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販売現場は納車できる車はない!?最近の新車の納期遅れはいつまで続くの?

通常であれば新車は1〜3ヵ月で納車されます。しかし、近年の不安定な世界情勢による部品調達難により、現在納車まで半年待ちは当たり前。長いものでは納車までに数年も待たされる車まであります。

この新車納期遅延問題は、なぜ起こっているのでしょうか。そして、これはいつまで続くのでしょうか。

新車の納期が遅れているのはなぜ?

新車の納期が遅れている原因は自動車製造に必要な部材不足です。

半導体の不足がおもな原因として挙げられているものの、その他の部材も不足気味であり、車によっては部品調達難により納車まで半年や1年以上を要し、あげくの果てには納車の目処が立たないことからオーダーをストップする車種まで出てきています。

©phonlamaiphoto/stock.adobe.com

当初の半導体不足の原因は、新型コロナウイルス蔓延による働き手不足と物流の混乱でした。またパンデミック初期に、自動車メーカーは受注減を見越して軒並み半導体の発注をキャンセルし、半導体メーカーはPCやスマホ、家電向け半導体の増産に切り替えたことも、自動車向け半導体の製造が後回しになっている要因として挙げられます。

その渦中となる2020年12月、アメリカが中国への半導体製造装置等の輸出を禁止したことで、半導体の主要生産国が中国から台湾に集中し、半導体の生産が完全に追いつかない状況へと陥ってしまいました。

また、台湾をはじめとする半導体工場でのクラスターや、経済を司る大都市のロックダウンなどの影響で工場が稼動できない期間が続いたことも半導体の供給不足に拍車をかけています。

これらに加え、2021年2月にアメリカを襲った大寒波による大規模停電や、2021年3月茨城県ひたちなか市にあるルネサスエレクトロニクスの那珂工場での火災により、半導体関連工場の操業が停止したことも供給不足に少なからず影響しています。

ロシアのウクライナ侵攻で他の部材も不足気味に

2022年2月には、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。

ウクライナは半導体の製造に不可欠な希ガスや希少金属の主要産出国であり、世界需要の7割を占めています。加えて、自動車向けワイヤーハーネス(配線の束)の主要生産国でもあるため、戦争により一切の生産ができなくなりました。

また、排ガス浄化装置の触媒であるパラジウムは主にロシア産が4割を占めており、各国の輸入禁止措置や関税引き上げの影響もあって触媒の原材料も不足している状況です。

さらには軍需の拡大によって半導体はもちろん、その他車の製造に必要な銅や鋼材までもが供給不足あるいは価格高騰により手に入りづらい状況に陥っています。

現在の新車納期遅れは、コロナウイルス・米中外交摩擦・災害・戦争など多くの要素が絡み合って発生しています。国内の新車の受注自体は減っていないようであるものの、ひとつでも部品がなければ車はつくれません。

それにより各工場で減産や操業を停止せざるを得なく、自動車メーカー・部品メーカーともに歯がゆい状態となっているのが現状です。

執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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