規制が実施される高速道路 一覧

チェーン規制が実施される国道

チェーン規制が実施される国道 一覧

参照:国土交通省「大雪に対する国土交通省緊急発表」令和3年1月11日

“スタッドレスタイヤ装着車”や“4WD車”ならチェーンをつけなくてもOK?

スタッドレスタイヤを装着している車”や4WD(四輪駆動)車なら、チェーン規制がかかっていても関係なく走行できるとお考えの人がいるのではないでしょうか。

しかし、残念ながら2018年に設定された現行ルールでも、上記2つのパターンに該当する車はチェーン規制のかかっている道路を走行できません。

スタッドレスタイヤを装着していても大雪時には立ち往生してしまう危険性、4WD車両の重たい車体によるブレーキ制動の長さが指摘されています。それらの車両も、ノーマルタイヤを装着している車両と同様で、タイヤチェーンを装着しなければ規制がかかっている道路を走れないルールとなっています。

チェーン規制をしないとどうなる?

@Paylessimages/stock.adobe.com

車を運転するドライバーがチェーン規制を無視したシチュエーションで、何かしらの罰則や違反が課せられるのでしょうか。

結論から述べると、罰則や違反が課せられないように“事前の対策”が行われているケースが多いです。「チェーン規制が実施される道路」にて紹介した該当区間へ進入する手前に“待機所”が設けられていて、配属されている検査員の手によりタイヤチェーンの装着がチェックされる仕組みとなっています。もしタイヤチェーンを装着していなければ、該当区間の走行が不可能となり高速道路の退出や国道を引き返すこととなるため、免許の減点や反則金は課せられません。

ただし、検査員の指示を無視してチェーン規制による通行禁止区間を走行すると、「高速自動車国道等措置命令違反」や「警察官通行禁止制限違反」などの違反が課せられる可能性があります。

チェーン規制による違反例 一覧 1

また、雪道をチェーン装着していないノーマルタイヤなどで走行すると、道路交通法(道交法)70条「安全運転の義務」に違反する可能性があります。前述の措置命令違反と異なり、車種の大きさなどで金額に差異があるものの反則金が課せられることとなるため、注意すべきでしょう。

チェーン規制による違反例 一覧 2

タイヤチェーンの種類

@Jaroslav Moravcik/stock.adobe.com

“タイヤチェーン”は、ひとくくりのジャンルとなっているように見えて、使われている素材や形状で、車の走行性能を変化させるほどの違いがあります。

この項目ではタイヤチェーンの種類を、「使われている素材」「形状」の2つに注目して特徴・選び方を解説します。

タイヤチェーンに使われている素材

タイヤチェーンに使われている素材には3つの種類が存在します。

  • 金属
  • 樹脂(ポリウレタン、ウレタン、ゴム)

金属

4つの種類で見慣れていると考えられるのは金属製のタイヤチェーンです。金属で作られているため耐久性に優れており、捻じ曲がったり切れてしまったりする心配が少ないのがメリットとなります。積雪量が多い場面での活躍が期待できるでしょう。

しかし、金属製にはデメリットも存在します。錆ができる、乾いた路面では装着したままで走行ができないなど、手間がかかる要素が多いです。加えて、走行中の騒音が大きくなったり、乗り心地が他のタイヤチェーンと比べて悪かったりするケースもあります。

樹脂

金属製に代わって、近年主流となっているのが樹脂製のタイヤチェーンです。ポリウレタンやウレタン、ゴム素材が使われており、振動が少なく、ノーマルタイヤなどチェーン非装着時と比べて乗り心地の悪化を抑えられるのが強みです。

一方、樹脂製のデメリットとしては商品価格が高くなるのが挙げられます。金属製など他のタイヤチェーンと比べて生産コストが高くなってしまいがちで、販売価格にも転嫁されているようです。

しかし、金属製と比較して振動が少なく乗り心地の悪化を抑えられるのが強くプラス要素となっており、タイヤチェーンの主流となっています。

非金属のタイヤチェーンについて詳しく知りたい方はこちら

タイヤチェーンの素材で新しく使われつつあるのが布です。

金属や樹脂と比べて簡易的ではありますが、タイヤへカバーをかける方式で簡単に取り付けるのが強みで、急に雪が降ってきた際に活躍します。加えて、布でできているから走行中の騒音が少なく、チェーン非装着時に近い乗り心地を実現できるのも特徴です。

