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強化クラッチのメリットは?寿命や交換時期
強化クラッチとは?
クラッチとしての性能を高めたもの
純正品よりも動力伝達能力性能を高めたものが強化クラッチです。加えて、クラッチの耐久性の強化やシフトフィーリング向上などの役割も担っています。
つまり、ただクラッチを強化するのではなく、目的意識を持って強化クラッチを導入することが大切ということです。
強化クラッチのメリット
チューニングカーのクラッチの滑りを抑える
強化クラッチの恩恵を最も受けるのはチューニングカーであることに疑いはありません。
高出力・高トルク化されたエンジン、ブレーキ性能やコーナーリング性能を向上させるハイグリップタイヤ、空転を防いでトラクションを稼ぐLSDなどが装備された自動車の性能を余すことなく発揮する役割を果たします。
別の言い方をすれば、こういったチューニングが施されていない車種では強化クラッチを導入したからといって同様の効果を期待できるわけではないのです。
運転にダイレクトなフィーリングが生まれる
「遊び」がなくなった分だけシフト操作時のフィーリングダイレクト感が増します。
今まさに自分が変速機を操作していること、そしてクラッチが動力を駆動系へ伝えることを、よりリアルな体験として味わえるのは、まさに強化クラッチならではでしょう。
強化クラッチのデメリット
クラッチペダルが重くなる
強化クラッチを導入するとクラッチペダルが重たくなります。この現象が発生する具体的な理由は、クラッチカバーのダイヤフラムスプリングが高圧着力仕様になっているからです。
ダイヤフラムスプリングがプレッシャープレートを通じてクラッチディスクを押さえつける力が強ければ、その分だけ動力を断続する(=クラッチペダルを踏む)のにも大きな力が必要となります。
かくして強化クラッチを導入するとクラッチペダルが重たくなるのです。
半クラッチの範囲が少なくなる
クラッチペダル操作時の遊びの範囲、つまり半クラッチの範囲が少なくなります。より繊細なペダルワークが求められることとなり、発進の難易度が難しくなるのです。
半クラッチの範囲が広いMT車に乗っている人が強化クラッチのMT車を運転すると、最初は難しく感じます。ただ、動き出した状態でのシフトアップはとても気持ち良いです。
駆動系への負担が増す
クラッチペダルが重たくなったり半クラッチの範囲が狭くなったりとドライバーの「負担」が増えますが、負担が増すのはドライバーだけではありません。駆動系パーツに純正クラッチ時よりも大きな負担が掛かるようになります。
そもそも、クラッチが滑ることは悪いことではありません。一定以上の力がかかった時にクラッチが滑ることは、過度な力が駆動系部品にかからないにすることでもあります。
モータースポーツのような1000分の1秒を競う場面ではクラッチが滑っていてはダメですが、日常生活を送るにあたっては耐久性に合わせた伝達で短命化を防ぐと解釈できるでしょう。
強化クラッチの構成部品
クラッチディスクの摩擦部分の材質や使用されるクラッチディスクの枚数といったように、一言にクラッチといってもいくつかの部品で構成されています。
それぞれのパーツの役割を理解することは、強化クラッチの魅力や強みを知るうえで必要不可欠です。
クラッチディスク
クラッチディスク表面で実際に摩擦を生み出す部分はフェーシングと呼ばれています。
強化クラッチの中にはフェーシング部の材質にメタルフェーシング(合金)が採用されているものがあり、これがいわゆるメタルクラッチです。純正クラッチのフェーシングは銅や樹脂などを混合したものが採用されています。
クラッチディスクの枚数に注目すると、クラッチディスクが2枚使われたものや3枚使われたものがあります。こういったものはマルチプレートクラッチと呼ばれていて、クラッチペダル操作を比較的軽くできるのが特徴です。
クラッチカバー
クラッチカバーにはプレッシャープレートとスプリングダイヤフラムが組み合わされています。クラッチディスク側から見ると、プレッシャープレート、スプリングダイヤフラム、クラッチカバーの順番です。
強化クラッチカバーではプレッシャープレートのクラッチディスクをフライホイールへ押し付ける力が純正品より強く、それにより強力なエンジンパワーをあますことなくトランスミッションへ伝えることに貢献します。
連続してシフト操作を行うとクラッチカバーの温度が上がるので、高温域で性能を失わないように対策するのもノウハウの1つです。
クラッチカバーは動力伝達だけでなく遮断も行うパーツです。そういうこともあり、強化品ではシフトフィーリング向上を狙った設計が為されています。
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