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「人手不足、時間外労働…物流業界の抱える問題、多すぎない?」“大型トラック高速80キロ規制”見直しでホントに変わるのか

トラックドライバーに長距離運送の現状や課題を聞いてみた

長距離運送の現状や課題について、当事者はどのように感じているのか。リアルな話を聞くために、筆者の友人でトラックドライバーのN氏に4つの質問をしてみました。N氏の回答を順番に見ていきましょう。

【Q1】大型トラックでの高速道路の走行に問題点はある?

【N氏の回答】大型トラックにはリミッターが付いているから、どの車も時速80キロで走っている。トラック同士の並走で車線を塞いでしまうことも多いから、普通車のドライバーに迷惑をかけているかもしれない。

ちなみに、ドライバーの中には何らかの方法でリミッター解除しているヤツもいる。ただ、80キロ以上で走っても、ほかのドライバーにバレて通報されるのがオチ。抜け駆けはできないね。

【Q2】80キロ規制見直しで労働環境は改善すると思う?

【N氏の回答】最高速度が上がれば到着時間が早まって助かる。関西〜関東の運行なら1時間は短縮できるし、浮いた時間で休憩できるようになるな。

ただ、いまの大型トラックは現行の最高速度を前提につくられているから、スピードアップは安全面に不安を感じる荷物満載のトラックで90〜100キロ出すのはちょっと怖いな。

それと、一部の運送会社はボロボロの車両を使っているから、スピードが上がるとかなり危険だろうな。「走行中にホイールが割れた」なんて話も聞くからね。無条件に規制緩和するのはどうかと思うな。

【Q3】80キロ規制見直しで運送業務は効率化されると思う?

【N氏の回答】最高速度アップである程度の効率化はできるだろうな。ただ、効率を上げにくい部分もある。

たとえば、深夜に高速を走るときは、深夜割引き狙いで0時ジャストに料金所を通過するように時間調整している。経費節約しつつ、他社より先に配送先に着きたいからね。

そういう時間調整もあるから、車速が上がればいいってもんでもない。ちなみに、深夜のSAやPAが混んでいるのは時間調整のトラックが多いからだ。SA・PAに停められず路肩で時間調整しているヤツもいる。違法だけどね。

【Q4】運送業界の人手は不足している?

【N氏の回答】ドライバーは減っているし、特に若いヤツは少ないな。まあ、40代以上で運送業界に入ってくる新人ならいるよ。借金があるとか事業に失敗したとか、何らかの事情ありで参入する人は多いね。

ただ、そういう新人がトラックの運転に不向きで事故を起こすこともある。人手不足は深刻だけど、誰でも続けられる甘い業界でもない。そんな感じだから、これからも人材確保には悩まされるだろうな。

物流業界の抱える問題、多すぎない?

上記のほかにも、コンビニ弁当中心の食生活になりやすい、シャワーを毎日は浴びられない、といった運送業界の問題点をN氏は語ってくれました。

こうした実情を知ると、業界が人手不足になるのも仕方ないように思えてきます。……というか、物流業界の問題ちょっと多すぎでは?

大型トラックの高速80キロ規制見直しが実現すれば、長距離ドライバーの労働環境も少しは改善されそうです。ただ、その効果は限定的で、2024年問題を含めた多数の課題解決には、より多彩な対策が必要だと考えられます。

大型トラックの走行速度や、長距離ドライバーの労働環境は、私たち消費者の暮らしと無関係ではありません。高速80キロ規制は見直されるのか、2024年問題は解決するのか、今後の展開に注目しましょう。

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執筆者プロフィール
加藤 貴之
加藤 貴之
1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...

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