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調子のいい過走行車(高年式車)へ!購入時やメンテナンスにおける注意点|おすすめのエンジンオイルの粘度や交換頻度は?
車によく乗られる方、もしくは古い車で走行距離の多い方はオイル交換をはじめ、メンテナンスをしっかりと行うことが大切です。
最近の車はとても性能が良いため、10万キロでも平気で走ることができますが、車も人と同様、歳を取ればいろいろな箇所にガタがきますし、交換部品の数も増えてきます。しかし適切な箇所のメンテナンスを行うことで、いつまでも調子の良い状態を維持することができるのです。その中でもエンジンオイルのメンテナンスは小まめに行う必要があり、車の知識がない方でも簡単に行うことができる重要なメンテナンスであるといえます。
今回は過走行車の解説と過走行車の調子を維持し続けるために必要である、エンジンオイルのメンテナンスに重点を置き、その他のメンテナンス方法も簡単にご紹介していきます。
※ 本コラムはあくまでも一整備士の見解も含まれた内容となっています。予めご了承ください。
目次
過走行車とはどれぐらいの状態のことを指すの?
中古車は走行距離に応じて評価されます。過走行車とは標準的な走行距離よりも多く走っている中古車のことです。標準的な走行距離は、一般的に1年間で8,000キロ~1万キロとされています。そのため、ただ走行距離が長ければ過走行車というわけではありません。
例えば、5万キロを走った車でも、10年かけて5万キロの車でしたら、年間5千キロしか走行していなので走行距離は標準よりも少ないといえます。よって、このような車は過走行とは言いません。一方、3年間5万キロ走った車となれば年間1万6千キロ程度は走っていることになりますので、過走行と言っても良いでしょう。
このように、過走行車であるかどうかは、年数と距離を合わせて評価しなければなりません。
過走行車でもメンテナンスと条件次第では過走行車でもOK
車は20万キロ程度は持つように設計されていると言われています。そのため、過走行気味の車であっても、購入時の注意とその後のメンテナンスに気をつけて乗っていけば中古車として決して悪い選択肢ではありません。車選びの際にはどのようなところに注意すればよいのでしょうか。
過走行車を選ぶときに注意すること
同じ年式の車でしたら走行距離が多ければ多いほど評価は低くなり、安く買うことができます。しかし、通常よりも走行距離が多いということは、当然様々な部品が消耗してきているはずです。その分、部品の交換や故障が起こりやすいと言えます。購入後に整備費用がかかってしまい、新車購入費用とほぼ変わらなかったり、最悪高くついてしまったということもよくある話です。
そういった失敗を避けるためには、やはりリスクの大きな車はよほどのことがない限りは避けた方が無難です。まず、具体的に避けた方がよい2つのポイントに絞って解説します。
注意する車その1:年式も古く走行距離も多い
自動車の部品は走行距離による劣化に加えて、経年による劣化もします。それまでの保管状況にもよりますが、ゴム類や金属などは10年もすると自然にかなり劣化していきます。年式も古く、走行距離も多い(目安は10年経過・10万キロ以上)となると、リスクが高い状態と考えて良いでしょう。
注意する車その2:整備記録がほとんど残っていない
定期的にディーラーなどで整備をされた記録が残っていることと、それなりの消耗品交換がされていることが分かれば、過走行気味でも丁寧なメンテナンスがされてきたと見て間違いありません。
しかし、その記録がない場合にはどこまでメンテナンスされていたかがわかりません。オイル交換もしているか怪しい車もたくさんあります。外見上は綺麗でも、内部まで手入れされているかが確認できない車に手を出すのは避けるべきでしょう。
中古車選びは走行距離10万キロが一つの目安
過走行状態でなくても、長年かけて長距離を乗っている場合にもやはり気になるものです。大物の消耗品等の交換が必要となる目安がだいたい10万キロと言われています。
10年以上前の車で10万キロ程度でしたら平均的な走行距離かもしれません。しかし、走行距離が10万以上の車となると、よほどしっかりとしたメンテナンスがされていなければ不具合などが多発します。過走行の車と同じように考えた方が良いかもしれません。
過走行車を買った時に気をつけること①エンジンオイル交換をきちんと行う
ケースバイケースではありますが、走行距離が多くても、年式が新しく、整備もきちんとされている車であれば比較的問題がない傾向があります。そういった車を購入した時にはメンテナンスをしっかりしていけば長く付き合えます。
