MOBY(モビー)自動車はおもしろい!

MOBY[モビー] > お役立ち情報 > 役立つ情報 > シーケンシャルミッションとは?構造とメリット・デメリットを解説!市販車はある?
役立つ情報

更新

シーケンシャルミッションとは?構造とメリット・デメリットを解説!市販車はある?

シーケンシャルトランスミッションとは?

シーケンシャルトランスミッションとは、1速ずつギアを操作するトランスミッションです。sequential=継続的という意味の通り、順番にギアを上げる、または落としていきます。

1速ずつギアを操作できるためシフトミスがないことがメリットで、レースの世界などで使用されています。

シーケンシャルトランスミッションのギア操作映像

一般的なMT車の場合、例えば4速で走行していて信号のために停車した場合、次に発進するときは4速からギアを抜き、1速を選択します。このとき、ギアボックスの中では、4速→N(ニュートラル)→1速とギアが動いています。

一方、シーケンシャルトランスミッションは上記のようなケースで4速から1速にする場合も、1速ずつギアを動かします。ギアボックスのなかでは4速→3速→2速→1速とギアが動いています。

シーケンシャルトランスミッションの仕組み・構造

MT車 シフトレバー
©Juri/stock.adobe.com
見慣れたMTシフトはこちら。いわゆるH型ミッション

通常、MT(マニュアルトランスミッション)では「H型ミッション」が使われています。一般的なドライバーが車の走行中にMT操作をする場合、2速→3速→4速…と順番にギアを上げていきますが、間のギアを飛ばせる「ギア飛ばし」も可能な構造です。

対するシーケンシャルミッションは、シフトレバーの前後操作や、パドルシフトの操作で、1速ずつ順番にギアを変更していきます。これは、シーケンシャルミッションのシフトゲートが一列に並んでいるためです。

H型ミッションにおいて停車時に4速→Nに戻す際にギアを飛ばせるのは便利ですが、走行中にギアを入れ間違えてしまい、意図せず「ギア飛ばし」をしてしまうと、思ったように車の操作ができなかったり、エンジンブローやミッション破損などのトラブルに繋がります。

シーケンシャルミッションはギア飛ばしこそできませんが、1速ずつ確実にシフトチェンジできるため、シフトミスを防ぐことができる構造です。

セミオートマやDCTに採用されるミッション構造

シーケンシャルミッションは、AMT(セミオートマ)やDCT(デュアルクラッチトランスミッション)に採用されるミッション構造です。

AMTもDCTも、構造上クラッチを有していますがクラッチペダル操作が不要なため、AT限定免許で乗ることができるトランスミッション形式です。

クラッチ操作とシフトチェンジを自動化したAMT、奇数ギアと偶数ギアそれぞれの操作を自動化したDCTは、電子制御の油圧アクチュエーターを搭載しています。

シーケンシャルミッションによる1速ずつのギア変更と組み合わさることで、キビキビしたスポーティな走りをクラッチ操作なしで気軽に楽しめるようになっています。

シーケンシャルトランスミッションのメリット・デメリット

©phaisarnwong2517/stock.adobe.com

メリット①シフトミスがほぼない

シーケンシャルトランスミッションはその構造上、シフトミスを防ぐことができます。1速ずつギアチェンジをしていくことで、例えば5速から4速にシフトダウンするつもりが、誤って5速から2速に入ってしまうようなミスが起こりにくくなります。

これによりエンジンやミッションに過度な負担がかかることを避けられるほか、ハンドル操作に集中できるのがメリットです。

メリット②クラッチ付き車だがAT限定で乗れる

セミATやDCTといった、シーケンシャルミッション採用車は、CVTでは味わえないキビキビしたスポーティーが乗り味が特徴です。AT限定免許でも、こうした車に興味がある人には魅力的でしょう。

クラッチ操作がないため、運転に慣れるまで自信がないという人も安心して走りを楽しめます。

デメリット①街乗りでは不便かも

シーケンシャルミッションは、即座に2つ上のギアを選択するなどの操作ができません。したがって、どのギアからもニュートラルにできるわけではないといった煩雑さがデメリットになります。

そのため、シーケンシャルトランスミッションは発進と停車を繰り返す街乗りでは不便に感じることがあるかもしれません。

デメリット②車によってはシフトチェンジ時の衝撃が大きい

CVTに比べ、MT車はスムーズにギアを繋げなければシフトチェンジ時に「ガクン」というショックがあります。さらに、H型ミッションに比べてシーケンシャルミッションを採用するセミATやDCTは、このショックが大きく感じる場合があります。

また、レース車両などで多く使われるシーケンシャルミッションの1つ「ドグミッション」は、ギアチェンジの際にギア同士をスムーズに繋ぎ合わせる機構「シンクロメッシュ」がないため、ギアチェンジのショックや音が大きいうえ、ギアが固くて操作が大変というデメリットもあるようです。

街乗りを想定して採用されるセミAT車やDCT車では問題ありませんが、社外品のドグミッションに載せ替える際は、そういった点にも注意しましょう。

(ちなみにシンクロメッシュがないと、回転が合っていなくても無理矢理ギアが入ってしまいます。そのため、ドグミッションにおいてはシフトミスする可能性があります)

シーケンシャルトランスミッションではクラッチ操作はどうなる?

通常のMT車のトランスミッションを、オーナーの意向でシーケンシャルトランスミッションに交換している場合は、従来どおり発進時やギアチェンジの際にクラッチ操作は必要です。(→シーケンシャルシフターと言います。後述します)

しかし、市販車でシーケンシャルトランスミッションを搭載しているトヨタ MR-Sなどは、クラッチをコンピュータ制御で動かしているのでクラッチペダルはなく、ドライバーのクラッチ操作は不要です。

トヨタ MR-Sのシーケンシャルトランスミッション搭載モデルは、セミATともよばれ、ギアチェンジをドライバーの任意で行いますが、クラッチ操作は自動化されています。そのためアクセルとブレーキの2つのペダルしかなく、クラッチはありません。

ドライバーがギアチェンジのためにシフトレバーを動かすと、コンピュータ制御により自動的にクラッチが切れます。ギアチェンジが行われると、再びクラッチが自動的につながる仕組みになっています。

AT車:オートマチック・トランスミッションその他のクラッチの操作を要しない機構がとられており、クラッチの操作装置を有しない自動車等

道路交通法施行規則 第19条 別表第二

この場合、操作はドライバーがギアチェンジを行い変速しているのでMT車に思われますが、発進時などにドライバーによるクラッチ操作の必要のない車はAT車と同じカテゴリーに入るため、AT限定免許でも運転が可能というわけです。

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

\ この記事が役に立ったらシェアしよう /

MOBYをフォローして最新記事を受け取ろう

すべての画像を見る

画像ギャラリー

コメント

利用規約

関連する記事

関連キーワード