更新
どうしてこれまでなかった?ミニバンにSUV…タクシーの車種が増えた理由とは
法人タクシーと個人タクシーで違いはある?
ここまで紹介したように、さまざまな車種がタクシーとして使われていますが、いわゆる法人タクシーと個人タクシーで、使われる車種に違いはあるのでしょうか。前述の松野氏は次のように話します。
「法人タクシーの場合、会社ごとに車両を決めている場合がほとんどです。さまざまな車種をラインナップしていますが、基本的には、会社が決めた車種のタクシーで乗務することになるので、個々の好みで選ぶことはできないと思います。
一方、個人タクシーの場合、タクシードライバー自身で好きな車種を選択できます。車体寸法や荷室の容量、料金メーターの装備など、タクシーとしての要件を満たしていれば、基本的には自由です。
そのため、上述の基準緩和以前から、法人タクシーとの差別化を図るため、個人タクシーのドライバーはあえて個性的な車種を選ぶケースがありました。
例えば、レクサス LSやトヨタ センチュリー、メルセデス・ベンツ Sクラスといった高級車を選び、他のタクシーにはない高級感で差別化するケースもあります。あるいは、光岡 ガリュー、スバル レヴォーグといった趣味嗜好の強い車種で存在感をアピールしている個人タクシードライバーもいます。
実際にタクシー利用者に話を聞くと『車種は気にしない』という声が多い一方で、『どうせ乗るなら高級車がいい』『かっこいいタクシーに乗りたい』といった声もよく聞くといいます。そのため、車種選択の自由度が高い個人タクシーは、かなり前から他にはない個性的な車種を選ぶ傾向にあったと思います。」
タクシーには実用性と奇抜すぎないインパクトが必要
アプリなどを使えば、いつでもどこにでも手軽にタクシーを呼び出せるようになりました。また、都市部では電車やバスに次いで欠かせない移動手段のひとつです。
利用客は、乗り降りのしやすさや荷物の載せやすさ、車内空間の快適さを重視するでしょう。一方のタクシードライバーは、利用者に快適な移動手段を提供すると同時に、少しでも周囲から分かってもらう(見つけてもらう)ためのアピールが必要です。
法人タクシーの場合、選択の余地は少ないかもしれませんが、個人タクシーの場合は少しでも他のタクシーと差別化を図るために、要件を満たしつつ奇抜すぎないインパクトのある車種を選ぶことが、タクシーには必要なのかもしれません。
「SOSサイン」はタクシーに迫る危険を知らせる合図?
ハザードランプを使用目的以外の用途で使うと違反?
立体エンブレムはどう生まれ、なぜ消えたのか?
- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...