特に過走行車は、エンジンを長持ちさせるためにエンジンオイルの定期的な交換が必須です。オイルメンテナンスをこまめに行なって、エンジンの調子を保ちましょう。
エンジンオイルとは?5つの役割
エンジンオイルとは、車の動力源であるピストンなどの金属摩耗を防ぐ役割を持ちます。金属摩耗とは金属同士が高速でぶつかり合うことで、弱い素材でできた金属からすり減っていく状態を指します。
エンジン内のパーツは、0.01mm単位で精密に作られており、金属摩耗により各パーツの大きさが変わったり変形することで、ベストな性能を発揮することができなくなってしまいます。エンジンオイルを使用することで、エンジン内の各シャフト部分や、空気を圧縮するためのピストン部分に膜を張り、金属同士が直接ぶつかることを防いでいるのです。
エンジンオイルの5つの役割
エンジンオイルには金属摩耗を防ぐ潤滑作用があると説明しました。実は潤滑作用の他にも役割があります。
- 清掃:エンジン内を循環し、カーボンや鉄粉といった小さな汚れを回収することで、エンジン内をキレイに保つ
- 冷却:下はオイルパン、上はカムシャフトまでを巡回することで、高温になりすぎたエンジンを冷ます
- 防錆:エンジン内部にある金属を空気に触れさせないようにすることで、錆から防ぐ
- 密封:空気を圧縮するためのピストン周りに膜を張り、良い圧縮を促す
エンジンオイルを交換しないとどうなる?
エンジンオイルは定期的な交換が必要な消耗部品です。ずっと交換していなければ劣化が加速し、適切な働きを期待することはできません。同じエンジンオイルを使い続けていると、「スラッジ」と呼ばれるヘドロ状の物質が発生してしまいます。
エンジンオイルはエンジン内を循環しながら、燃焼の際発生したカーボンや鉄粉などを回収しています。通常カーボンや鉄粉などを含んだエンジンオイルは再循環する際、オイルフィルターでろ過されるのですが、オイルフィルターが汚れてしまうとフィルターの役割を果たすことができず、汚れたエンジンオイルのまま再循環してしまいます。
エンジンオイルを汚れたまま循環させ続けると、待機場所であるオイルパンにどんどん汚れがたまってしまうため、ヘドロのような状態となります。スラッジとなったオイルはエンジン内を循環することができず、結果、オイル不足が起こりエンジンの焼け付きが起こるのです。
スラッジはオイル交換では除去することができないため、キレイにしたければオイルパンを外し、手作業で汚れを落とすしか方法はありません。エンジン内やその周辺の汚れを取り除くためにも、エンジンオイルやオイルフィルターの定期的なメンテナンスはとても大切だといえます。
エンジンオイルのオススメ交換時期
メーカー奨励の交換時期は15,000km又は1年が目安
エンジンオイルの交換時期に関しても、メーカー推奨時期があり、メーカーで奨励されている交換時期は「15,000km又は、1年に一度」となっています。
近年ではオイル性能の向上もあり、性能を保ったまま長く使用することができるようになりました。しかしメーカーの奨励時期を過ぎて使い続けてしまうと、エンジン不調の原因となり先ほどお伝えしたように「スラッジ」が発生しオイル不足となってしまう可能性もあるのです。最低でも15,000kmに一度はオイル交換を行いましょう。
一般的な交換時期は3,000km~5,000km
メーカーが15,000kmごとの交換時期を奨励している中、一般的な交換時期は「3,000km~5,000km」といわれています。エンジンオイルの交換時期は、車の保存状態や走行方法により大きく変化するため、15,000kmで交換するのも間違いではないのですが、よく走っているに対しこの頻度では遅すぎという見方もあるためです。
頻繁に乗らない場合も半年に1回は交換を
エンジンオイルも使わなければ劣化し、性能が著しく低下します。そのため、近くのスーパーに買い物する時しか乗らないなど、車の使用回数が極端に少なくても、エンジンオイルの交換は高めの頻度で行いましょう。この場合の目安は半年に1回です。
【結論】エンジンオイル交換は5,000kmまたは半年に1回がオススメ
車の使用頻度が高ければ、あっという間に3,000kmを走ってしまいます。それに対し1万5,000kmでは走りすぎといえます。以上を参考にすると、整備士のオススメするエンジンオイル交換時期は5,000kmごとまたは半年に1回です。
