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世界最大規模産油国サウジアラビアがEV車販売!?驚きの性能と価格とは
サウジアラビアが輸出するEV! その名も「Lucid Air」
世界最大規模の石油輸出国であるサウジアラビアは、2026年に15万台以上の電気自動車(BEV)の輸出を目指しています。とはいえ、これまでサウジアラビア製のBEVはおろか、ガソリン車すら聞いたことがありません。
いくらBEVが簡単につくれるとはいえ、サウジアラビア発の自動車など売れるのでしょうか。しかしすでに、第一号車は形になっています。輸出計画がすすめられているのは、「Lucid Air(ルシード エア)」という車名の5人乗りセダンです。
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「ルシード エア」とは
「ルシード エア」のボディサイズは全長4,975×全幅1,939×全高1,410mm。大きさはミドルクラスセダンですが、コンパクトかつ高出力なモーターを採用することでエアにはビッグセダン並の居住性が備わります。
ルーフはフレーム部を残して全面グラスルーフとなっており、いかにもラグジュアリーカーといった雰囲気です。4人乗りとする代わりにリクライニング式の左右が独立したエグゼクティブリアシートを選択することも可能です。
結局EVはどっちがいいの?
「ルシード エア」は性能も凄い
最高出力はもっとも低いものでも486PS、上は1,200PSオーバーまでのバリエーションが用意され、モーターの出力に応じて航続距離はそれぞれ772〜836kmほどとなります。
「ドリームエディション」と呼ばれる19インチホイールが装備される946PSモデルの航続距離は約836kmで、価格は日本円で約2,500万円。今後生産予定の「ピュア」と呼ばれる最廉価モデルは、最高出力486PSで航続距離が約653km。価格は日本円で1,150万円になる予定です。
さらに、「ルシード エア」は業界最速の充電能力を誇り、22分で最大約482kmぶんの充電が可能であり、独自規格のV2H機能も備わるそうです。
2016年に完成したプロトタイプの0-400km/hタイムは、当時のテスラ モデルSを上回る9.9秒を記録。さらに、アメリカのラグナセカサーキットでジャガー I-PACEをも上回るタイムをマークしました。
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ただし開発元はアメリカのEVメーカー
サウジアラビアがEVを輸出するとはいっても、「ルシード エア」はサウジアラビアで開発された車ではありません。製造元はあくまでアメリカの電気自動車メーカーLucid Motors(ルシードモーターズ)。サウジアラビアの工場で生産され輸出されるだけです。
2007年に設立されたルシードモーターズはカリフォルニア州ニューアークを拠点とするEVメーカーであり、最高技術責任者であるピーター・ローリンソンは過去にテスラの副社長兼エンジニアを務めていた人物です。
ルシードモーターズはアメリカに拠点を構えて車を生産するかたわら、2018年にサウジアラビアへ工場を建設することを条件に、サウジアラビア公共投資基金から10億ドル以上の資金調達に成功。2022年5月に現地で工場建設に着手し、2026年にはサウジアラビアから15万台以上のEVが輸出される予定です。
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サウジアラビアは自動車工場の誘致を進めていた
これまでサウジアラビアは世界中の自動車メーカーに出資しながら、自国への誘致計画を進めていましたが、もちろん途中で頓挫した例もありました。サウジアラビアへの工場誘致計画が軌道に乗り、その第一陣を切るのがアメリカのルシードモーターズです。
自国へ自動車メーカーの工場を誘致し、EVを輸出することで原油生産以外での収入を得るというのがサウジアラビアが輸出するEVの真相となります。ルシードモーターズでは「プロジェクト グラビティ」と呼ばれるSUVの開発計画もあるとのことです。
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- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...