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高速道路の逆走はなぜ起こる?納得の理由を解説!遭遇した際の対処法も
目次
高速道路の逆走事故の現状
高速道路の逆走、現状はどうなっているのでしょうか。
高速道路会社が警察の協力のもと、平成23~26年の高速道路での交通事故または車両確保に至った逆走739件を分析し、以下のような特徴を挙げています。
- 約半数はインターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)で逆走を開始
- 65歳以上の高齢者によるものが約7割
- 認知症の疑いの方が約1割で、精神障害や飲酒などの状態の方を合わせると約15%
高速道路の高齢者利用率は5%ほどなので、やはり高齢者の割合が多いようです。しかし認知症などの疑いのない方も多いことから、誰でも逆走を起こす可能性があると言えます。
逆走事故は事故全体と比較して、死傷事故となる割合が約4倍、死亡事故となる割合が約40倍となり、重大事故につながっています。
何しろ逆走事故の多くは正面衝突です。高速走行同士のクルマがぶつかるのですから、被害も大きくなります。また、周りの車も巻き込まれてしまえば重大事故になります。
高速道路の逆走はなぜ起こる?その納得の原因とは?
高速道路は、すべて一方通行で車が対向する場所はありません。それなのになぜ逆走が起きるのでしょうか。
理由は大きく3つに分けられます。
過失:案内標示を見逃し、道を間違えて逆走
- 高速道路に入ろうとして一般道からIC出口に進入し、そのまま本線を逆走
(高速道路出口部から侵入) - ICで誤ってオフランプに進入し、本線を逆走
(平面Y型ICの平面交差部) - SA・PAで誤ってオフランプに進入し、本線を逆走
同乗者との話に夢中になっていたり、うっかりして標識を見逃してしまい、出口部分(オフランプ)から侵入して逆走してしまうケースです。
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故意:行き先の間違いに気づき、正しい行き先に向かおうとして逆走
- 料金所通過後の分岐点又はJCTで行き先方向を間違っているのに気づき、本線合流部でUターンし逆走
- 誤って手前IC又はJCTに進入したため、本線に戻ろうとして、反対車線との合流点でオフランプに侵入し、本線を逆走
- 料金所通過後の分岐点での行き先方向の間違い、 または降りる予定のICの通過のため、戻ろうとして本線でUターンし逆走
過失と似ていますが、間違いに気付いて意図的に逆走するケースです。気付いた時点で車を止めて、道路管理者に連絡してください。
認知症・飲酒等:正常な判断ができない、高速道路のルールや高速道路の認識がない
- 高速道に入った認識なし
- 認知症の疑い
- 精神異常・飲酒など
今自分がどこをどう走っているかわかっていない状況で、逆走してしまうケースです。
運転者自身が逆走しているという認識がないため、事故になりやすいです。
飲酒運転についてはこちらの記事で詳細に解説しています。
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高速道路の逆走は違反?罰則は意外に軽い
高速道路の逆走はとても危険!違反の罰則もきっと重大なものに違いない!と思うところですが、実は高速道路の逆走しても罰則は意外と軽く設定されています。
高速道路を逆走すると、道路交通法第17条の「通行区分違反」という違反になり、違反点数は2点、違反罰則金は9,000円なのです。
ですが事故を起こしてしまうと、「危険運転致死障罪」に問われてしまいます。
被害者が怪我をした場合(致傷)は15年以下の懲役、死亡した場合(致死)は1年以上20年未満の懲役ということになります。また自分自身も大ケガ、最悪の場合死亡する可能性もあり得ます。
なので逆走に気付いたら、すぐ路肩に車を止めて道路管理者に連絡してください。
高速道路で逆走に遭遇したときの対応
もし逆走車に出会ったらどうしたらいいでしょうか。
まず知っておきたいのは、逆走車の近づく速さは巡行車と逆走車の速度の合算となります。自分の車と逆走車がお互い時速100km/hで走行していた場合、運転手は相手が時速200kmで近づいているように見えます。
そのため、逆走車に気づいた次の瞬間にはもう目の前ということになります。
しかし急ハンドルはスピンや車両の転倒になりやすく、周りの車も巻き込んでしまうことになるので、迅速な判断と冷静な操作が必要になります。
そのためには日頃から緊急時の対応ができるよう、正しい運転姿勢や操作を意識することが大事になります。
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運転者が逆走していることに気づいていない場合
また逆走車は運転者が逆走していることに気づいていない場合、追越し車線を走ってくることが多いです。
なぜなら逆走車にとっては左側車線になるからです。以上のことから、追越し車線を走るのは必要時のみとし、追越し車線を走行する時間を短くすることが、逆走車との衝突を避ける有効な手段といえます。
自覚して逆走している場合
一方、自覚して逆走している車(出口を過ぎてUターンなど)は路肩を走ってくることがあるので、その場合は冷静に車線を変えず徐行してやり過ごしましょう。
そして逆走車を発見したら、110番、SA・PAや道路脇の非常電話、#9910のいずれかで通報しましょう。
逆走を減らすために考えられている対策
国土交通省らが考える逆走対策があります。それは、ETC2.0などに代表されるITS(インテリジェント・トランスポート・システム)と呼ばれる高度道路交通システムです。
これは、今後発展する可能性を秘めている自動運転とも対になるプロジェクトといえます。
ITSとは
ITSには、ITSスポットや、ETC2.0など車両と相互通信するシステムで、渋滞情報、料金の支払い、GPSを活用した物流の管理、バスのロケーションオンデマンド運行、車検証のデジタル管理など、さまざまな分野にわたり、自動化や、情報化に向けた仕組みが多く含まれています。
東日本高速道路(NEXCO東日本)などでは、2016年から2018年にかけては逆走事故が57件から32件に減少したとしていますが、依然として逆走事故が発生している状況を受け、その対策を考える必要があったとしています。
これらについて、検知・警告の方法が以下の3つに分けられています。
- 道路側での逆走車両への注意喚起
- 道路側で逆走を発見し、その情報を収集する技術
- 車載機による逆走車両への注意喚起
そこでNEXCO東日本は、民間事業者などから逆走対策技術を募集し、2018年に1.が11件、2.が4件、3.が3件の計18件の有効な技術を選定したとしています。
3.の一例ですが、ITSのひとつであるETC2.0利用者に対し、車載機の進行方向を検知し逆走車に警告を行うものなども含まれています。
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高速道路の逆走を起こさないためには
高速道路での逆走が問題になってから、高速道路会社では様々な対策を講じています。
出入口での大きな案内標識や侵入口での方向指示など、気をつけて案内標識を確認すれば、間違って逆走してしまう可能性はどんどん低くなっています。
目的の出口を通り過ぎたら「特別転回」を!
また目的の出口を通り過ぎてしまったときは、逆走せず次の出口まで行って、「特別転回」という手段があります。
次の出口の料金所で係員に乗り過ごした旨を伝え、特別転回証明書を受けて目的の出口まで反対車線を通行して戻れば、余分な料金を払わずにすみます。
そして万が一間違って逆走状態になってしまったら、すぐ車を路肩に止めてハザードランプを点灯し、道路管理者に連絡してください。通行区分違反にはなりますが、何より事故の可能性をなくし、安全に通行することができます。
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- 執筆者プロフィール
- 渡辺 喬俊
- 1986年生まれ、元システムエンジニアからクルマ業界へ転身、社外品サスペンションの試作や、ドライビングサポートのセンサー部品テストドライバーの仕事を経験。愛車はSW20 MR2とBP5 レガシィ。壊れない車が欲し...