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“外国人ドライバー”の運転は危険?レンタカー事故率は「日本人の3倍以上」…原因は?

外国人ドライバーの保険加入率はどれくらい?

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その他、事故後に賠償責任が履行されない「泣き寝入り」のケースに注目が集まることで、外国人ドライバーに対するイメージが悪化しているという可能性も考えられます。

任意保険未加入者が運転する車と事故に遭い、大きな被害を受けたにもかかわらず、それに見合う賠償がなされないというニュースは、見る側に強いインパクトを与え、加害者に対する大きな憤りをもたらします。

一般に、任意保険の契約内容を理解するには一定の日本語能力が必要であることから、「外国籍のドライバーはあまり保険に入っていないのではないか」というイメージがあるかもしれません。そこから、「外国人と事故を起こすと厄介だ」と考える人もいるでしょう。

しかし一方で、在留外国人の任意保険加入率は決して低くないことを窺わせる調査結果もあります。株式会社サーベイリサーチセンターが2020年に実施した「在留外国人の自動車所有について」という調査によれば、外国籍の自動車保有者のうち、任意保険に加入している割合は93.2%と、きわめて高い数字が残されました(*4)。

同調査の有効回答数は1,037件であり、総体的な状況がどの程度反映されているのかについては議論の余地もあるでしょう。とはいえ、上の数字は損害保険料率算出機構が発表する日本全国の任意保険加入率「88.4%」(2021年度)を上回る水準であり(*5)、やはり「外国人ドライバーは保険に入らない」という傾向は見て取れません。

「外国人」と「交通事故リスク」に直接の関係はない

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上に挙げた数字から見て取れるのは、以下の2つの傾向です。

1つは、「在留外国人の多くは日本の交通ルールに適応し、交通事故率や保険加入率において顕著な差は生じていない」という点です。すなわち、外国人という属性そのものが、事故のリスクと直接的に相関しているとは考えにくいでしょう。

もう1つは、「訪日外国人は日本の交通ルールに不慣れであることから、交通事故率が高くなる」という傾向です。直感的にも、「慣れない土地での運転」においてはリスクが生じやすいことは頷けるでしょう。これは外国人に特有の性質というよりも、「国や地域間にある常識やルールのギャップ」が原因であると考えられます。

問題は「外国人」ではなく「ルールの外にいる存在」

もちろん、不法滞在者が起こした事故によって被害を受けたにもかかわらず、金銭的な補償を受けられなかったケースなど、「外国人=日本のルールが通じない」といったイメージを抱かせるようなニュースがあることも事実です。

その他、外国籍の自動車窃盗グループの存在など、社会のルールの外側にいる存在に対し、不安や恐れを抱いてしまうことは自然な心情でしょう。

とはいえ、特定の属性を備えた個人がルールの外側にいるからといって、同じ属性をもつ人たちが同様に無法者だというわけではありません。

おそらく、今回取り上げた外国人ドライバーをめぐる問題においては、「外国人」という属性と、「ルールの外にいる者の無保険・無免許運転」といった事実的な問題を、ある程度切り離して考えることが必要なのかもしれません。

国籍以前に、なぜ無保険・無免許運転の問題が生じてしまうのか、ルールの抜け穴はどこにあるのかなど、構造的な問題について議論することが求められます。こうした問題が、外国人の受け入れ体制やサポート体制の問題に由来しているのであれば、これを解決できる方策を探っていくことが重要だと考えられます。

(参照)
*1 警察庁|運転免許統計
URL:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html

*2 内閣府|令和元年交通安全白書
URL:https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r01kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_03.html

*3 総務省 近畿管区行政評価局|レンタカー事業に関する実態調査
URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000586822.pdf

*4 株式会社サーベイリサーチセンター|在留外国人総合調査 「在留外国人の自動車所有について」
URL:https://www.surece.co.jp/research/3697/

*5 損害保険料率算出機構|自動車保険の概況
URL:https://www.giroj.or.jp/publication/outline_j/

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執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

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