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『ツイン49万円』伝説の“バッテリー16個積みハイブリッド仕様”も!話題性満点のマイクロカー・スズキ ツイン【推し車】

買わないまでも興味はそそられた軽マイクロカー、ツイン

樹脂パーツをうまく使ったツートンカラーや大径ホイールへのインチアップでカッコよくもできたツイン ©DCTMダイチャレ東北ミーティング

「MOBY編集部がAIに聞いてみた、30-50代のクルマ好き男性が気になる車種」シリーズですが、今回はなんとスズキ ツインです…本当か?本当にそう思っているのか?AIの考えることはわかりませんが、マニア受けするクルマなのは事実ですね。

最近はあまり話題にならなくなった「超小型モビリティ」の話でも、昔そんなクルマがあったな…とツインやスマートK、ミゼットIIの名前が出てきますが、特にツインはハイブリッドなど頑張って作った割には販売が振るわず、一代限りで終わっちゃいました。

最新「ツイン」中古車情報
本日の在庫数 180台
平均価格 63万円
支払総額 25~156万円

2人乗りマイクロカーならウチでも作れる!

2003年発売当時のツイン

メルセデス・ベンツと、1990年代には日本でも流行っていた時計会社のスウォッチがタッグを組んで始まり、発売前には「スウォッチカー」と呼ばれていたヨーロッパ発の2人乗りマイクロカー「スマート」が日本でも正規輸入販売を始めたのは2000年12月。

正規輸入前からまとまった数の並行輸入車が入っており、600ccターボ車だったので独自にリヤフェンダーを削って細いタイヤを履き、軽自動車登録での販売例もあって、正規輸入でも2001年10月から軽登録版「スマートK」が発売されます(※)。

(※2人乗りのいわゆる「スマート フォーツー」での話。途中から700cc化、2代目以降は1リッターエンジンになったのでもう軽登録はできない)

そうなると、2000年までポーランドで生産されていて軽登録が可能だったフィアット126以来となる「軽の外車」という事で、軽自動車メーカーとしても刺激になったか、スズキも2003年1月に2人乗りの軽マイクロカー、「ツイン」を発売しました。

ツイン49万円!しかし実態はアルトより高く使い勝手も悪い

全長もホイールベースもアルトより思いきり短い専用設計のためか高価になり、「マイクロカーだからと安くはできない」という厳しい現実を見せられた

エンジンこそアルトやワゴンRと同じ660ccエンジンK6A(自然吸気仕様44馬力)を搭載し、衝突安全基準の関係上、全幅も削れないので軽自動車枠いっぱいの1,475mmではありましたが、後席がないので全長2,735mm、ホイールベース1,800mmと超ショート!

最小回転半径などアルトFF車の4.2mに対してわずか3.6mと、見た目通りの小回りのよさで、いかにも使い勝手が良さそうです。

思い切って簡素な内外装から期待される価格も「49万円」からと、初代アルトの47万円には及ばないものの、それだけ見れば「おっ安くていいクルマができたな!と思うところ。

しかし!実は49万円モデルの「ガソリンA」(5速MT)はエアコンもパワステもなく、それらがついた3速AT車「ガソリンB」は84万円、2003年6月に5速MTのガソリンAにもエアコン/パワステつきが追加されたものの65万円。

これに対し、同時期のアルトでもっとも安い4ナンバー登録の「アルトバンVs」なら5速MT車で55.5万円、3速AT車でも64.5万円、5ナンバー登録で一番安い「アルトLb」も5速MT車65.5万円、3速AT車で71万円、いずれもパワステ/エアコンは標準装備。

それでツインは2人乗りでリアハッチがなく、小さいガラスハッチしかなくて荷物の出し入れは不便なのに、アルトは4人乗り、ちゃんとリアハッチがあって大きい荷物もラクラク出し入れ…では、実用性の面で全く勝負になりません。

超ショートホイールベースの専用プラットフォームが必要で、派生車もなかったのはコスト面でかなり厳しかったらしく、ツインはアルトよりかなり割高なクルマになっちゃいました。

もちろん、「エアコンもパワステもいらない!」と軽トラばりなスパルタンさを受け入れるなら安いガソリンAでもいいですし、小回りのよさと駐車スペースが短くて済むのがものすごく助かる!というならツインもアリですが、それ以外はただのネタ扱いです。

それをユーザーも察してか販売は低調で、街で見かける機会もあまり多くはありませんでした。

ネタならネタで、「ツインターボ」作っちゃう?

ツインは、ターボや同じ自然吸気版K6Aでも高出力版へのスワップチューンでマイクロスポーツ化された例も多い ©DCTMダイチャレ東北ミーティング

しかし、とにかく小さくて軽い(※)なら、パワフルにしちゃえば面白そうだ!というわけで、ネタ車をさらにネタ化したいユーザーはいつでもいるものです。

(※ツインのガソリンA・エアコン/パワステつきで580kg、アルトバンVsが630kg、いずれも5速MT車)

アルトワークスやワゴンR用の64馬力DOHCターボ版K6Aを搭載し、「シングルターボなのに”ツインターボ”」としたスワップチューン車を作り、大径ホイールにインチアップすれば、もう見た目も走りもチョロQそのまんま!

ダイハツのマイクロ軽トラ「ミゼットII」でもターボ化する人はいましたが、「ツインターボ」でもただターボエンジンにスワップしただけではホイールベースが短すぎて直進安定性に難があったようで、元気よく走るには慣れが必要だったと言われます。

また、「東北660選手権」など新規格NA軽自動車レースにも参戦しますが、軽さを活かして長い直線でかっ飛ばしたあと、コーナー手前のブレーキングでスピンしやすい傾向があり、足回りをよく考えてセッティングする必要があるクルマでもありました。

伝説の12Vバッテリー16個積みハイブリッド車

スズキ歴史館に展示されているツインハイブリッド

また、ツインには発売当初から139万円もするハイブリッド車(※)があり、ガソリンBの3速ATに対し4速AT、さらにモーターアシストを活かして10・15モード燃費32.0km/Lと、ガソリンB(22.0km/L)より格段の低燃費とゆとりある加速/巡航性能を誇りました。

(※ハイブリッドB、後にエアコン/パワステレスで129万円のハイブリッドAも追加)

ただしこのハイブリッド、エンジンとミッションの間に薄型モーターを配置して加速時にモーターアシストするものの、モーター単独でのEV走行はできないという、初期のホンダIMAと同じ簡素な1モーター式ハイブリッドだったのはともかく、バッテリーが奇抜。

なんと当時日産が使ったくらいで最先端のリチウムイオンや、トヨタやホンダが使ったニッケル水素の大容量バッテリーではなく、オートバイ用のメンテナンスフリー12V鉛バッテリーを8個直列×2セット直列で「192Vという事にした」という、すさまじい力技で搭載。

座席後方、下部にインバーターなど制御系、上部に走行用バッテリーが搭載されており、車重730kgとガソリンBより150kgも重量増加しているほか、バッテリーは専用品でオートバイ用をそのまま使えるわけではありません。

寿命は5年程度でユニット交換は約13万円、しかも純正部品は欠品なので、現存しているツインハイブリッドは何らかの方法で手間をかけて交換しない限り、ハイブリッド車としての運用をあきらめているのでしょうか。

ガソリン車にしてもハイブリッド車にしても「ド直球」で妙なクルマを作ったスズキですが、さすがに懲りたのか2005年に販売終了後、同種のクルマは作っていません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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