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ジャダー現象とは?原因と発生しやすい車がある?整備工場経営者が解説

ハンドルがガタガタ……もしかしたらジャダー現象かも

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©Тарас Нагирняк/stock.adobe.com

車を運転しているときハンドルがいつもより大きく振れることがあります。これはジャダー現象が原因かもしれません。「ジャダー」とは、英語のJudder「激しい振動」という意味です。日本では、車や機械などに起こる異常振動のことを指す言葉として使われています。

ハンドルの小刻みな振れの多くは、路面状況が悪い場所を走行することで発生するでしょう。振動が発生しても、すぐに収束し、その原因が明確に分かっている場合は問題ありません。

しかし、路面状況がよく、直進しているだけなのにハンドルが左右に大きくぶれるなどの症状がある場合には、ジャダー現象が発生している疑いがあります。激しくステアリングがぶれると蛇行運転を招き、結果として、自分だけでなく周囲のクルマや人にも危険を及ぼす可能性があるのです。

ジャダー現象は発生してから放置し続けると、車のコンディションに悪影響をきたすことも。自動車整備工場を営む筆者が、ジャダー現象の起こる原因や解決策など、体験を踏まえて解説していきます。

ジャダーが起きる原因とその解決策

オートマチックトランスミッション
© Wilson. P/stock.adobe.com

ハンドルの振れは全てがジャダー現象によるものではありません。ハンドルが振れる現象には、シミー現象と呼ばれるものもあります。

この2つの症状は、ハンドルが激しく振れるという点では同じです。しかし、シミー現象は、タイヤの歪みや空気圧の減少などが原因で車全体に振動を感じるものですが、ジャダー現象は、ミッションやブレーキトラブルが原因で起こるもの。そのため、ハンドルそのものに強い振動を感じる場合は、ジャダー現象である可能性が高いと言えるでしょう。

ジャダー現象の原因で多いのは、ミッショントラブルやブレーキローターの錆です。走行中であれば、路肩に停車して少し時間を空けると症状が治まることがあります。しかし、症状が治まったからといって放置すると、状況は悪化するばかりです。すぐに修理工場やディーラーに問い合わせて整備をしてもらいましょう。

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ジャダー現象が起こりやすい車はある?

CVT
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以前、わたしのところにホンダ フィットの初期型を所有している女性のお客様が2人いました。どちらのお客様も「車の調子が悪い」という理由で来店され、その症状は、ミッションを入れ間違えで起こる現象に似ていたのです。

原因を追及すると両車ともミッショントラブルでした。フィット(GD1~4型)には、CVT(HONDAマルチマチック)というミッションが搭載されています。このミッションでは、発進時にアクセルを踏み込むとガタガタと音を立ててハンドルが左右に振れるというジャダー現象が複数報告されています。

このフィットと同型のホンダマルチマチックを搭載したエアウェイブ、モビリオなどでも、同様のジャダー現象が多く、ホンダは当該5車種のトランスミッションの保証期間を延長する措置をとっています。

(参考:平成22年3月25日発信フィット、エアウェイブ、モビリオなど 5車種のトランスミッションの保証期間延長

保証延長の内容は、従来「新車登録から5年・10万キロのどちらか早い方まで」とされていたトランスミッションの保証を、「新車登録から7年・16万キロのどちらか早い方まで」とするものでした。(現在、こちらのメーカー保証は期限を経過し、適用はできません)

これらの症状は、CVT車専用のミッションオイル(ATF)を交換することで改善されました。しかし、本来2万km〜3万km、車種によっては10万kmでも交換不要のATFを取り替えたことで、違うトラブルが出ないよう定期的に車を入庫してもらうようお願いをしました。

このように、メーカー保証延長を行わなければならないほど、GD型フィットにはジャダー現象が多く、トランスミッションオイル交換やクラッチ一式を無償交換が行われていた過去があります。よって、「ジャダー現象が起こりやすい車」というものは存在しうると言えるでしょう。

こうしたケースはメーカー側が対策を行ってくれるものです。しかし、このようなミッション不具合は対象の車以外でも起こり得ます。

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©︎beeboys/stock.adobe.com

ジャダー現象の主な原因は、いくつか挙げられますが、このようなミッション不具合によるものが多いです。特に、CVT車は低燃費で快適な走行が可能ですが、加速減速を頻繁に繰り返すとギアとベルトが摩耗してジャダー現象が起こりやすくなります。

出発から到着までの距離が目安として8km以下の走行を「短距離走行」と定義しますが、これは車にとって負担の多い走行状況(シビアコンディション)に該当します。つまり、油脂類が温まり良く循環する前にエンジンが切られてしまう、車の機構全体が動き温まる前に動きを止めるというのを何度も繰り返している“ちょい乗り”車は、走行距離が少なくても車に多くの負担がかかっているのです。

シビアコンディションでは油脂類の交換時期や、各部品の消耗も早まります。

普段から加速減速の多いCVT車に短距離走行でより大きな負荷をかけるとジャダー現象が起きやすいのではないかというのが、整備の現場でジャダー現象を多く見てきた筆者の考えです。

アクセルとブレーキを頻繁に踏みかえて運転している人や、街乗りや送迎など短距離走行が多い人は、ハンドルの振れが気になったら気をつけましょう。

また、走行中、ギアチェンジを間違えたような音がしてハンドルが激しく振動する際には、安全な場所で停車しましょう。その後、早急にディーラーや整備工場での点検を行ってください。

ジャダー現象は一度回復しても、再発の起こりやすい不具合です。おかしいなと思ったら、すぐにプロの判断を仰ぐことがセーフティドライブの第一歩となります。

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執筆者プロフィール
河野みゆき
河野みゆき
1975年生まれ。経理事務の仕事を経て、23歳で家業の自動車整備販売業を継ぐ。主な業務は自動車販売、車検業務、自動車保険の取り扱いなど。自動車に関する知識を女性目線で発信したいと思い、ライターとしても活...

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