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【装甲車って買えるの?】96式装輪装甲車やストライカーなど車種を紹介&中古購入情報
装甲車の購入・維持は意外とハードルが低い?
2013年に放映されたアニメ「ガールズ&パンツァー」を契機として戦車や装甲車などの軍用車両の人気が高まりを見せています。アニメや映画、ゲームをきっかけに「戦車や装甲車を思いっきり乗り回してみたい」と思った人も少なくはないと思います。
しかし、日本は武器に関する法規制が厳しく、一般人が戦車を乗り回すことはおろか、所有についても極めて制限が課せられています。
仮に戦車を手に入れたとしても、車両運送法により重量25tを超える車両は特別な許可がなければ公道を走ることができませんし、キャタピラ履きの車両を運転するためには大型特殊免許が必要になります。
そこでクローズアップされるのが装甲車です。装甲車とはその名の通り、装甲を備えた軍用車両のことで、一般的には装輪車両(車輪で駆動する車両)を指します。
装甲車の中には105mm戦車砲を装備したチェンタウロ戦闘偵察車のような例もありますが、自衛隊の軽装甲機動車のような乗用車サイズのものも多く、装輪式のため普通免許で運転ができます。
こうした小型の装甲車ならば戦車を購入・維持するよりもずっとハードルは低くなり、乗用車、あるいは商用車としてナンバーをつけて走ることも不可能ではないようです。
96式装甲車は購入できる?
陸上自衛隊の96式装甲車は、73式装甲車の後継として96年に登場した兵員輸送用の装甲車です。
96式装甲車は装輪のためトレーラーなどの運搬手段が不要で、乗用車と同等のスピードで移動が可能な機動性を持つことが特徴で、装軌式と比べて維持・整備コストが低いことが大きなメリットとなっています。
武装は96式擲弾発射機を搭載したA型と、12.7㎜重機関銃を搭載したB型の2種類あります。
96式装輪装甲車は現用の自衛隊装備ですし、自衛隊は民間への車両払い下げを行っていないため、一般ユーザーが手に入れることはできません。したがって中古車としての流通もありません。
将来、96式装甲車が現役を退くことになっても、装甲車両は用途廃止後の管理が厳格なため、一般人が実車を入手することは事実上不可能なようです。自衛隊仕様のジープやトラック、高機動車、オートバイのようにマニアがスクラップとして入手し、それを修復して乗るということは不可能なようです。
ストライカー装甲車は購入できる?
ストライカー装甲車は、米陸軍が緊急展開部隊向けに採用した装輪装甲車シリーズで、米海兵隊が運用中のLAV25(ピラーニャ3)をベースに開発されました。
ストライカー装甲車は兵員輸送型のM1126ストライカーICVを基本として、偵察車型のM1127ストライカーRV、105mm戦車砲を搭載した火力支援自走砲型のM1128ストライカーMGS、迫撃砲搭載型のM1129ストライカーMCなどの数種類の派生型が存在します。
現在までに4600両以上のストライカー装甲車が生産されています。
自衛隊と違って米軍は用途廃止後の装備を民間に払い下げることがしばしばあります。
これまでにもジープやハンヴィー、軍用トラックなどの非装甲車両から、装甲車や戦車などの戦闘用車両に至るまでさまざまな車両が中古車、あるいはスクラップとして民間に売却されています。
しかしながら、ストライカー装甲車はバリバリの現用兵器です。冷戦末期に生産されたM1エイブラムス戦車、ベトナム戦争期に生産されたM113装甲兵員輸送車やM88戦車回収車が未だに現役であることを考えると、ストライカー装甲車が用途廃止となるのは早くても20〜30年のことでしょう。
その際にストライカー装甲車が払い下げられるかどうかは国防総省の決定次第です。最近の兵器はハイテク化が著しく、機密情報の塊となっていますから、ストライカー装甲車が払い下げられるかどうかは何とも言えません。
また、仮に払い下げられたストライカー装甲車を日本に輸入したとしても、全幅が2.72mもあるため、車両運送法で規定されている2.5mの車幅制限を超えてしまうことからナンバー取得は難しいと思います。
九七式軽装甲車は購入できる?
九七式軽装甲車は旧日本陸軍が開発・運用した装軌(キャタピラ)式の装甲車です。九七式軽装甲車は37mm戦車砲を装備しており、一見すると戦車のようにも見えますが、日本陸軍の分類では装甲車となります。
九七式軽装甲車は払い下げを受けようにも、旧日本陸軍が解体されてから70年以上が経過しており、現実的な入手手段としては、国内や海外で放棄されている車両を探して入手するか、海外のミリタリーコレクターや博物館から購入するしか方法がありません。
九七式軽装甲車は、ロシアのクビンカ博物館をはじめ世界各国の戦車博物館に収蔵されており、現存車両の中には個人所有のものもあるようです。これらの車両が海外のミリタリーコレクター向けのオークションに出品される可能性はあります。
ただし、旧枢軸国軍の車両は残存数が少なく、希少性が高いために売買価格も極めて高価です。現実的に旧軍車両の入手は極めて困難としか言いようがありません。代替手段としては映画用に製作された実物大の稼働プロップ(撮影用模型)を入手する方法があります。
東映争議にも出動した九七式戦車改造治安車両
終戦直後から1950年代までなら、旧日本軍の戦車や装甲社は砲塔を外し、車体にブレードをつけて改造ブルドーザーや警察の治安車両として使用する姿が見られました(40年代後半の東映争議で九七式戦車改造の装甲車が出動しています)。
しかし、これらの車両のほとんどが役目を終えてスクラップにされており、国内で旧軍車両を見つけるのはほぼ不可能な状態にあります。あとは海外の古戦場に遺棄された車両を持ち帰る方法がありますが、こちらは相手国の許可を受けなければ日本への輸入はおろか動かすことも許されていません。
これらの旧軍遺棄兵器は、東南アジアの国々にとっては観光資源のひとつとなっており、よほどのことがなければ輸出許可は降りません。
九五式軽戦車の稼働プロップを輸入した会社もある
御殿場の株式会社カマドでは、映画「ウインドトーカーズ」の撮影用に製作された九五式軽戦車の実物大プロップを輸入した実積があります。
この車輛は本物の九五式軽戦車を忠実に再現しており、パワートレインにフォードFシリーズトラックのものを流用しているので、信頼性も高く、よく走るそうです。ただし、保安基準に適合していないため、ナンバー取得や公道走行はできません。
九五式軽戦車のプロップの購入価格は公表されていませんが、少なくとも本物を入手し、レストアすることを考えれば、それよりは費用はかかっていないはずです。アメリカには劇用車専門の販売業者がありますので、こうした忠実なレプリカを入手する方法があるわけです。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...