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【日産フェートン】ダットサン・ブランド源流の国産クラシック
目次
「脱兎のごとく」速い車を!ダットサンの歴史
ダットサンは、快進社が製造したダット1号を日産の前身である「ダット自動車製造」が改良し販売した小型自動車が始まり。当初その小型自動車はダットの息子である「Dat son(ダットソン)」と呼ばれましたが、後にスペルを太陽を意味するSunに変更。「Datsun(ダットサン)」となりました。
ダットとは「脱兎」に由来し、逃げていくウサギを意味する非常に速いもののたとえ。まさに脱兎のごとく速い車を製造するという意欲のもと命名されたと言えます。ダットサンは、現在でも日産のグローバルブランドとして世界展開されています。
【ダットサン 12型 フェートン】日産に保管される最古車
ダットサン 12型 フェートンは1932年(昭和7年)、ダット自動車製造から排気量495ccの小型乗用車としてデビュー。翌年排気量を748ccと大幅アップし、信頼性を高めました。ボディバリエーションには4人乗りセダン、フェートン、2人乗りクーペ、小型トラックがラインナップしました。この記事で使用している画像は、4人乗りとなるフェートン。フェートンとは折り畳み式幌を持つオープンカーを言い、この個体は日産に保管されるモデルで最古となります。
12型 フェートンはボディをバスタブ形状とし、エンジンは748cc 直列4気筒SV(サイドバルブ)で、最高出力は12PSとなっています。当時の乗用車は2サイクルエンジン搭載の3輪車が主流のなか、4サイクル4気筒エンジン搭載の12型 フェートンの高い耐久性は群を抜いていました。
【ダットサン 14型 ロードスター】国産初の量産モデル
ダットサン 14型が誕生したのは1935年(昭和10年)。社名はダット自動車製造から日産自動車に変更され、横浜市神奈川区には国内初となる大量生産可能な自動車工場を設立。同工場の組み立てライン初出荷モデルが14型となりました。ボディデザインは名デザイナー富谷龍一氏によるもの。同氏はフロントグリル上部に配される美しいウサギのマスコットのデザインも手がけています。
ダットサン 14型はそれまでの手作業から近代的なプレスと洗練されたデザインが施され、ボディバリエーションはセダン・フェートン・ロードスター・バン・トラックがラインナップ。ちなみにこの記事の画像はダットサン 14型 ロードスターに該当します。エンジンは722cc 直列4気筒SVとし、最高出力は15PSを発揮。14型は官庁や大阪府警でも採用されました。
【ダットサン 17型 セダン/フェートン】戦前最終モデルはタフでシンプル
1938年(昭和13年)、ダットサン 17型がデビューした当時、日本は戦時色濃厚となり、17型も過度な装飾・装備はされず、内・外装はいたってシンプル。また、車にはタフさや経済性が求められ、17型は人気となりました。この記事の画像1枚目はセダン、2枚目はフェートン。当時のダットサン 17型のオーナーには開業医が多く、往診用に重宝されたため「お医者さんのダットサン」と呼ばれ、愛されたようです。
ダットサン 17型のボディデザインは16型を踏襲。エンジンは722cc 直列4気筒SV、最高出力は16PSとなっています。ボディバリエーションにはセダン・フェートン・ロードスター・トラックがラインナップされました。
ダットサン 1930年代モデルは現存するだけで価値あり!
日産がダットサンブランドで1930年代に販売したモデルは、現在流通しておらず、現存するだけで歴史的価値がある稀少車と言えるでしょう。(2019年10月時点)
ダットサン フェートンのスペック詳細
下記のスペックは、1933年式のダットサン 12型 フェートンのものとしています。
・エンジン:直列4気筒SV
・最高出力:12PS/3,000rpm
・最大トルク:-
・ボディサイズ:全長 2,770mm 全幅 1,190mm 全高 – ホイールベース 1,980mm
・車両重量:500kg
・トランスミッション:-
・駆動方式:-
・乗車定員:4人
・新車時車両価格:-
撮影:宇野 智(MOBY)
※2019年6月、日産自動車がメディア向けに開催した、神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」の取材会にて撮影
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- 執筆者プロフィール
- 石黒 真理