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“かぶせ右折”やってない?「早く曲がりたい!」心理が招く危険な運転…重大事故のリスクは
目次
重大事故を招く危険な運転「かぶせ右折」…そのリスクと潜む問題点

交差点で直進しようとした際、対向車線で右折待ちをしていた車が急発進し、思わずブレーキを踏んだ経験のあるドライバーは少なくないでしょう。また、左折待ちで歩行者の通行を見送った後、右側から急に割り込んで右折してきた車にヒヤリとした経験を持つ方もいるかもしれません。
自分が直進しているにもかかわらず、相手がそれを見えていないのか、あるいは見えていながら無理に進行しようとしているのか。事故にはならなかったとしても、一歩間違えれば命の危険さえあったと考えると恐ろしいものです。
このような、対向の直進車や左折車の進路を妨害するような強引な右折は「かぶせ右折」と呼ばれます。この「かぶせ右折」が発端となり、過去には痛ましい事故も発生しています。
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「右折してるだけだから違反じゃない」は間違い!右折にも明確なルールがある

「右折しているだけだから違反ではない」と考えるドライバーもいるかもしれませんが、道路交通法には右折に関する明確なルールが定められています。右折時には「速度は徐行であること」そして「直進車や左折車を優先すること」が義務付けられているのです。
具体的には、道路交通法第三十四条第二項で「自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側…を徐行しなければならない」とされています。また、第三十七条第一項では「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と明記されています。
一方、「かぶせ右折」は、対向車が途切れるタイミングを見計らって急発進・急加速で右折する行為です。急発進・急加速は徐行にあたる速度とは言えず、また直進車や左折車の進路上を通過するため進行妨害となります。したがって、「かぶせ右折」は道路交通法に則った運転とは言えません。
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“右直事故”を招く「かぶせ右折」…衝突の瞬間はわずか

「かぶせ右折」は、交差点内での優先順位を無視した運転であり、交差点のルールを遵守して走行している他のドライバーの安全を脅かす行為です。
直進車、左折車、右折車にはそれぞれ優先順位がありますが、右折車はその中でも最も優先順位が低いため、対向車線にいる直進車や左折車を待ってから右折しなければなりません。直進車のドライバーは、このルールに則って走行しているため、もし直進中に「かぶせ右折」をしてくる車があった場合、まるで目の前に突然障害物が現れたかのような状態になります。
直進車のドライバーの中には、「信号が変わるかもしれない」と考えて加速を始めている場合もあります。そのタイミングを見計らって「かぶせ右折」をしたドライバーが予測したよりも早く直進車が交差点に進入すると、直進車と右折車が衝突する、いわゆる「右直事故」が発生してしまうのです。
「右直事故」は、止まらずに進もうとしている直進車と、一気に走り抜けようとする「かぶせ右折」車、いずれも動いている状態での事故となるため、衝突時の相対速度が大きく、重大な事故につながりやすいという特徴があります。
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罰則の軽さと取り締まりの現状に潜む問題点

「かぶせ右折」は違反にあたるため、本来であれば取り締まりの対象となります。しかし、実際にこの違反で検挙される瞬間を目撃したことがある人は、信号無視やスピード違反の検挙を目撃した人の数と比べると少ないのではないでしょうか。
仮に「かぶせ右折」をしたことで検挙された場合、普通車では反則金6,000円、違反点数1点の罰則となる可能性が高いようです。前述の通り、重大な事故につながる危険な運転であるにもかかわらず、その罰則は比較的軽いため、「見逃されている」ケースがほとんどだと考えられます。目的地に早く着くことを目的に「かぶせ右折」を常習しているドライバーにとっては、“ノーリスク”で早く右折できる方法となってしまっているのが現状です。
実際には、「直進してくる対向車の速度や距離を見誤る」「左折しようとする対向車の死角に入ってしまう」「影から横断してきた駆け足の歩行者に気づかない」など、多数のリスクが存在します。しかし、「かぶせ右折」をするドライバーは、安全よりも一秒でも早く目的地に着くことを優先してしまっていると言えるでしょう。
そうしたドライバーが「かぶせ右折」の危険性を自覚するか、あるいは「かぶせ右折」への罰則および取り締まりの強化がなければ、この危険な運転行動が減少することは難しいかもしれません。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...