また、エンジンオイルの定期的な交換はオイルの状態だけでなく、車の様々なパーツの状態も確認することができる、とても大切なタイミングです。とくに、ディーラーやショップにオイル交換を依頼する場合、一般家庭で見ることが難しい車の下回り、ブーツ類の劣化や冷却水の漏れ、タイヤの溝などたくさんの項目を確認することができます。
エンジンオイル交換の時期や方法について、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
エンジンオイルのオススメ粘度と選び方
エンジンオイルの粘度
エンジンオイルは温度により粘度が変化するという特徴を持ち、粘度の度合いもサラサラなものからドロドロのものまで、段階的に種類が分かれています。
一般的に用いられている粘度指数は「SAE粘度分類」といわれ、アメリカで発足した自動車技術者団体(Society of Automotive Engineers:米国自動車技術者協会)が取り決めたオイルの粘度を表す規格です。
SAE粘度分類ではオイルの粘度が0W~60までの14段階に区分けされています。数字の後に付いている「W」は、「Winter」つまり冬を表し、低温時に使用するオイルを示しています。日本国内では一般的にこの粘度指数が使用されています。
エンジンオイル粘度指数の見方
粘度の低いオイルは「0W」、粘度の高いオイルは「60」といった数字で表記してあります。日本では10W~40までの粘度指数が一般的に使用されています。はっきりとした対応温度は決まっていませんが、10Wの粘度で約‐20度、40では約40度強の温度までをカバーすることが可能となっています。
- 低温時:0W→5W→10W→15W→20W→25W
- 高温時:8→12→16→20→30→40→50→60
※数字が大きくなるほど高い温度に対応
粘度の高いオイルの特徴
- 粘り気が強い(ドロドロしている)
- 油膜が厚く高速ピストンでも油膜切れを起こさない
- 低い温度に弱く性能が著しく低下
- 動力損失が高い
粘度の低いオイルの特徴
- 粘り気が弱い(サラサラしている)
- 油膜が薄く高速ピストンでは油膜切れを起こしてしまう
- 低い温度に強く性能の変化が少ない
- 動力損失が低い
日本におすすめのエンジンオイルは「マルチグレードオイル」
粘度の高い・低いオイルそれぞれ長短があり、一概にどちらのオイルが良いと判断することはできません。特に、日本においてエンジンオイルを使用するうえで最も理想的なのは、暑い時期なら「40」のオイルを使い、寒くなれば「10W」のオイルを使うという、季節により粘度を変える方法です。しかし、交換の頻度や手間を考えると現実的ではありません。
そこでおすすめなのが「マルチグレードオイル」と呼ばれる、広範囲の使用条件に適したオイルを選ぶことです。とても利便性が高いことから多くの方が使用しています。
マルチグレードオイルは、例えば「10W-30」のような表記がされているなら、低温時(-20℃)から高温時(40℃)までをカバーすることができます。一般的に粘度の低いものとして「0W-20」、粘度の高いものとして「10W-30」が使用されています。
ベストなオイル粘度は車により異なる
エンジンオイルのベストな粘度は車により違います。愛車のエンジンオイルはどの粘度が適しているかを知りたいのであれば、車の取り扱い説明書を確認してみましょう。
車によって粘度の高いオイルが必要な車や、粘度の低いオイルの方が適した車も存在しており、例えば知人の車が粘度の高いオイルを使用して好調だからと、愛車も同じ粘度で良いという訳ではありません。つまりメーカーが奨励する適正粘度を使用することが、エンジンにとっては最も良い方法だといえます。
ターボ車には粘度の高いオイルを
粘度の高いエンジンオイルは膜が厚く、高速回転でもオイル切れを起こすことがないため、高速回転を得意とするターボ車などには、粘度の高いエンジンオイルを使用すれば良いのです。
逆に、エコな走りを得意とする車に粘度の高いオイルを使用すると、油膜の厚さがスムーズなピストン運動の邪魔をしてしまい、燃費が下がってしまうということもあります。
年間走行距離が多いor極端に少ない車はグレードの高いオイルを
年間2万キロ以上走行する車や、家の近場しか走っていない車は、シビアコンディションに該当し、通常の車よりもシビアな点検整備が必要です。そのような条件の車には、粘度を上げるのではなく、グレードの高いオイルを使いましょう。
グレードの高いオイルは劣化しづらく、スラッジの発生を防ぐ効果が強いという特徴を持ち合わせています。
エンジンオイルについて詳しくは以下記事をご覧ください。
MOBY整備士ライターが選ぶおすすめエンジンオイルは?