しかし、布製は他のタイヤチェーンと比較して耐久性では劣ります。布が破れてしまったり、消耗が激しかったりして短期間しか使えないケースがあるようです。

金属や樹脂など本格的なタイヤチェーンは求めていないけど、いざというシチュエーションで布製のタイヤチェーンを車に忍ばせておくとよいでしょう。

オートソックスについて詳しく知りたい方はこちら

タイヤチェーンの形状

タイヤチェーンの形状には4つの種類が存在します。素材と同様、それぞれに強みや弱みがあるため把握すると適したタイヤチェーンを選びやすくなるでしょう。

それぞれの種類の特性をチェックして、使用用途や条件にあったタイヤチェーンを選んでみてください。

  • 亀甲型
  • はしご型
  • ネット型
  • 分離型

亀甲型

ポピュラーなタイヤチェーンの形状に挙げられるのは「亀甲型」です。名称にもある“亀の甲羅”をモチーフにしており、雪道や凍結路で性能を発揮します。

亀甲型は金属製のタイヤチェーンで使用されているケースが多いようです。その影響か、チェーンの模様が複雑となっているため、一度壊れてしまうと修復ができず再利用できないデメリットがあります。

はしご型

「はしご型」は、亀甲型と同じく金属製タイヤチェーンで使用される形状です。

亀甲型と比べて形状がシンプルで、横一本の金属が複数連なり路面の雪を搔き分けるのが強みとなります。加えて、亀甲型と比べて価格が安く済む、壊れても修復キットが用意されているなど、それなりの期間で使用できるのもメリットです。

しかし、横滑りなどグリップ力が低くなってしまうのがデメリットとなります。同じ金属製の亀甲型と比較すると走行安定性に欠けるようです。

ネット型

「ネット型」は樹脂製の商品に使用されているタイヤチェーンの形状です。型がしっかり作られていて、走行時のグリップ性能が高いのがメリットとなります。取り付け方をチェックしてみると、タイヤを覆うのではなく「タイヤをはめ込む」という表現が正しいです。

ネット型のデメリットは「装着に力が求められる」「コンパクトに収納できない」の2つです。タイヤをはめ込むような取り付け方で腕力・手の握力が求められるほか、型ができてしまっているため折りたたむなどコンパクトにまとめられないため、車のラゲッジスペースに積んでいても不便なシチュエーションがあります。

分離型

「分離型」はネット型と同様、樹脂製の商品に使用されている形状です。

ネット型と異なりタイヤに対して細かく分割して取り付けるため、腕や手に力がない人でも簡単に装着可能。収納時もコンパクトにまとめられるのが強みです。

ところが、タイヤを全面カバーできない点がネックとなります。同じ樹脂素材が使われているネット型と比べて表面積が少なく、雪道や凍った路面でのグリップ力が低くなるのがデメリットです。

タイヤチェーンの取り付け方

@cherryandbees/stock.adobe.com

タイヤチェーンを選んで購入したら、装着して実際に使うのみです。

この項目では、タイヤチェーンの取り付け方法を、簡単にではありますが使用されている素材ごとに解説してみました。

商品ごとに若干の違いはあるものの大まかな取り付け方法は共通であるため、参考として実際にタイヤチェーンの取り付けにチャレンジしてみてください。

金属製のタイヤチェーンの取り付け方

金属製のタイヤチェーンの取り付け方法は、以下4つの手順となります。

なお、今回説明している内容は亀甲型、はしご型の両方で適用される方法です。商品ごとに取り付け方法、手順が異なるケースがあるため、事前に取扱説明書を確認しましょう。

  1. 路面に置き、タイヤチェーンによじれがないよう形を整える
  2. チェーンのジョイント部分を留める
  3. チェーンのサイドチェーンフックを留める
  4. 取り付けが完了したら、チェーンのねじれがないか確認する

