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イセッタ

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「冷蔵庫みたいだけどカワイイ!」イタリア生まれのシャレた型破り1ドア車・イセッタ【推し車】

2でも3ドアでもない、冷蔵庫のようなシャレた型破り1ドア車

このボディサイズと車格で左右ダブルワイパーは日本だと贅沢かも…BMW版イセッタ

車体をグルリ取り囲んでみてもドアらしきものは見当たらず、どうやって乗り込んだものかと思案していると、ユーモラスに膨らんだフロントマスクの端にノブが見つかり、それを下にひねるとガチャ…ええっこれがドアだったの?!と驚くマイクロカーが「イセッタ」。

大抵の車は乗り方に多少の差はあれ左右から乗り込むもの…という常識を打ち破り、またあまりに機能的なことから形に差が出にくいためか、近年のEVでイセッタのオマージュ的なものを除けば、おそらく同種のドアを持つクルマはなかなかないのでは?

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平均価格 658万円
支払総額 635~680万円

イタリア生まれの「小さなイソ」

まさに「バブルカー」「キャビンスクーター」という見かけだが、後ろの車内外に結構荷物を積めて、後輪も2輪で意外と安定(BMW版イセッタ)

メーカー名から「小さなイソ」を意味する「イセッタ」と名付けられたこのマイクロカーは、一般的にBMW製が有名なのでBMW イセッタと紹介される事も多いのですが、元はイタリアの「イソ」という自動車メーカー製。

もっとも1939年の創業時は冷蔵庫や暖房器具のメーカーでしたが、第2次世界大戦終結後にまずは2輪車へ参入し、スクーターやオートバイ、オート3輪を作ったあと、1953年に4輪参入第1号として発表したのがイセッタです。

スクーターを2台平行に並べ、その間へ大人2人、子供1人が何とか座れるベンチシートと背後の小荷物スペースを設け、シートの頭上スペースを広く取った前後は急な角度で車体の先端と後尾に落ちていくという、いかにも軽そうで無駄のないデザイン。

寸法は日本のミニカーや超小型モビリティ(型式指定車)に近いのですが、わずか236ccのエンジンで2.5人(子供は0.5人扱い)と荷物を乗せての安定した走りと、無理なく乗降させるために考えられる限りの工夫が凝らされています。

一見すると前2輪、後1輪の3輪車にも見えますが、後輪はトレッド(左右タイヤ間)がひどく狭いもののちゃんと左右2輪の4輪車で安定しており、車体も初期型で350kg程度と軽いため、ノスタルジックカーイベントへ高速道路で自走するユーザーだっているほどです。

どこにも無駄がない前開きドア

乗車時の余裕まではないものの、1ドアは開口部が広く乗り降りが楽そうで、キャンバストップの開放感もあり、出かけるのがちょっと楽しくなりそう(BMW版イセッタ)

第2次世界大戦後の復興途上で、経済的に苦しかった時期のヨーロッパに多かった超小型車の、「バブルカー」や「キャビンスクーター」という通称にこれ以上ないほどふさわしい形をしていたイセッタですが、最大の特徴はドアにあります。

左右の小さなフェンダー上に配されたヘッドランプの間、フロントマスク全体がフロントウィンドウごとガバっと開くようになっており、大きな開口部からベンチシートへのアクセスを邪魔しないよう、ステアリングはシャフトごとドアへついていって曲がる仕組み。

床から生えた小さなオルガン式のペダルを別にすれば、シートへ乗り込むのに遮るものは何もなく…何しろ前から自然に座ったり立ったりできるので、現代のスライドドア式スーパーハイトワゴンより、ヘタすると乗降性は上ではないでしょうか?

唯一心配になるのは「前から突っ込んで事故った場合など、1つしかないドアを開けられない時の脱出方法」ですが、換気口を兼ねたキャンバストップから出入りできるので大丈夫、という触れ込みで、そんなもんだと決め込めば案外平気なものなのでしょう。

BMWを筆頭に、世界各地で生産

ただ、戦時中にイソを買収して自動車業界へ進出させたレンツォ・リヴォルタ氏はあまりイセッタの販売に熱心ではなく、公道レース時代の「ミッレ・ミリア」(※)でクラス優勝しても、フィアット500(初代トッポリーノ)より売れず、イソは早々に見切りをつけます。

(※現在はクラシックカーイベントとして開催)

イセッタよりスポーツカーを売りたいリヴォルタ氏がリヴォルタGTを作ろうとしている頃、イセッタの生産・販売権は売りに出され、西ドイツ(当時)のBMWが生産設備ごと購入したのを筆頭に、フランス、スペイン、ブラジルでも生産されました。

中でも熱心だったのがBMWで、大戦で滅茶苦茶になって需要もないのに作ったBMW501が売れずに困っている頃、イセッタやその発展型で後席ドアもある2列シート車、BMW600でしのいだほか、カブリオレや配達用のピックアップ版も作っています。

また、当初はBMW製オートバイ用の250ccエンジン車で2輪免許でも運転できる軽便なクルマとして人気が出たものの、後に日本でミニカー規格が同じ道をたどったように、免許制度の改正で2輪免許での運転ができなくなりました。

そのため、それ以降は排気量を300ccに上げて動力性能を改善し、税金が安い軽自動車のような扱いで販売を継続したほか、横開きのスライディングウィンドウなど、独自の改良を施して、1962年まで生産。

BMWが最後まで作っていたイセッタの生産終了後、同種のクルマはなかなか現れませんでしたが、近年の電動マイクロカーブームに乗ったイセッタそっくりの「マイクロリーノ」が2022年に発売、今後はこのようなドアを持つクルマが他にも販売されるかもしれません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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