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【ホンダ初代シティとモトコンポ】既成概念を覆したトール型ハッチバック

70年・80年代ホンダの状況とシティ誕生秘話

ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
若い力が結集した開発精神はのちのフィットへと継承された。

ホンダ技研工業は、1948年カリスマ創業者「本田宗一郎氏」が創業したのがはじまりで、おもにオートバイや自動車、航空機・耕運機・発動機・船舶機・芝刈り機などの汎用製品の製造・販売を行うメーカーです。独自の高い技術開発力で知られ、特にエンジンでは世界初のマスキー法をクリアした「CVCC」をはじめとし、VTECやIMAなどが特に有名。現在では軽自動車の分野で販売好調の「Nシリーズ」が話題を呼んでいます。

シティ誕生は1981年。さかのぼること3年前の1978年に開発が始まりますが、その頃のホンダは年間販売台数30万台突破の壁がやぶれず、社内には沈鬱な空気感が立ちこめていました。その空気感を打破するため、80年代の省エネルギーの究極的モデルを作るとの指示によりシティの開発が始まったのです。開発コードはSA-7。平均年齢27歳となる若い世代が結集したチーム体制となりました。

チームの開発コンセプトは、「既成のマーケットに囚われない」「省エネルギーであり、若い世代にむけた個性的な車づくり」「基本性能はくずさず、新しいライフスタイルを提案する」「生活道具として車をとらえる若いユーザーにオリジナルな発想で乗れる車」「先進的で独創的なホンダらしいスケールの車」の5つ。そうして誕生したのがホンダ シティなのです。

シティは低車高がカッコよかった時代に敢えてチャレンジ

ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
シンプルだが機能美を感じるサイドビュー。
ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
ラゲッジスペースも十分。この位置にモトコンポがピッタリ収納できる。

ホンダ シティは、当時車高が低い車がカッコいいとされた常識を覆し敢えて車高を高くし、そのデザインコンセプトは「トールボーイ」とされました。全高はベースグレードで1,470mm、同時期に発売された2代目シビックの全高は1,350mmとなり、シティが120mmも高いことがわかります。

この車高の高さにより全長3,380mmの短い車体であっても、広々とした室内空間が保たれるようなパッケージングが採用されました。また、1982年にデビューした「マンハッタンルーフ」は、標準タイプのシティの全高をさらにハイルーフとしたモデルで、全高は1,570mm。オプションで専用オーディオシステムも装備され、初めて見かけた際にはカッコいいと感じたものです。

シティには、ほかにも幌デザインがピニンファリーナとなる「カブリオレ」や「ターボ」、インタークーラー付きとなる「ターボⅡ」がラインナップしています。

シティの動力性能は標準でもかなり強力

ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
快適な室内空間確保のため、敢えて全高を高くしたチャレンジ魂に拍手。
ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
エンジンはCVCCⅡをベースにした低燃費エンジン・コンバックスだ。

ホンダ シティは開発当初よりそのコンセプトとして、車の基本性能はくずさないことを基本としていました。そのため、エンジンは低燃費でホンダの代名詞でもあったCVCCⅡをベースに、ロングストローク化・ファンネル形状としたエンジン「COMBAX(コンバックス)」を採用。最高出力は63PSを発揮しました。

ロングストローク型エンジンは、一般的に低回転域で大きいトルクを発生します。また、ファンネル形状とは吸入口が広がっているため、空気の流れをスムーズなかたちで効率よく吸い込みます。そのため、コンバックスエンジンは低燃費で効率のよいエンジンでありながら、力のあるエンジンであると言え、当時の1.2Lクラスの動力性能としてはかなり強力だと言えるでしょう。

通称ブルドッグと呼ばれた韋駄天があった!

ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
イエローのカラーが街乗りでも目をひいた。

ホンダ シティ ターボⅡ(アイコニックカラーはシルバーメタリック)

ホンダ シティターボⅡ

シティのバリエーションのなかでも、やはり忘れてならないモデルに1983年デビューの「シティ ターボⅡ」があります。ボディの前後には大ぶりのブリスターフェンダーである「ダイナミック・フェンダー」を装着。あらたに付加されるインタークーラー用にボンネットにはパワーバルジ(収納するためのふくらみ)が設けられ、その風貌から通称「ブルドッグ」と呼ばれました。

エンジンは、シティ ターボのインジェクションシステムPGM-FI仕様にインタークーラー付きターボとなる「1.2L 直列4気筒SOHCターボ ER型」で、最高出力は110PSを達成。また、エンジン回転数を4,000rpm以下とした状態でアクセルを全開にすると、過給圧が10秒の間約10%アップする「スクランブル・ブースト機能」は、まさに走り出すとその実力を思う存分見せつける韋駄天のようだと、当時話題を呼びました。

シティの中古車価格は流通量は少なめでチェックポイントあり

ホンダ シティ 初代 オートモビルカウンシル2019
オートモビルカウンシル2019に出展されたホンダ 初代 シティ。

80年代の車であっても人気スポーツカーである場合、解体されることが少なく流通量が多めとなるなか、シティはコンパクトカーに分類されるため解体されるケースも多く、流通量は少なめです。

そんななか市場に出回っているのはやはり人気のカブリオレやターボ車となっていて、価格は30年以上たっているにもかかわらず100万前後と高めです。しかし、カブリオレの場合は幌部分に支障がないかのチェックを、ターボ車の場合はオイル交換を始めとする管理履歴がわかるような中古車を選ぶのが理想でしょう。この年代のターボ車の場合は、オイルの管理を誤ると不具合が発生することが多いため注意が必要となります。

最新「シティ」中古車情報
本日の在庫数 19台
平均価格 153万円
支払総額 87~290万円

ホンダ シティのスペック表

エンジン標準車:直列4気筒SOHC
ターボ:直列4気筒SOHCターボ
ターボⅡ:直列4気筒インタークーラー付きターボ
最高出力標準車:63PS/5,000rpm
ターボ:100PS/5,500rpm
ターボⅡ:110PS/5,000rpm
最大トルク標準車:10.0kgf・m/3,000rpm
ターボ:15.0kgf・m/3,000rpm
ターボⅡ:16.3kgf・m/3,000rpm
ボディサイズ全長:3,380~3,420mm
全幅:1,570~1,625mm
全高:1,470~1,570mm
ホイールベース:2,220mm
車両重量655~745kg
トランスミッション3速AT
4速MT
5速MT
駆動方式FF
乗車定員5人
新車時車両価格

トランク積み可能な専用バイク「モトコンポ」も同時発売

ホンダ モトコンポ オートモビルカウンシル2019
発売時に梱包された段ボールを未だに大切に保管するユーザーもいる。
ホンダ モトコンポ オートモビルカウンシル2019
ハンドル・シート・ステップを折りたたんだら、あとはシティに収納するだけ。

シティのデビュー時、画期的だったのは専用となる50ccバイク「モトコンポ」も同時発売されたことでした。モトコンポは、シティのトランクに折りたためばピッタリ収まるサイズで、コンセプトどおり若いユーザーに、オリジナルな発想で自由に乗れる道具を使った新しいライフスタイルを提案したのです。

ホンダ モトコンポ オートモビルカウンシル2019
今見ても十分可愛いモトコンポ。欲しい。
ホンダ モトコンポ オートモビルカウンシル2019
オートモビルカウンシル2019では、精巧な1/4スケールのモトコンポ・モックアップも展示されていた。

ホンダ モトコンポの名は「モーターバイク」のモトと、持ち運べる「オーディオ・コンポ」のコンポから取られた造語。車両重量42kgと軽量ながら最高速度42km/hと十分遊べ、発売時には非常に話題を呼んだのです。

撮影:宇野 智(MOBY)オートモビルカウンシル2019で撮影。

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