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【アルトバン生産終了】で軽ボンネットバン消滅!社用車・営業車はどうなる?
どうしてアルトバンは消えた?メーカーに取材!
なぜ、アルトバンはグレード消滅することとなったのか、スズキの問い合わせ窓口にも取材した内容を交えて考察します。
今回、取材に応じていただいた担当者からは「総合的に判断して、バンタイプを設定いたしませんでした。商用、法人様向けにつきましては、乗用タイプではございますが、グレード/Aをご用意しております」との回答がありました。
メーカー担当者からは大まかな回答しか得られませんでしたが、当方の憶測も交えて考察すると「バンタイプを用意するメリットがなかったから」との理由を導きだせるのではないでしょうか。
近年の社会情勢により、「おうちゴハン」をはじめとしたフードデリバリー、インターネットショッピングの流行で1BOXタイプの軽商用バンに注目が集まっています。1BOXタイプなら荷物の積載可能量が多いから、長物や大きい家電なども運べるため便利です。
また、1BOXタイプなら上記で提示した配達目的だけではなく、キャンプといった趣味用途でも荷物が多く積み込めるメリットが生かせます。
1BOXタイプの代表車種となるスズキの「エブリイ」とダイハツの「ハイゼットカーゴ」が、8代目まで存在したアルトバンと同様の4ナンバー登録車でありながら、長く存続している理由となるでしょう。
アルトバンが生き残れなかった理由は、持ち味の取り回しのよさや燃費以上に、使い勝手で1BOX貨物バンよりも不利であった点が挙げられます。
燃費面ではエブリイやハイゼットカーゴより優れるものの、小回りは同じ軽自動車サイズであるためさほど差はなく、かつ荷物の積載量が少ない点がネックとなるでしょう。近年、会社や団体が社用車・営業車に求めるニーズに合っていなかったのだと考えられます。
軽ボンネットバンを使っていた人々は今後どうなる?
軽ボンネットバンのジャンルが消滅した今、愛用していた個人や法人のユーザーたちは買い替えを余儀なくされた際、どう”次の車”を選択するでしょうか?
あるスズキ車を扱う販売店の営業者は次のような話を述べています。
「法人向けは現行(HA37型)のグレード「A」で十分対応できるのではないかと思います。実際、リースで先代(HA36型)に代えて納車される法人のお客様がいるようです。
また、個人商店を営むお客様が一括やローンを利用して新車購入される場合でも、”初回車検までの期間”を説明しています。
4ナンバー登録では初回車検までの期間が2年ですが、5ナンバー登録なら3年である点をお伝えするなど、ご理解をいただくようにしています。」とのこと。
ここで気になったのは車両価格です。9代目・HA37型アルトの廉価グレード「A」は、本体価格は2WD・CVT仕様で94万3,800円(税込)。8代目・HA36型のバングレード「VP」がおよそ73万円~82万円となっていたことから、実質10万円以上の値上げとなっています。
新車一括価格で購入するなら、フロアマットなど必要なオプションだけを選び、諸費用込みで110万円程度となります。
また、あるカーリース会社で法人向けの見積を同じ条件で行ったところ、7年契約・月間1,000km程度の走行距離で月々1万5,000円~2万円程度(メンテナンスを自己で行うか、リース会社に委託するかで変化する)。7年の総額で120万円~130万円程度かかる概算です。
これらのリサーチを行っていて気が付いたのは、実は現行アルトは5ナンバー乗用となっても他の乗用車よりまだ価格が”良心的”となっている点です。
社用車・営業車で見かける機会の多いトヨタのコンパクトカー「ヤリス」の場合、1,000㏄の廉価グレード「X Bパッケージ」を新車一括で購入するなら約180万円、アルトと同じ条件でリースをするなら200万円~260万円程度となっています。
1.5倍から2倍もランニングコストが違ってくるとなれば、会社の”財布の紐”を考えてもアルトを選択する価値は高そうです。
まだ、街なかでは9代目アルトの社用車・営業車を見かける頻度は少ないのが実情です。4ナンバー登録のバンに代わり、5ナンバーの乗用モデルを社用車・営業車に選ぶ会社も現れつつあります。
新たな相棒に9代目アルトが選ばれるのか、それとも軽自動車の他車種やコンパクトカー、近年流行のBEV(電気自動車)が取って代わるのか、注目するのも面白いかもしれません。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。