路面に置き、タイヤチェーンによじれがないよう形を整える

1つ目の段階では、チェーンを地面に置いて形を整えましょう。チェーンによじれがあると走行中に破損して外れるなどの危険性があります。

チェーンのジョイント部分を留める

チェーンのよじれがないのを確認してから、タイヤにチェーンを巻きつけ始めてください。この際、タイヤの裏側に円を描くように、チェーンを支えるケーブル部分をひっかけるようにしましょう。タイヤを下から包み込むような形で、上部でジョイント部分を接続します。

チェーンのサイドチェーンフックを留める

ジョイント部分が接続出来たら、残るは「サイドチェーンフック」を留めるだけです。チェーンがタイヤ全体を覆っているのを確認しつつ、チェーンの端に取り付けられているビーズワイヤーを引っ掛けて、仕上げに対角線上に存在する2ヵ所のサイドチェーンフックを接続します。

取り付けが完了したら、チェーンのねじれがないか確認する

チェーンのねじれがないか、接続したサイドチェーンフックにゆるみがないか確認してから、異常がなければタイヤチェーンの取り付けが完了です。

樹脂製のタイヤチェーンの取り付け方

樹脂製のタイヤチェーンの取り付け方法は以下のとおりです。

樹脂製もネット型や分離型など異なる形状が存在しますが、今回はネット型を例に挙げています。商品ごとに取り付け方法が異なるケースがあるため、取扱説明書をチェックしてみましょう。

  1. スパイクピンがついている面を上に、ジョイント部分が手前に来るようにタイヤチェーンを地面に敷く
  2. ジョイント部分を留める
  3. フックを取り付ける
  4. ロック部分を締める

スパイクピンがついている面を上に、ジョイント部分が手前に来るようにタイヤチェーンを地面に敷く

タイヤチェーンを取り付ける予定のタイヤ周辺に敷き、スパイクピンがついている面を上にして、ジョイント部分が身体の手前に来るようにします。

ジョイント部分を留める

取り付けの準備ができたら、下からタイヤを包み込むようにチェーンの両端を持ち上げて、ジョイント部分を留めましょう。多くの商品ではジョイントが2ヶ所用意されており、タイヤの側面、表裏にそれぞれ1ヶ所ずつ固定する形式となっています。

フックを取り付ける

ジョイント部分を留められたら、タイヤの手前側面に備わっているフックを取り付けましょう。タイヤチェーンがタイヤの形に沿っているのを確かめつつ、フックを1ヶ所ずつ引っ掛ける方式です。フックは2ヶ所や3ヶ所など用意されていて、1つずつ忘れないように引っ掛けたか確認するとよさそうです。

ロック部分を締める

フックの取り付けができたら、仕上げにロック部分を、商品に付属しているハンドルで締め上げます。ロック部分を締めることで、タイヤチェーンがより引っ張りあげられて、正常な装着状態となるのがわかるでしょう。

ジョイント部分、フック、ロック部分にゆるみがないか再度確認し、問題がなければチェーンの装着が完了です。

布製のタイヤチェーンの取り付け方

今回解説した取り付け方法では、布製のタイヤチェーンが簡単で誰にでも取り組みやすいのではないでしょうか。

手順は以下の3段階となります。

  1. タイヤ上半分をチェーンで被せる
  2. 車を移動させて、タイヤを回転させる
  3. 残り半分をチェーンで被せて、固定する

タイヤ上半分をチェーンで被せる

1つ目は、タイヤの上半分をチェーンで被せましょう。身体の向きから見て、手前から奥までタイヤの形に併せて布を覆います。

車を移動させて、タイヤを回転させる

上半分をチェーンで覆ったら、車を移動させてタイヤを転がします。一般に用意されているチェーンの装着場は駐車場や空き地と変わらないほどの敷地となっているため、多少の車両移動であれば問題なく行えるのではないでしょうか。

残り半分をチェーンで被せて、固定する

タイヤを転がして車を移動させたら、タイヤの残る箇所をチェーンで被せて固定しましょう。タイヤの奥側までチェーンを覆えているか確認出来たら装着完了です。

布製となっているため、金属製や樹脂製よりも柔軟性や後からの修正が利きやすく、初めてチェーンを取り付ける人でも手軽に行えるでしょう。

タイヤチェーンの取り付け方について詳しく知りたい方はこちら

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執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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