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Mazda6(マツダ6)セダン 試乗レポ|ガスコンロ掃除がきっかけで世界初!2.5Lターボはヤバいエンジンだった!
#ロングドライブ試乗レポート Vol.48
#試乗車は「Mazda6 25T L Package」
目次
「SKYACTIV-G 2.5T」は世界初の技術!きっかけはガスコンロ掃除
不可能と言われたガソリンエンジンにおける圧縮着火を世界で始めて実用化した「SKYACTIV-X(スカイアクティブX)」を2019年11月にマツダ3に搭載して市販化、その後、2020年1月にCX-30にも搭載し注目を集めているところですが、「SKYACTIV-G 2.5T」にも注目していただきたい!という思いで、Mazda6(マツダ・シックス)セダン、2.5Lターボに試乗しました。今回の試乗レポートは、エンジンのお話から。
「SKYACTIV-G 2.5T」とは?
「SKYACTIV(スカイアクティブ)」は、マツダのさまざまな技術につけられた統一名称。エンジン、トランスミッション、シャシー、ボディに用いられています。「SKYACTIV-G 2.5T」の“G”はガソリンエンジンのことで、 “ 2.5”は2,500ccの排気量、“T”はターボのことを意味します。SKYACTIV-G シリーズのエンジンは1.5L、2.0L、2.5LのNA(自然吸気・ノンターボ)の3タイプと、この記事でご紹介する「2.5T」の4タイプとなっています。4タイプとも共通して直噴エンジンでマツダは「軽快なパフォーマンスと優れた燃費性能を発揮する高効率直噴ガソリンエンジン。ガソリンエンジンらしい爽快な走りの楽しさを実現 」と伝えています。
何が世界初?
ターボを至極かんたんに言えば、エンジンの排気ガスを通る管と吸気側の管の途中に両方を羽根でつないだタービン。エンジンの回転が上がると排気ガスが勢い良く出るので、管側の羽根が勢い良く回って吸気側の羽根も勢い良く回して、エンジンへのたくさんの送り込み出力を高めます。焚き火など火を点けるとき、息を吹きかけたり、うちわで扇いだりして火の勢いを強めるのと基本的な原理は同じです。
ターボシステムでは、ガスの流れをいかにスムースにできるかが課題となります。これは、流体を応用した技術になるのですが、通常は排出ガスの流れを整えるノズルは1つしか入らないところ、SKYACTIV-G 2.5G のノズルは3つ横並びになっています。この点が“世界初”の技術とのこと。そもそも、ターボシステムの排気にノズルを付けること自体が尋常でないそうで、SKYACTIV-G 2.5G の量産開発に関わったマツダのエンジン開発者、室谷満幸氏は山形氏のそのアイデアに「排気にバルブをつけるなんて変なこと考える人がいるなあ」という印象を抱いたそうです。(排気ガスの温度は1,000℃近くあり、その中でバルブを正確に動かすのは普通あり得ない)
そのヒラメキは、ガスコンロ掃除から
マツダのエンジン開発者の山形直之氏は、あるとき奥さんからガスコンロ掃除を頼まれ、その空気導入口を眺めているときに、排出ガスの流れを整えるパーツにノズルを3つ横並びにすると、高効率なターボシステムになるだろう、とひらめいたそうです。
この一文だけでは随分とあっさりとした開発に感じてしまわれるかもしれませんが、なぜ、ノズルにこだわる必要があったのかまでの経緯や、なかなか市販モデルに搭載されなかった経緯などから、相当の苦労があったようです。詳しくは、マツダの公式WEBサイトに、その一連のお話が公開されています。本記事末尾にそのページへのリンクを掲載しています。
燃料はレギュラーガソリン
普通、ハイパフォーマンス・エンジンの燃料はハイオクのところ、SKYACTIV-G 2.5G はレギュラーガソリンです。マツダのエンジン開発では、レギュラーガソリン仕様へのこだわりもあったとのこと。
白鳥が水面下で水を掻くような独創のターボエンジン
室谷氏は、SKYACTIV-G 2.5G の開発を振り返り「まるで白鳥のように、静かに上質に、意のままに走るクルマ。そのエンジンフードの下では、白鳥が懸命に水かきをしているように、私たちのターボが一生懸命バルブを動かしているわけです(笑)」と語っていました。
というわけで、Mazda6 セダン 25T のロングドライブ試乗の目的地は、白鳥が舞い降りる河口湖にしました。
実際の走りはどうだったか?
室谷氏の言う通りの「静かに上質に、意のままに走るクルマ」を体感できました。スポーツカーのような速さ、鋭い加速ではなく、品の良さ、余裕のある走りです。バブル世代の方ならご存知かと思いますが、2,000ccクラスの中・高級セダンに、V6などワンランク上のエンジンを搭載して余裕のある走りを訴求したモデルがありました。SKYACTIV-G 2.5G を積んだMazda6は、ちょうどそれに位置するような印象です。
ミドルクラス以上で余裕の走りをもたらすエンジンを積むと、たいていは6気筒エンジンになるところ、SKYACTIV-G 2.5T は4気筒。これは、フロント側が軽量になり、走りの軽快さに繋がります。つづら折りの山道では特にその走りの良さが体感できます。乗り心地も上質です。
マツダ「魂動」デザイン
マツダのデザインの良さは既に多くの人が認めています。実際に乗って撮影すると、クリーンですっきりしたデザインに「魂動」を感じるデザイン上のアクセントがあります。マツダ6では、フロントのフェンダー上部、ボンネットの両サイドにスーッと長めのプレスラインがあり、ここがそのアクセントとなっています。
程よい高級感で落ち着きのあるインテリア
Mazda6はマツダのフラッグシップ・セダンですが、豪華絢爛さはありません。外装デザイン同様、無駄がないインテリア、ドライバーを囲むようなデザインです。
無難なデザインだが座り心地は良い
前後のシートも無駄のない無難なデザイン。座り心地は良好です。無駄に高級感がある内装ですと、逆に落ち着かなったりするものですが、Mazda6はそんなことありません。
マツダは今年100周年
2020年、マツダは創業100周年を迎えるとのことです。筆者はマツダの取材によく行くのですが、クルマ開発秘話は興味深いものが多く、かなりの拘りや意地を感じています。Mazda6の試乗でもそれを感じることができました。また折に触れて、マツダの興味深い開発秘話を共有させていただこうと思っています。
撮影・文:MOBY編集部 宇野 智
SKYACTIV-G 2.5G “独創のターボ”開発秘話【マツダ公式WEBサイト】
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- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...