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安直なブランディングで空中分解…異業種横断ブランド「WiLL(ウィル)」の車たち【推し車】
時代が21世紀へ移り変わろうとする頃、新しい世代の注目を集めるための新しい異業種横断ブランド「WiLL」(ウィル)が生まれました。
ただし取り組み方は参加企業バラバラ。自ブランドを保持したまま、ちょっと変わった趣向の商品を若者に押し付けるだけ、という安直なブランディングに終始したWiLLは、肝心の若者から見向きもされずに短期間で消え、その意味を覚えている人も減っています。
立ち上げに関わった、いわば幹事企業の一社だったトヨタも若手を中心とした企画で3台のWiLL車をリリースしましたが、皆さんどのくらい覚えていますか?
WiLL Vi(ブイアイ・2000年)
初代ヴィッツの1.3リッターFF車をベースに全く異なるデザインで、トヨタ版日産バイクカーのような車。
シンデレラが乗るカボチャの馬車をイメージし、ハッチバックではなく緩いアーチを描いた独立トランク。長く伸びたルーフ後端からリアウィンドウが内側へ向けて降りるクリフカット、前後左右へ凹んだキャラクターラインなどレトロ風デザインが特徴的。
実用性よりデザイン性を追求した割り切りは単純にヴィッツ派生車としても魅力的でした。モーターショーでは見た女性が「欲しい!」と憧れる場面も目にしたものの、実際の販売は全く振るわず、約2年弱で販売を終えました。
できればトヨタブランドで、じっくり育ててほしかった1台です。
- 最新「WiLL Vi」中古車情報
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本日の在庫数 43台 平均価格 69万円 支払総額 24~164万円
WiLL VS(ブイエス・2001年)
Viが女性向けなら、カローラランクス/アレックスをベースに、ステルス戦闘機をモチーフとした低く鋭いデザインがVS。当初は1.8リッター車(136馬力または190馬力)の4AT車のみと、スポーツ性よりはあくまでスタイル重視。
後に190馬力版へ6速MT車を追加。廉価版1.5リッター車(110馬力)追加時には国産1.5リッター車初の3ナンバー車と言われましたが、カッコイイとはお世辞にも言えない5ドアハッチバック車に過ぎず。販売は振るわず、取扱店(ビスタ店)もろとも2004年に廃止されました。
あるいは北米の低価格車ブランド、サイオンで販売していれば売れていたかもしれません。
- 最新「WiLL VS」中古車情報
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本日の在庫数 5台 平均価格 100万円 支払総額 77~139万円
WiLL サイファ(2002年)
トヨタ最後のWiLL車はVi同様に初代ヴィッツがベースで、サイバーカブセルをテーマにした奇抜なデザインでした。またG-BOOK対応であり、「育てる車」である事を、WiLLブランド以上にアピールしました。
G-BOOKは今でいうコネクテッドカーのご先祖で、移動体通信で情報通信サービスを利用できる、発売当時としてはの先進的な(と考えられた)純正カーナビでしたが、ガラケーやスマホの普及で急速に陳腐化。
ブランドのみならず、自慢の最新機能も短期間で旧式化して忘れられるという悲運に見舞われ、2005年まで最後のWiLL車としてひっそりと販売されていました。
- 最新「WiLL サイファ」中古車情報
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本日の在庫数 29台 平均価格 57万円 支払総額 29~110万円
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...