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ペダルを踏むと自動でギアが変わる!キックダウンとは?【くるまTips】

キックダウンとは何か?

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車に備わっている機能のひとつに「キックダウン」と言われるものがあります。聞いたことはあるけど、使ったことがない、あるいはよく知らないという人もいるかもしれません。

本記事ではキックダウンとは何か、どんなときに使えばいいのかを解説します。

キックダウンが使えるのはAT車のみ

キックダウンは、AT(オートマ)車でしか使えない機能です。MT(マニュアル)車であれば、手動でギアを変更する必要があるため、自動で切り替わることはありません。

ただし、MT車でもキックダウンのような操作は可能です。急加速が必要なときに、自分で低速ギアに変えることで、素早い加速力が得られます。

MT車の場合は自動でギアが切り替わることはない、と覚えておきましょう。

キックダウンの仕組み

AT車が走行しているとき、シフトレバーは「D(ドライブ)」になっていると思います。

このとき、アクセルペダルを床いっぱい踏み込むと、自動的にギアが低速用のギアに切り替わって加速力が上昇します。この機能を「キックダウン」と言います。

なぜ、低速用のギアに切り替わると急加速できるのかというと、ギアは低速用になればなるほど、ギアが発生する力が強くなり、前進する力、つまり瞬発力が大きくなるのです。

例:3速AT車の場合

3速AT車を例に、キックダウンがどのような仕組みなのか簡潔に解説します。

通常運転中のギアと速さの関係(3速の場合)

  • 1速:瞬発力→強い 走行中の速度→遅い
  • 2速:瞬発力→普通 走行中の速度→普通
  • 3速:瞬発力→弱い 走行中の速度→速い

例えば、いま2速で走行しているとしましょう。

アクセルを軽く踏むとギアは3速に上がり、走行中の速度は速くなります。反対に、ブレーキを踏むとギアは1速に下がり速度は遅くなります。これが通常の動きです。

一方のキックダウンは、2速で走行中に、アクセルを床いっぱいまで踏み込むと、1速に下がります。瞬発力は強くなり、さらにアクセルを踏んでいるので走行中の速度はより速くなります。

つまり、瞬発力は強くなり、走行中の速度も速くなるという仕組みになっているのです。自動的にギアを下げて、瞬発力を上げて急加速できる。これが「キックダウン」の特徴です。

どんなときにキックダウンを使うのか?

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では、どのような時にキックダウンを使うのでしょうか。キックダウンが必要なシーンを解説します。

急な坂を登るとき

急な坂道を登っていくときは、瞬発力が必要です。平坦な道と同じようにアクセルを踏んでいると速度低下の原因になります。止まってしまうこともあります。

道路のアップダウンに関わらず、速度を一定に保ち走行するのが安全運転の基本となります。

高速道路の本線に流入するとき

高速道路の本線に流入するときは、本線の手前にある加速車線を使って速度を上げなければいけません。本線を時速100キロで走行している車の速度に合わせるためです。

しかし、加速車線の長さが短いこともあり、短い距離で素早く加速しなければ、本線に流入できなくなります。

そこでキックダウンを使います。アクセルを踏み込んで、短い距離で時速100キロくらいまで加速するのです。

前の車を追い越したいとき

走行車線が2つ以上ある幹線道路などで、前方の車を追い越したいときはキックダウンが必要となります。

追い越すときは、前を走行している車よりも速度を上げる必要があります。

追い越しは短時間ですませないと、速度違反や交通事故の危険が高まる可能性もあります。

キックダウンのメリット・デメリット

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キックダウンのメリット

キックダウンのメリットは、これまで述べたように、急な上り坂でも速度を落とさずに走行できたり、短い距離で急加速できたりする点にあります。

キックダウンのデメリット

一方で、デメリットもあります。主なデメリットは大きく3つ。それぞれ解説します。

1.ガソリン消費量が多くなる(=燃費が悪くなる)

アクセルを床いっぱいに踏み込むため、それだけ多くのガソリンを消費することになります。キックダウンをやりすぎると燃費が悪くなってしまうので注意しましょう。

2.エンジンに負荷がかかる

アクセルを急激に踏み込むことで、エンジンの回転が上がります。エンジンは金属同士が擦れあって動いています。金属同士が急激に擦れ合うことで、エンジンへの負荷が高くなり、故障や性能劣化などが生じやすくなりエンジンの寿命を縮めます。

3.エンジン音が大きくなるので周囲への配慮が必要

キックダウンで懸念されるのが、エンジン音の大きさです。アクセルを踏み込めば踏み込むほど、エンジン音は大きくなります。

周囲に住宅などがなく、歩行者もいない高速道路や幹線道路では問題ありませんが、住宅街の近くや、学校、保育園、病院などの近くでは迷惑になることも考えられます。こうした周囲の環境にも配慮したキックダウンが必要です。

ただし、ハイブリッドカーなどはエンジン音が静かなので、騒音に関する問題は発生しないかもしれません。

状況に応じた使い分けが必要

キックダウンのデメリットを知ると、控えたほうがいいのでは?と思うかもしれません。不必要なキックダウンは、エンジンの寿命を縮めたり、周囲に迷惑をかけたりする可能性があります。

しかし、キックダウンを使わなかったせいで、坂道で減速してしまい後続車に迷惑をかけたり、高速道路の本線に流入できなかったりするかもしれません。

キックダウンの仕組みややり方、メリット、デメリットをきちんと理解した上で、必要なシーンを見極めて、状況に応じた使い分けができるようにしてください。

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執筆者プロフィール
室井大和
室井大和
1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...

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