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“かぶせ右折”って知ってる?事故が起きなくても違反?教習所検定員が「絶対やめて」という理由に納得
「かぶせ右折」って知ってる?
自分が先に直進しようとした瞬間に、対向車が強引に右折してくるシーンに遭遇したことはありませんか?
こうした、対向車の直進や左折をさえぎる形で、優先関係を無視して先に右折する行為を「かぶせ右折」と言います。
かぶせ右折は、直進しようとしていたドライバーにとっては、強引に右折され急ブレーキをかけなければならないことも多く、とても危険な行為です。
かぶせ右折の危険性について、教習所の現役検定員に話を聞きました。
かぶせ右折、する側・される側、双方に危険が
「かぶせ右折をされたドライバーにとっては、急ブレーキ、急ハンドルを誘発することになるうえ、交差点付近の他の車に接触する可能性があり、とても危険な行為です。
また、かぶせ右折を行ったドライバーは、右折する際の歩道や横断歩道にいる歩行者、自転車などを見逃す危険があります。かぶせ右折のほとんどは、慌てて右折することになるため、事故発生の危険性はとても高い状態にあるのです。」
本来交差点では、直進、左折、右折という優先順位が決まっています。そのため、右折したい場合は、直進または左折する車を待ってから右折しなければいけません。
数年前、都内で直進車が迫っているにも関わらず、強引にかぶせ右折をしたことで、直進車と右折車が正面衝突する事故が発生しています。直進車の後方を走っていた二輪車も巻き込むことになり、結果として4人の負傷者を出す事故となってしまいました。
前出の検定員によると、「かぶせ右折は心理的にかなり焦る状態になるため、周囲が著しく見えにくくなる」と指摘します。
「右折待ちをしている後続車にとっては、先頭車両が右折できるのになかなか右折せずに待たれていると、苛立ってしまう気持ちもあるのでしょう。
しかし、そういった心理状態でのかぶせ右折は、穏やかな心理状態で右折したときよりも、半分以上周囲が見えていない可能性があります。」
実際に教習所内でも、かぶせ右折を検証したことがあるそうです。
その検証によると、直進車が迫っている状況で強引に右折したところ、ベテランドライバーであっても、交差点の自転車や歩行者に気づけなかったという結果が得られたそう。
さらに焦りでアクセルやブレーキを踏み間違えてしまう可能性も出てきます。かぶせ右折はかなり危険な行為だと認識しておくことが重要なのです。
- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...