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SONYが本気で開発した電気自動車「VISION-S」がカッコいい!公道テストの段階に
2020年11月12日に待望の家庭用ゲーム機「Playstation5」を発売し、世間を賑わせたソニー。
ゲーム業界や音楽業界ではすでに多くのファンを獲得しているソニーですが、電気自動車(EV)を開発していたことは意外と知られていません。
目次
ソニーの電気自動車「VISION-S」とは
VISION-Sとは、ソニーが2020年1月、米ラスベガスで開催された「CES 2020」にて発表したコンセプトカー(試作車)です。
開発はオーストリアの自動車開発企業「マグナ・シュタイア」と提携して行われ、完全オリジナル車としてスクラッチ(設計図)から作成したそうです。つまり、VISION-Sは既存メーカーの車種をベースにせず、イチから開発された車。
自動車をイチから作るにはプラットフォームなどを設計・開発する必要があり、それには莫大な費用がかかります。そのため、現在販売されている自動車の大半が別の車種とパーツや構造を一部共有しているのが現状。ソニーがこのVISION-Sに対していかに本気なのかが分かります。
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「公道仕様」の欧州仕様車も開発中
後述しますが、すでに欧州で公道テストを行っており、最初に公開されたモデルよりもさらに実用的な仕様になっています。
記事内では、この2つの変化がわかるよう、どちらの画像も掲載しています。
「OVAL(卵型)」のデザイン
VISION-Sのデザインテーマは、「OVAL(卵型、楕円形)」をモチーフにしており、「人を包み込む」をコンセプトにしているとのこと。
ソニーの技術を結集したセンサー
フロントマスクは電気自動車らしいシンプルなつくりに。
車内外の人や物体を検知・認識し、高度な運転支援を実現するために、ソニーの車載向けCMOSイメージセンサーやToF(Time of Flight)センサーなど数種類のセンサーを合計33個も搭載。
夜間や雨、霧、逆光などあらゆる状況の中でも、より安全に車を走らせるよう、カメラ(CMOSイメージセンサー)やRadar、LiDARなど、複数種類のセンサーを、最適に組み合わせて使用しています。
2種類の鍵が用意されている
VISION-Sには2種類の鍵があり、スマホアプリとカードの2つで解錠できるとのこと。スマートフォンを持って車体に近づくか、アプリ内の操作によって、鍵が開く仕組みになっています。
開錠するとドアノブが飛び出し、ドアを開けられるようになるようです。
一文字のテールランプ
テールランプは一直線になっており、中央でVISION-Sのロゴを表現しています。ポルシェ初のEV「タイカン」を彷彿とされる洗練されたデザインです。
ミラーレスで、映像はインパネで確認可能
VISION-Sには、サイドミラーはなく、車に取り付けられたカメラで撮影した映像をフルスクリーンの左右端の画面に表示される仕組みになっています。
エンターテインメントを凝縮した内装
VISION-Sの内装にはソニーが培ってきたエンターテインメント要素が至るところに詰め込まれています。
直感的に操作できるパノラマディスプレイ
VISION-Sのインストゥルメントパネルには、「パノラミックスクリーン」という横長の大きなディスプレイを搭載しています。一般的な自動車同様、カーナビとしてはもちろん、映画や音楽なども楽しめるとのこと。
中央と助手席側の画面表示は入れ替えることができます。例えば助手席の人がナビを操作して、見やすい場所を選んで、中央に戻すといった操作も可能。
このパノラミックスクリーンですが、昨年発売した電気自動車「ホンダ e」に似ています。
VISION-Sが持つ機能の大半は、このタッチディスプレイからコントロールできるようです。加えて、ダイヤル式の物理コントローラーも兼ね備えています。
ステアリング部分はこのようなデザインに。VISION-Sのロゴが中央に配されている。欧州仕様ではステアリング本体とダッシュボードのデザインが洗練されているのがわかります。
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前席のヘッドレストにソニーのスピーカーを搭載
画像を見ただけでは分かりませんが、VISION-Sはソニーが作った車ということもあり、非常に高いクオリティの車内オーディオを有しています。
全席のヘッドレストにはソニー製のスピーカーを内蔵しており、没入感のある立体的な音場を実現する空間音響技術「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」が体験できます。
ボーカルや楽器などパートごとの音源データに位置情報を付けることで、球状の空間に配置することができます。ここにもVISION-Sのコンセプトである「包み込む」が体現されていると言えるでしょう。
シート毎に独自の音場設定を施し、一人一人が好きな曲をそれぞれで楽しむこともできます。設定は前席の後ろに取り付けられてた後部座席用のディスプレイから行えます。また、このディスプレイは映画や動画などの映像コンテンツも楽しむことができます。
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開発は公道テストの段階に!
ソニーは2021年1月12日、かねてより欧州で進行中だったVISION-Sの試作車両の開発段階が、2020年秋に公道テストの段階に入っていたことを発表しました。
欧州で製作中の試作車両も基本構造やデザインなどは、ほぼほぼ同じに作られていますが、公道走行のための安全基準を満たす改良が行われています。
発表にあわせ、ソニーは「VISION-S」に関連する2本の動画を公開しています。
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ちなみにVISION-Sは日本にも持ち込まれており、オーディオ技術やセンサー技術の更なるアップデートを行ったとのこと。その際には国内のソニー敷地内でメディア向けのデモ走行を行いました。
「VISION-S」のスペック
VISION-Sの判明しているスペックは以下の表のとおりです。
全長 | 4,895mm |
全幅 | 1,900mm |
全高 | 1,450mm |
ホイールベース | 3,000mm |
車両総重量 | 2,350㎏ |
乗車定員 | 4名 (全席に独立スピーカー) |
定格出力 | 200kWh×2 (フロント/リア) |
0-100km/h加速 | 4.8秒 |
最高速度 | 240km/h |
アクセルシステム | ダブルウィッシュボーン式サスペンション (フロント/リア) |
駆動方式 | 四輪駆動 |
最低地上高 | 120mm~135mm |
タイヤサイズ | 245/40R21(フロント) 275/35R21(リア) |
VISION-Sはコンセプトカーには珍しく、かなり詳細なスペックが公表されています。最高速度はなんと時速240km。0-100km/h加速は4.8秒と、電気自動車ならではの超加速です。
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ソニーは自動車業界に参入するのか?
ソニーによると、VISION-Sの製品化は目指していないとのこと。自動車業界には、あくまでサプライヤーとして参入する予定のようです。
実際に電気自動車を開発することで、ソニー自身がどのように自動車産業、そして5G・6G時代に広がるであろう多様なモビリティ(個人向け移動手段、自動配送など)へと貢献できるのかをアピールする目的があったようです。
「100年に一度の変革期」と言われる自動車産業の変化が顕著になる中、ソニーが持つ技術や既存事業領域での強みを、モビリティに生かせないかと思い、VISION-Sを開発しました。」と企画・戦略担当の小枝氏は語っています。
ソニーの吉田憲一郎社長は、「この10年間のメガトレンドは間違いなく「モバイル」だった。次の10年は「MOBILITY(モビリティ)になる」と語り、そのコンセプトを体現するものとして「VISION-S」を発表したとのこと。
今後も自動車業界におけるソニーの動向に注目です。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...