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「クルマ好きにとって真のレックスは絶対こっちだ!」スーチャーやECVTが載ってた頃のスバル レックスをプレイバック【推し車】

ロッキーOEMの4代目に往年のカーマニアにはビックリ&違和感

これを「4代目のスバル レックス」と言われても…と困惑したクルマ好きは多かったのでは?しかもダイハツ ロッキーのOEM

最近、スバルの六連星エンブレムを貼ったダイハツ ロッキーという「見慣れた器に見慣れぬ組み合わせ」で気づいた瞬間ハッとするコンパクトSUVを時々見かけますが、その名はなんとある程度以上の年代にとってはスバル軽自動車として馴染み深い「レックス」。

MOBY編集部がAIに聞いてみた「30~50年代のクルマ好きが気になる名車」シリーズにもしっかり名前が上がるのはもちろん軽自動車時代のもので、後のヴィヴィオほど派手な活躍はしなかったものの、ある種のクルマ好きにとっては「地味でもいいクルマ」という認識。

1990年代に入ってからも、オーナーズクラブ「レックス友の会」など熱心なファンがついており、初期のドリフトブームで派手なFドリをかますなどストリートからサーキットまで活躍、なんとも個性的なクルマでした。

今回は何の脈絡もなく名前だけ同じ4代目には触れず、3代目までの軽自動車レックスを紹介します。

ミニカーレースでも活躍した初代(1972年)

ツインキャブ37馬力の高性能バージョンはレースでも活躍した初代レックスだが、実用車としては失敗で、大幅な路線変更を余儀なくされた

軽自動車初期の傑作「スバル360」、短命に終わった「R-2」に続くスバル第3の軽乗用車として誕生した初代レックスですが、ややアクの強いフロントマスクはR-2後期から、リアエンジン後輪駆動のRRレイアウトはスバル360以来のもの。

それだけなら保守的な設計に時流に乗った…ただしデザインはスバルらしく洗練とはほど遠い…軽自動車でしたが、R-2までの丸くコロンとしたデザインからルーフの低いロー&ワイド風、いうなれば「ミニレオーネ」っぽい外見だったのが特徴です。

初期型はまだ排ガス規制が厳しくなる前だったので、水冷化されたとはいえツインキャブ最高出力37馬力の2ストローク2気筒エンジンを搭載するスポーツグレードも設定し、ミニカーレースでは意外な活躍を魅せたクルマでもありました。

ただし、そうしたスポーティ路線は当然ながら実用性との折り合いが悪く、そもそもリアエンジンで商用グレードの作りが難しいこともあって肝心な実用車需要に応じにくいものです。

特に排ガス規制と4サイクルエンジン化でスポーツグレード廃止後は、ハイルーフ化など当初のコンセプトを捨てて販売回復に努め、スズキが画期的な低価格車、初代アルトを発売後はボンネットバン仕様の「ファミリーレックス」も発売しました(※)。

(※なお、その過程で軽自動車規格の変更により、過渡期の500ccエンジンを積むレックス5や、フル規格の550ccエンジンを積むレックス550へと段階的に発展)

走りの面ではやはり初期の高性能エンジン+ロールーフ車の人気が高く、1990年代のヴィヴィオもある意味では初代レックス初期型のリメイク、あるいはリベンジと言えるでしょう。

スバル軽では意外?!4WDターボもあった2代目(1981年)

スバルらしいような気もするが、その後スーパーチャージャー路線に転じたので歴代唯一の4WDターボとなった、2代目レックスコンビ4WDターボ

旧態依然としたRRレイアウトに、無理やり押し込んだ2気筒4サイクルエンジンはバランサーシャフトの適切な配置なども難しく、何より当時の主流となった軽ボンネットバン路線には全く向いていないこともあり、2代目レックスはついにFF化。

現在で例えれば「インプレッサやフォレスターに直4エンジンが載ったら、それはスバル車と言えるか?」というほどポリシーをかなぐり捨てての果敢な攻めでしたが、没個性と引き換えにマトモな荷室と居住性を両立したFF軽ボンネットバンを作れました。

