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当て逃げはダメ!ぶつけてすぐに「私が当てました」と自首すれば罪は軽くなる?

駐車場などで頻発する当て逃げやドアパンチ。ぶつけたショックでパニックに陥ってしまったり、そもそも接触に気づいていなかったりと、さまざまなケースが考えられます。

被害者の泣き寝入りも多いと言われる当て逃げですが、近年では駐車中の録画機能を備えたドライブレコーダーも増えており、相手車両を特定できる可能性が高まっていくと期待されています。

万が一、車をぶつけてしまった場合には、ドライバーはただちに警察に通報しなければいけません。思わずその場を離れてしまえば、後々さらに大きな責任を負うことになるのです。

実際に、その場で通報するケースと、当て逃げをしたケースを比べた場合、その後の処分にどのような違いが生じるのでしょうか。

ドアパンチの罰則はないが、損害賠償責任はある

©New Africa/stock.adobe.com

まず、駐車場などで他の車両にぶつけてしまった時、「その場で警察を呼んだ場合」にはどのように扱われるのでしょう。

一般に、交通事故が起きた際にドライバーに課されうる責任としては、刑法上の「刑事責任」、違反点数に関わる「行政責任」、相手方への損害賠償などに関わる「民事責任」の3つが挙げられます。

このうち、物損事故において生じるのは「民事責任」です。警察署の関係者によれば、「物損事故は基本的に、刑事処分の対象にはなりません。とくに道路交通法に反する行為がなく、駐車場で他の車両に接触したような状況であれば、多くの場合行政処分の対象にもなりません」とのことです。

つまり、人の死傷を伴わない事故で、ただちに事故があったことを警察に報告した場合には、基本的に刑事罰や違反点数は科されず、民事上の「損害賠償責任」のみが発生する、ということになります。

建造物にぶつけた場合は罰金刑となる可能性も

ただし、過失による物損事故であっても「建造物」を損壊してしまうと、刑事責任・行政責任に問われる可能性があります。

警察署関係者は、「たとえばブレーキとアクセルを踏み間違え、店舗の入り口を破壊してしまった場合などは、『運転過失建造物損壊罪』が適用される可能性があります」としており、その場合の法定刑は「6ヶ月以下の禁錮または10万円以下の罰金」です。さらに行政処分として、違反点数3点(もっぱら自身に非がある場合)が加算されます。

なおこの点数は「付加点数」であり、違反内容に応じた「基礎点数」に加算される点数です。たとえば不注意で車をぶつけてしまった場合には、基礎点数として「安全運転義務違反」の2点がベースとなり、これに「建造物損壊罪」の3点を加えた合計5点が違反点数となります。

物損事故であっても「当て逃げ」には罰則がある

このように建造物損壊の例を除き、物損事故は基本的に刑事処分・行政処分の対象になりませんが、「当て逃げ」の場合には扱いが大きく変わります。物損事故であっても、その場から逃げてしまうと、刑事処分・行政処分の対象となりうるのです。

道路交通法第72条1項においては、事故を起こしたドライバーの「報告義務」が定められています。人身事故・物損事故いずれの場合でも、自動車事故を起こした際にはただちに警察に通報しなければいけません。

この報告義務を怠った場合には、道交法上の「報告義務違反」として「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科されます。状況によっては、ここからさらに重い処分が科される可能性もあります。

「危険防止措置義務」の対象となればさらに重い罪に

警察署の関係者によれば、「道路交通法第72条1項には、報告義務だけではなく、事故を起こした際の『危険防止措置義務』というものが定められています。たとえば衝突によって飛び散った破片を片付けるなど、ドライバーは後続する危険を予防する措置をとらなくてはいけません」とのことです。

危険防止措置義務違反に対しては、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」が科されます。さらに行政処分として、付加点数5点が加えられます。たとえば基礎点数の部分が「安全運転義務違反(2点)」であれば、合計7点が違反点数となります。

それまでに点数の累積がなく、免許停止処分などを受けたことがなくとも、違反点数7点は「30日間の免許停止処分」に該当する点数です。その場での通報および危険防止措置を怠ることで、刑事罰に加えて免許停止の行政処分が科されうることになります。

つまり同じ接触事故でも、「当て逃げ」した場合、加害者が自分と特定されれば刑事罰や違反点数が科されてしまいますが、「わたしが当てました」と相手や警察にすぐ報告した場合は罰則の対象にはならないのです。

小さな傷でも当事者間で済ませないことが大事

©rh2010/stock.adobe.com

ドアパンチなど、ごく軽微な傷しか見つからない場合、その場で本人同士による解決を図ることがあるかもしれません。しかし当事者のみによる示談は、後々トラブルに発展するおそれがあるため、警察に通報したうえで、保険会社に連絡することが望ましいでしょう。

保険会社のスタッフは、「当事者間による話し合いは、『言っていたことと違う』という状況に陥りやすいです。後から加害者側が『やっていない』と言い出したり、あるいは被害者側が法外な修理費や治療費を請求したりと、解決が難しくなるケースも考えられます」と話します。

その場での通報を怠った場合、後から任意保険を利用することも難しくなってしまいます。先のスタッフは、「警察に報告がないと、事故証明がないため保険会社としての対応に時間がかかるケースが考えられます。ドライブレコーダーなどで事故の状況が明らかであればスムーズにいきやすいですが、調査会社などの介入が必要になる場合もありますので、小さな事故でも通報は欠かさずにしていただきたいです」と注意を呼びかけます。

万が一車をぶつけてしまった場合には、どんなに軽微な物損事故であっても、「周囲の安全確保」と「警察への通報」がドライバーには義務づけられています。後々のトラブルを防ぐためにも、パニックに陥ることなく、冷静な対処に努めましょう。

車をぶつけられたときに補償をを得るためには?

当て逃げ被害者は泣き寝入りするしかない?

執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

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