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【基礎知識】バイパスとは?役割や交通ルールについて解説
バイパス道路の「バイパス」とは何?
日本全国には「バイパス」と呼ばれる道路が多数あります。バイパス道路とはどのような道路なのか、国土交通省のウェブサイトでは次のように解説しています。
バイパスとは、ある地域を迂回させて通過交通がその地域を通らないようにするための道路のことで、多くの場合、その地域に出発地または目的地をもつ地域間交通を円滑に分散し、または導入する役割も果たすものです。
国土交通省ウェブサイト
つまりバイパス道路とは、地域間の交通をスムーズにするために、混雑しやすい市街地や一般道などを迂回する道路です。その規模は大小さまざまで、全長70km以上に達するバイパス道路がある一方、全長2km程度のバイパス道路も存在します。
広義の意味は「そばを通る」
バイパス(bypass)のbyは「そば」を、passは「通る」を意味します。広義のバイパスとは「旧来またはメインのもののそばを通る仕組み」全般を指す言葉といえるでしょう。
そのため、バイパスという言葉は、交通以外の分野でも専門用語として使われています。たとえば医療の分野では、閉塞した血管の代用として手術によって作る人工血管をバイパスと呼んでいます。
また、水道やガスの工事で設置される臨時の配管(水やガスを止めないための迂回路)もバイパスと称されるものの1つです。このほか電子回路の分野では、ノイズ吸収や電圧安定に用いる側道的なコンデンサを「バイパスコンデンサ」と呼んでいます。
バイパス道路の役割は?
バイパス道路は地域が抱える交通の問題を解消します。たとえば、京都市左京区の市原と鞍馬を結ぶ「二ノ瀬バイパス」は、周辺地域の交通環境を大きく改善したバイパス道路の1つです。
二ノ瀬バイパスが開通する以前、市原と鞍馬をつなぐ道路は幅の狭い旧道しかありませんでした。筆者がこの地域で運送業をしていた当時も旧道しか使えず、たびたび不便が生じていたことを今でも覚えています。
頻発していた旧道の渋滞が解消された例も
鞍馬は貴船神社や鞍馬寺で有名な観光地。観光シーズンには多くの乗用車や観光バスが詰めかけます。ただ、旧道には車同士ですれ違いにくい場所が多く、二ノ瀬バイパスが建設される以前は、大渋滞が観光シーズンの風物詩となっていました。
筆者が鮮明に覚えているのは、カーブを曲がりきれず立ち往生した大型観光バスによる渋滞です。切り返しのために後続車がバックすることになり、筆者も10分以上の足止めをくらいました。
しかし、2015年3月に二ノ瀬バイパスが開通してからは、市原から鞍馬まで3〜4分程度で到着できるようになり、渋滞は起きにくくなっています。また、交通量の減った旧道は安全性が高まり、自転車や徒歩で通りやすい道となりました。
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名前に「バイパス」が付かないバイパス道路も
バイパスとして機能する道路は無数にありますが、そのすべてに「バイパス」の名前が付くわけではありません。たとえば、横浜市の戸塚区上矢部町と神奈川区立町を結ぶ全長11.3kmのバイパスは「横浜新道」と呼ばれています。
一方、同じく神奈川県にある、横浜市戸塚区影取町と藤沢市羽鳥をつなぐバイパスの名称は「藤沢バイパス」です。名前の付け方は異なりますが、横浜新道と藤沢バイパスはどちらも国道1号のバイパスとして建設されています。
このほか、三重県亀山市の川合町と大岡寺町をつなぐバイパス道路は「亀山バイパス」、同じく亀山市と奈良県天理市を結ぶバイパスは「名阪国道」と呼ばれています。
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道路名にバイパスが付くかはケースバイケース
横浜新道や名阪国道のように、バイパスの名が付かないバイパス道路は全国各地にあります。バイパスとは道路に与えられた役割であり、単語として道路名に含まれるか否かはケースバイケースと捉えておくとよいでしょう。
普段お使いの道路の中にも、名称にバイパスと付かないバイパス道路があるかもしれません。たとえば同じ地域に旧道と新道がある場合、後者はバイパスとして作られた可能性があります。
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バイパス道路の交通ルールはどうなっている?
バイパス道路の交通ルールは場所により異なります。一般道と同じように走れる道がある一方で、有料になっている道や、125cc以下のバイクでは走れない道(自動車専用道路)もあるので気を付けましょう。
また、有料区間と無料区間が組み合わされたバイパスや、区間によって制限速度が変わるバイパスもあります。はじめて利用するバイパス道路が交通経路に入っている場合は、事前に情報を確認しておいたほうがよいでしょう。
以上の注意点はあるものの、標識に従えばバイパス道路の利用で困ることは基本的にありません。お住まいの地域のバイパス道路をチェックして、移動時間の短縮に活用してみてください。
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- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...