スバルらしい4WDの設定も特に他社へ先んじたものではなく、「スバル軽の過給機といえばスーパーチャージャー」という印象とは裏腹に、同社の歴代軽自動車では唯一のターボエンジン搭載車まで設定するも、動力性能は他社と大差なくこれまた凡庸。

改良やグレード追加が進むほどに「なんだかスバルさえも同じ軽自動車を作っているな」という印象でしたが、何しろFFの軽自動車を作ること自体が初めてですし、まずは習作という時代でした。

ひとつ特徴的だったのは、2ペダル車に他社のような一般的なトルコン式ATではなく、電磁パウダー式オートクラッチによるセミATを採用したことで、後のECVT初期型に通じるメカニズムとして2代目レックスでは数少ない独自性を発揮しています。

スーパーチャージャーやECVTが登場、3代目550cc(1986年)

当時のミラTR-XXや初代アルトワークスに負けない派手なエアロパーツで武装した、レックスコンビのスーパーチャージャー車

3代目レックスもよくいえば洗練されたデザインによる「ミニレオーネ」からの脱却、正直に言えば「他社と変わらぬ凡庸なデザイン」でデビューし、メカニズム面も基本的には2代目からの踏襲で、いよいよ没個性もここに極まれり。

ただ、2代目〜3代目のレックスで面白かったのは、FFこそ他社と変わらぬセミトレーリングアーム採用だったリアサスペンションに、4WDでは3リンクリジッドではなくストラット式を採用した4輪ストラット独立懸架だったこと。

それゆえ、地味な見た目にギャキーン!と安っぽい金属音を立ててブン回る2気筒エンジンとは裏腹に、4WDモデルに限ってはコーナリングでの接地性が素晴らしく、あくまで安い足なのでフルストロークから段差でポンポン跳ねても粘るという面白いクルマでした。

動力性能面でも、SOHC3バルブながら「小排気量の軽自動車用エンジンには、低速トルクを稼げるスーパーチャージャーが有利」とターボから一抜けしてスバル軽としての個性を発揮。

さらに1989年、軽自動車用としては1970年代に入り絶えて久しかった直列4気筒エンジンを復活(EN05)、2ペダル車もオートクラッチ式セミATから、同じく電磁パウダー式オートクラッチを使う無段変速機ECVTの初期型を採用。

1990年代に熱心なファンを獲得するスバル軽自動車の土台を作ったモデルでしたが、直4エンジンEN05に関して言えば1990年の660cc規格への移行決定へのタイミングが悪く、中途半端な時期に登場して短命に終わったのが、少々残念でした。

Fドリで大活躍した3代目660cc(1990年)

なんとなく「ヴィヴィオ」の面影が見て取れる角が取れたデザインの3代目レックス

1990年には660cc化、ほぼ同時期にモデルチェンジしたダイハツ ミラと異なり、スズキ アルトや三菱 ミニカと同じくマイナーチェンジで660ccエンジンを積む形になりましたが、カクカクした550cc時代のデザインから角が取れ、後継車ヴィヴィオに近づき洗練されます。

550ccの新型エンジンとしては出遅れもいいところだったEN05も、EKシリーズの直列2気筒エンジンの寸法に合わせて作ったためロングストローク化で排気量アップという苦肉の策でしたが、結果的には他社に10年以上先駆けて高効率エンジンを実現したことに。

DOHC4バルブ化したEN07エンジンのスーパーチャージャー仕様など、軽自動車のクオリティを大きく超えた滑らかでトルクフルな名機でしたが、軽ボンネットバン全盛期のハイルーフデザインではメリットを活かしにくく、あくまで後継のヴィヴィオへの足がかり。

しかし、「あえてヴィヴィオではなくレックスで走りを極める!」という熱いファンがストリートやドリフトで活躍を続け、「レックス友の会」という一大勢力になって、ドリコン(ドリフトコンテスト)では追走で大排気量車へ見事に食いつき驚かせました。

さすがに大排気量車から追走を受けると絶対的な速度差で噛み合わなかったものの、「初期ドリフト界の小さな巨人」として、ある年代以上のクルマ好きには永遠に記憶される名車でしょう。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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