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道交法・交通事故

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登坂車線とは?追い越しや速度制限・駐車についてわかりやすく解説

登坂車線とは?

登坂車線の看板
©komta/stock.adobe.com

登坂車線とは、高速道路上の長い上り坂や一般道の急傾斜区間の本線左側に設置された付加車線であり、登坂車線の手前には一般道では青、高速道路ではおもに緑の標識で車線のはじまりが明示されています。

急坂ではエンジン出力や積載重量などの違いによる加速性能や登坂性能の差が顕著に現れることに配慮し、速い車と遅い車を分離させて危険や渋滞を避けるのが登坂車線の目的です。

国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」には「登坂車線のある道路では、荷物を積んだトラックなど速度の遅い車は、登坂車線を利用しましょう」と積極的な利用を促しています。

もちろん登坂車線はトラックだけでなく、どのような車でも走行可能です。ただし、登坂車線を走行する際には注意すべき点も多くあります。

登坂車線に速度制限はある?

©serikbaib/stock.adobe.com

一般道の登坂車線には、特別な速度制限は設けられていません。ただし高速道路の登坂車線は一般道と同じく法定速度が60km/hとなっている点には注意が必要です。

一般道にある登坂車線については、前後の道路と同じ速度ルールが適用されます。それに対し高速道路上の登坂車線は本線には該当せず、法定速度が一般道と同じ60km/hに制限されるため、本線に適用された高い法定速度や制限速度を保ったまま、登坂車線を走行し続けると速度超過違反で罰せられる恐れがあります。

また高速道路上の登坂車線は、速度指定がない場合に設けられる最低速度が適用されないため、50km/h以下の低速走行も認められます。

登坂車線がある道路は合流の速度差に注意

とくに高速道路の登坂車線は、本線との速度差が大きくなりやすく、合流地点で本線を走行する車を妨げたり、追突する事故が起こりがちです。そのため近年は、登坂車線を設置するよりも右側付加車線の増設が主流になりつつあります。

高速道路走行時はもちろん、一般道でも登坂車線が設けられた道路を走行する際は、それぞれの車線の速度差に注意が必要です。「登坂車線終わり」の標識を確認したら、登坂車線を走行している車は合流に備えて加速体勢を整えましょう。本線を走行している車は、遅い車が登坂車線から合流してくることに注意して走行してください。

登坂車線から追い越しをしてもいいの?

©M・H/stock.adobe.com

登坂車線を走行中、本線へ車線変更しての追い越しは問題はありません。しかし、本線から登坂車線を使っての追い越しは一般道、高速道路ともに禁止です。登坂車線を使って追い越しを行った場合、「追越し違反」により反則点数2点、反則金9,000円(普通車)の罰則が科せられます。

走行車線に戻らない登坂車線を使っての追い抜きに関しては、明確な罰則は定められていないものの事故リスクを引き上げる行為です。道路交通法第28条に定められているとおり、追い抜きは原則として右側から行わなければならない点は登坂車線がある道路でも変わりません。

空いているからといって、登坂車線を使って前走車の前へ出る行為は「追い越し違反」であるとともに「速度超過違反」にも問われやすい行為です。あくまで登坂車線は遅い車が後続車に道を譲るための車線です。

登坂車線に駐車してもいいの?

©Ichiro/stock.adobe.com

事故や故障、自然災害などのやむをえない場合を除き、登坂車線へは駐車も停車もできません。高速道路上の登坂車線は本線には該当しませんが、道路交通法第44条では急勾配も駐停車禁止の場所として指定されているため、場所を問わず登坂車線での駐停車は禁止です。

登坂車線への駐停車が違反として認められた場合は「駐停車禁止違反」として、反則点数2点、反則金12,000円(普通車)の罰則が科せられます。どうしても登坂車線に車を駐めなければならない場合は、二次事故に発展しないよう安全確保に努めましょう。

その際は平地と同じように、車を路肩や道路の左端などに移動して、非常点滅灯(ハザードランプ)や発炎筒、停止表示器材などを使い、後続車へ停車していることを合図してください。長時間の駐車を強いられる場合は、輪止めの使用も推奨されます。

登坂車線から追い越しをしてもいいの?

高速道路を走行する車
©︎beeboys/stock.adobe.com

破線で区切られている登坂車線は、加速や合流のための車線とよく似ています。しかし、登坂車線から追い越しするのはNGです。

先述したとおり、登坂車線は速度が遅い車のために設置されている車線であるためです。

教習指導員の資格を持つ方によると「登坂車線は、速度が遅い車が走行するために用意されている車線です。よって、原則として、登坂車線を使って本線道路の車を追い越してはなりません。前を走る遅い車を追い越したいのであれば、道路交通法にも書かれているとおり、追い越したい車の右側から追い越すのが基本です」とのことでした。

そもそも、登坂車線を使って追い越しをすると、追い越したい車の左側から追い越すことになってしまいます。追い越しは追い越したい車の右側から行わなければならないため、登坂車線を使っての追い越しは道路交通法違反となり、加点2点と反則金9,000円(普通車の場合)が課せられることとなります。

登坂車線に駐車してもいいの?

繁華街でタクシーが支払いのために停車している場面
@Bordo/stock.adobe.com

前述の通り、低速走行する車のための車線であるため、登坂車線上への駐車は基本的にNGです。

ただし、事故や故障など、やむを得ない事情がある場合は例外となります。やむを得ず車を停めなければならないときは、二次事故が発生しないよう安全確保に努めましょう。

車を停めなければならない事情が起きたときに車を移動できる場合は、車を路肩や道路の左端などに移動して、非常点滅灯(ハザードランプ)や、発炎筒・停止表示器材を使い、後続車へ停止していることを合図します。

登坂車線も同様で、登坂車線やそれに接する路肩や路側帯で運転することができなくなったときも、ハザードランプや停止表示器材を使って停止していることを後続車に知らせなければなりません。

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新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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