過走行車のノッキングを改善したいなら
Mobil エンジンオイル モービル1 5W-30
ノッキングの原因のひとつに、エンジン内の汚れやエンジンオイルの粘度不足によって起こる、ピストンとシリンダー間の油膜切れがなどが挙げられます。
Mobilのエンジンオイルは浄化性能が高いため、すでに汚れが溜まっているような過走行車に使用することで、エンジン内の汚れをきれいにしてくれるという作用があります。
このオイルは広い範囲で粘度を保つことができ、浄化性能も高いことから過走行車のノッキングを改善したい場合にオススメです。 過走行車だけでなく新車に使用しても高い効果が期待できます。
過走行車のロングライフを実現したいなら
カストロールエンジンオイルEDGE 0W-40
カストロール エンジンオイル EDGE 0W-40 1L 4輪ガソリン/ディーゼル車両用全合成油 SN/CF Castrol
カストロールEDGE 0W-40は対応する温度範囲がとても広いため、外気温が低い場合でも粘度性能を落とすことなくエンジン内を循環します。適正なエンジン温度に達してもその性能は衰えません。
長時間使用しても性能を保つことができるため、低燃費車からターボ車まで、さまざまな車に使用できます。過酷な状況下でも最高の性能を発揮するカストロールのエンジンオイルは、車と長く付き合っていきたい方にピッタリです。
ターボ車の過走行車に乗っているなら
ガルフ アロー GT50 10W50
ターボの付きの車は高回転時にエンジンが高温になります。粘度の低いエンジンオイルを使用していると、オイル切れを起こしエンジンへのダメージが蓄積されてしまいがちです。
しかし、このオイルであればオイルの中に「高性能VI向上剤」という高温時の熱だれ防止剤が含まれているうえ、粘度指数が高く設定されているため、高温時での油膜切れがありません。
油膜切れを起こさないだけでなく、エンジンの温度が高くても高性能を維持できるため、スムーズなピストン運動と力強いトルクを実現します。また、高い粘度を維持することでエンジンブレーキの効きも向上するため、急な下り坂などでは性能の高さを実感できるでしょう。
おすすめのマルチグレードオイルなら
TOYOTA GAZOO Racing トヨタ純正 GR MOTOR OIL Touring 0W-30
TOYOTA GAZOO Racing トヨタ純正 GR MOTOR OIL Touring 0W-30 4L エンジンオイル 1035
トヨタがニュルブルクリンク24時間レースに参加していた技術を用いて開発されたエンジンオイルです。「0W30」の粘度は、ハイブリッド車をはじめ、広く使用できます。 粘度が高いまま、ピストンにかかる摩擦を徹底的に減らすという技術が組み込まれています。
この技術によって、エンジン始動時からのスムーズな吹け上がりと、エンジンから発するノイズの抑制を実現。静かで安定した走りを行うことができるのです。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...