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「ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより寿命が長い」は間違い?“車の耐久性”と誤解されがちなワケ
ディーゼルエンジンの方が寿命は長い?
また、高圧に耐えられるよう頑丈に作られているのもディーゼルエンジンの特徴の一つです。そのため、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも大きく、重くなりやすくなります。
こうした特徴から「ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより寿命が長い」と言われることがあります。
確かに、エンジン単体でみれば、ディーゼルエンジンの方がガソリンエンジンよりも耐久性に優れています。しかし、「耐久性が高い」ことと「エンジンとしての寿命が長い」ということはイコールではありません。
エンジンの寿命が長いとは、「正常かつ適正にエンジンが動き続ける時間が長い」ということです。この点でガソリンエンジンとディーゼルエンジンを見ていくと、それぞれに合った使い方をすることが大きく影響するといえます。
ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンと比べると、低回転での動作をあまり苦にしません。そのため、街乗りが中心で、頻繁にストップ&ゴーを繰り返す場合には、ディーゼルエンジンよりもガソリンエンジンの方が、エンジンの寿命は長くなります。
対して、ディーゼルエンジンは熱効率が高く、大きなパワーを出すことに向いています。また、高回転を維持することで、ネックとなる煤の溜まりを少なくすることができ、出力の低下を予防することもできるのです。そのため、高速道路などで高い速度域のまま長距離走行するという場合には、ディーゼルエンジンの寿命が長くなります。
ディーゼルエンジンを搭載した大型トラックや商用1BOXで、50万km以上エンジントラブルが無く走行できるのは、こうしたディーゼルエンジンの特性を生かしているためです。
ロングライフには定期的なメンテナンスが不可欠
もちろんどちらのエンジンでも、ロングライフには定期的なメンテナンスが重要なのは言うまでもありません。
ガソリンエンジンの場合、ディーゼルエンジンよりも構造が複雑で、各部の動きが多く、故障のリスクが伴いますので、定期的な点検が大切です。
ディーゼルエンジンにも問題があります。それは、軽油を燃焼する際に発生する「煤(すす)」です。街乗りなどの低回転でエンジンが動く際に、エンジン内部に煤が溜まりやすくなり、煤が溜まった状態を長期的に放置すると部品の劣化につながるほか、エンジンの出力低下を招くことにもなります。
特に、ディーゼルエンジンの場合にはエンジンオイル交換のサイクルがガソリンエンジンに比べて早いことを知っておき、寿命を延ばすために必要なメンテナンスの機会が増えることを頭に入れておきましょう。
車の使用シーンが短距離で街乗り中心なのか、長距離で高速移動が中心なのかを見極めることで、自身にとって寿命の長いエンジンを選択することができます。それぞれの特性を知り、車を使うことで、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンともに、寿命を延ばすことができるのです。
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- 執筆者プロフィール
- Red29
- 1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...