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進路変更禁止の注意喚起標示「道路上のオレンジ矢印」上では車線変更してOKってホント?

2021年に新設された注意喚起区間表示とは?

進路変更禁止区間がその先にあることを示すもの

赤枠の部分が今回新たに新設された標示

2021年4月28日、進路変更禁止の注意喚起を目的とする表示が新設されました。これは「注意喚起表示」と呼ばれていて、その名の通り進路変更禁止区間手前でその旨を注意喚起するものです。つまり、運転中に注意喚起表示を確認したら、進路変更に注意しなければならないということになります。

進路変更禁止区間での進路変更(具体的には追い越しのための車線からのはみ出し)は道路交通法違反になりますが、その違反が円滑で安全な交通の妨げになる可能性があります。注意喚起表示は交通の安全を守るために活用されるというわけです。

注意喚起表示の種類

注意喚起表示の設置にあたり東京都内の一部地域で試行設置(2021年1月16日〜3月13日)が行われました。矢羽根型とドット型という2種類の注意喚起表示が使用されましたが、最終的には矢羽根型が標準仕様として使われることになりました。

矢羽根型が採用された理由は費用面でドット型を上回っているからです。ドット型の設置費用は屋根羽型と比べると約3.8倍で、さらには形状的に車両タイヤと接触しやすい(つまり踏まれやすく削れやすい)とまとめています。

標示の色は進路変更禁止と同じオレンジ色

実際の効果は?

警察庁は、試行設置は東京都内の入谷交差点と西麻布交差点の2ヶ所で行われ、進路変更禁止区間での車線変更車両の減少がその両方で確認されたと報告しています。

入谷交差点では試行設置前では411台だったのがドット型で146・矢羽根型で18台まで減少したことで96%の減少が確認されました。西麻布交差点では122台だったのが矢羽根型で78台・ドット型で17台とこちらは86%の減少です。

データを見ると比べて10%の差があることからドット型を導入すべきと考える人もいるでしょう。しかし先ほどお伝えしたようにドット型の設置費用が屋根羽型の約3.8倍であることを踏まえると、コストパフォーマンスに優れるのは屋根羽型なのは明らかで、実際に屋根羽型が採用されているのは性能面と費用面に重きを置いた合理的と言えるでしょう。

規制標示「進路変更禁止」の注意喚起表示の新設について」(警察庁)を元に作成

注意喚起表示(オレンジの矢羽根型)の上で車線変更してもいい?

注意喚起表序の上で車線変更することは可能です。

注意喚起表示は法定外表示とされています。法定外表示とは道路標識等の法的なものが交通規制に効果を発揮するために注意喚起をするものです。一時停止の道路標識が設置されている路面に書かれている「止まれ」も法定外表示の一種です。

つまり法定外表示はその先の交通規制を伝えることが役割で、それ自体が何かしらの法的効力を持たないことになります。そのため、注意喚起表示のあるところで車線変更をしても(車線からはみ出しても)道路交通法違反にはならず検挙されることはありません。

オレンジの実線上は車線変更禁止!

車線変更禁止の規制区間のイメージ
©xiaosan/stock.adobe.com

片側1車線の道路や2車線以上の道路の交差点間際などに引かれている橙(だいだい)色の線は進路変更禁止区間を示しています。

進路変更に関する法的取り決めは道路交通法第26条の2(進路の変更の禁止)にあります。その内容をまとめると、次の3つに該当する行為は道路交通法違反として取り締まりの対象となっています。

  1. みだりに車線変更をすること。
  2. 車線変更先の車線の後方から接近してくる車両の速度や進行方向を急変更させる恐れがある中での進路変更。
  3. 進路変更禁止が道路標識によって区画されている道路での進路変更(規定に該当するものを除く)。

見知らぬ土地をカーナビや地図アプリを頼りに走っていたら、交差点に差し掛かったところで進路変更禁止区間があることに気がついて直進したかったのに致し方なく左折した経験や、片側1車線の道路の進路変更禁止区間での追い越しで検挙された経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういった「未曾有の危機」を防ぐためにも、この注意喚起表示は役割を果たします。

進路変更禁止区間で違反した場合の罰則は?

道路交通法第120条によると、進路変更禁止区間での違反行為(進路変更禁止違反)で検挙された場合には5万円以下の罰金となっていますが、点数制度と反則金制度で処理されるのが一般的です。違反点数1点、反則金6,000円(普通車)となっています。

【おさらい】センターラインの色と意味

実線や破線、白色に橙色、さらには実線と破線が入り混じるものなど、様々なセンターラインが導入されています。それらのまとめると、次のようになります。

種類道幅意味
実線6m以上はみ出し禁止
実線橙色6m未満追い越しのためのはみ出し禁止
破線6m未満はみ出し、追い越し可能
実線白+白6m以上はみ出し禁止(強調)
実線橙色+橙色6m未満追い越しのためのはみ出し禁止(強調)
実線橙色+白+橙色追い越しのためのはみ出し禁止
実線+破線橙+白破線+橙追い越しのためのはみ出し禁止
実線+破線橙+白破線黄色実線側:追い越しのためのはみ出し禁止
白色破線側:はみ出し、追い越し可能

これらを見比べると、追い越しのためのはみ出しを禁止しているのは橙色の実線のみになりますが、白色の実線ははみ出しを禁止していることがわかります。

白色のセンターラインは実線と白線の2種類が存在し、はみ出しや追い越しの交通規制が異なるので、橙色よりも気をつけるべきものと言えるかもしれません。

世の運転手は道路交通法に則って運転しています。その中で道路交通法に違反する行為をすることは車社会の安全を脅かす行為であり、進路変更禁止区間での進路変更も同様です。確実かつ安全なところで進路変更を行い、安全な車社会の実現に貢献しましょう。

トンネル内の車線変更禁止の理由は?追い越しができないトンネルとは?

センターラインによる「はみ出し禁止」とは?センターラインの横断・右折はできる?

ゼブラゾーンの役割とは?ゼブラゾーンを走行しても違反ではない?走る時に気をつけることって?

執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。

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