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自動運転車に「箱型」が多い理由とは?トヨタやAmazonに見るカーデザイン

自動運転車に「箱型」デザインが増えている

ダイハツが東京モーターショー2019で発表したコンセプトカー「ICOICO(イコイコ)」

近年、各自動車メーカーが自動運転車のコンセプトカーを続々と発表しています。2020年11月には限定的な環境ではあるものの、実用的な自動運転車が市販化されています。

従来の自動車は、SUVミニバンなら「2BOX型」、セダンなら「3BOX型」のデザインが主流でした。1BOX型といえば、トヨタ ハイエースや日産 キャラバンといった商用バンや、バス車両程度しかありません。

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フォルクスワーゲン セドリック
フォルクスワーゲンのコンセプトカー「セドリック」

しかし、これまで発表されている自動運転車、特に完全自動運転車を見ると、今ではあまり見かけない「1BOX型」デザインが多く存在します。本記事では従来の1BOXをさらに極端にした「箱型」にフォーカスしていきます。

箱型デザインを採用する自動運転車の例

東京モーターショー2019で公開されたスズキ HANARE(ハナレ)
東京モーターショー2019で公開されたスズキ HANARE(ハナレ)

例として、ここ数年で登場した「箱型」の自動運転車には以下のようなものがあります。

  • フォルクスワーゲン セドリック:2018年
  • スズキ ハナレ:2019年
  • ダイハツ イコイコ:2019年
  • Canoo(カヌー):2019年
  • ZOOX(ズークス):2020年
  • トヨタ eパレット:2020年

箱型が増える理由

Canoo(カヌー)
BMW幹部らが設立した自動車ベンチャー「Canoo(カヌー)」が発表した車両。車名はメーカー名と同じ。

箱型タイプのデザインが増えている理由を、開発目線とユーザー目線という2つの観点から考察していきます。

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カメラやセンサーの死角が少ない

Amazon傘下のZOOXが開発した車両。車名は企業名と同じ「ZOOX」
Amazon傘下のZOOXが開発した車両。車名はメーカー名と同じ「ZOOX」
ボディのコーナーには複数のカメラやセンサーのほか、8つの「LiDER」と呼ばれる光無線センサーを搭載しています。

一つは箱型には死角が少ないというメリットがあるという点。

自動運転車は道路や障害物の情報を正確に把握する必要があるので、カメラやセンサーを多数搭載するのですが、その際に死角がないように設計しなければいけません。

その際に死角が少ない箱型デザインの自動運転車は非常に合理的だと言えます。

乗り心地が良い

また、箱型の自動運転車は「レベル5」といって、運転手が不要なシステムを想定していることがほとんどです。そのため、乗り心地の良さを重視する傾向にあります。

乗り心地を左右する重要な要素の一つに、「室内空間の広さ」があります。この室内空間を意識した時、最も広々使用できるのは曲線的なデザインではなく、角張った箱型デザインです。

ZOOXの乗り降りイメージ

「箱型」デザインは乗り降りがしやすく、車内でも「動くリビングやオフィス」のように快適に過ごすことができます。

箱型との関係は薄れますが、こういった人の運搬を前提とした自動運転車は、乗り降りのしやすさのため、車高も低く設定されることが多いです。

「誰もが快適に乗れる」を追求したトヨタ eパレット

トヨタ eパレット(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)

トヨタが開発しているeパレットという車両の開発責任者である牟田隆宏氏は、「もっと手軽で便利、そして快適なモビリティが求められていると感じ、車両の様々な仕様に反映させてまいりました。」と語っています。

eパレットのコンセプトである「Move for all(すべての人に移動と感動を)」からも分かるように、障がい者の方も含めた社会の全員が、快適に過ごせる車づくりをコンセプトにしたようです。

多様性の観点からも、従来型のデザインではなく「箱型」デザインが採用されとのこと。

箱型以外の自動運転車

ルノーの完全自動運転コンセプト「EZウルティモ」

当然、完全自動運転車に箱型しか無いわけではなく、それ以外のデザインが存在します。ルノーが2018年に発表したコンセプトカー「EZ ウルティモ」は、完全自動運転を想定していますが箱型とは言えません。

アウディの完全自動運転コンセプト「AI:ME」
アウディ AI:MEの内装

アウディが発表している完全自動運転車「AI:ME」に関してはパッと見ただけでは従来の車と同じ。運転席がありませんが、座席も従来どおり全員が進行方向を向いているレイアウトを採用しています。

ボッシュがCES2019で発表したコンセプトシャトル

ボッシュが発表したコンセプトシャトルは、箱型に近いもののさらにインパクトのあるデザインを採用しています。

Aptera(アプテラ)

自動運転でなくても、電気自動車のアプテラのように近未来で奇抜な見た目をしたものも増えています。ちなみにこのアプテラ、このルックスで市販化済み。なんと200万円台から購入することができます。

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今後のデザインはどうなっていく?

まだまだ自動運転車は、実用化に向けて進化している途中段階と言えます。そうした中で、「箱型」デザインが次々と登場しています。

自動運転レベル5の完全自動運転技術が確立されたとして、人が運転する従来の車は残るのか。こうした問いも将来、完全自動運転技術が確立されるにつれ、回答が出てくるでしょう。

また、完全自動運転車の利用ニーズによっても、スタンダードデザインは変わってきます。

現時点で最も実用化されているのは、低速の小型シャトルバスにはじまる商用車。決まったルートを走るバス業界では、このような低速小型シャトルバスは比較的受け入れられやすいといいます。

すでに米国では、スクールバスに自動運転の小型シャトルバスが実験的に導入されている例もあります。また、想定する乗車人数によって求められる車両サイズも変わってくるでしょう。

日産が発表したGT-Rコンセプトモデル「GT-R 2050 」。2050年を想定したGT-Rのコンセプトカーは、人と車を直接接続して、ハンドルを使わずに運転することを想定しているとのこと。

完全自動運転技術が確立され、社会のニーズの変化に伴い、自動運転車のデザインも変化していくことが予想されます。

よって、現段階で主流になりつつある「箱型」車両が、自動運転車のスタンダードデザインになるかどうかを見極めるには時期尚早と言えます。

完全自動運転車の一般化されたデザインを拝める日は、まだまだ遠いでしょう。果たして、どのような車両デザインが今後の完全自動運転車の標準になるのか楽しみです。

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執筆者プロフィール
MOBY編集部
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新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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