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なぜ50cc原付は生産終了した?〜排ガス規制の歴史と新基準原付を解説〜

2025年11月から適用された新たな排出ガス規制に伴い、従来のガソリン原付一種(50cc以下)は国内メーカーでの生産が終了しました。

長年、通勤・通学や買い物などの身近な移動手段として親しまれてきた50cc原付ですが、なぜ生産終了に至ったのでしょうか。

本記事では、50ccガソリン原付が生産終了した理由や背景について、これまでの排ガス規制の歴史を振り返りながら詳しく解説します。

2025年、50ccモデルの生産が終了

2025年、新たな排ガス規制への対応を背景として、国内メーカーの50ccクラスのガソリン原付が相次いで生産終了となりました。

「レッツ」「レッツバスケット」「アドレスV50」などの50ccモデルが生産終了となっています。

ヤマハは、ホンダとの協業により「ビーノ」「ジョグ」の50ccモデルを販売していましたが、従来の50ccモデルに代わり、新基準原付に適合するモデルを展開しています。

2026年3月には、ヤマハから新基準原付の第一弾となる「JOG ONE(ジョグ ワン)」が発売されました。

JOG ONEは124ccエンジンを搭載しながら、最高出力を4.0kW以下に制御することで新基準原付に適合しています。

では、なぜ長年親しまれてきた50ccのバイクが新車市場から姿を消すことになったのでしょうか。

大きな理由となったのが、排ガス規制への対応です。

排ガス規制によって、過去多くのバイクが生産終了を余儀なくされた

これまでの排ガス規制でも、2ストロークエンジンを搭載したモデルや、昭和時代から続いてきたキャブレター車など、多くのバイクが生産終了となりました。

排ガス規制とは、バイクなどから排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などについて、一定の基準をクリアすることを求めるものです。

ここからは、過去の主な排ガス規制について、具体的な規制値などを参考に説明します。

1998年排ガス規制の概要

1998年排ガス規制の規制値を表にまとめました。

規制対象ガス4サイクルエンジン2サイクルエンジン
CO値13.08.0
HC値2.003.00
NOx値0.300.10

これらは大気汚染の原因となる物質であり、環境への影響を低減するため、二輪車についても排出ガス規制が設けられることとなりました。

日本では1998年から二輪車に対する排出ガス規制が開始されました。

特に2ストロークエンジンは、構造上、未燃焼のガソリンやオイルなどが排出されやすいことから、排ガス規制への対応が大きな課題となりました。

この時期を境に多くの2ストロークモデルが姿を消し、基本設計の古い空冷4ストロークエンジンを搭載するモデルについても見直しが進んでいきます。

2006年排ガス規制の概要

2006年には、1998年の規制からさらに厳しい排ガス規制が導入されました。

原付一種の場合、1998年規制と比較してCOは約85%、HCは75%、NOxは50%削減された規制値となっています。

主な規制値は以下のとおりです。

規制対象ガス1998年規制2006年規制
CO値13.02.0
HC値2.000.50
NOx値0.300.15

※原付一種・4ストローク車の平均値。単位:g/km

また、排ガスの測定方法についても、エンジンが暖まった状態を中心とした測定から、冷間始動(コールドスタート)の影響を評価する方式へ変更され、条件がより厳しくなりました。

こうした規制強化を受け、メーカー各社では燃料供給方式をキャブレターから燃料噴射装置(FI)へ変更するなど、エンジンや排気システムの大幅な改良が進められました。

一方、規制への対応が難しいモデルについては生産終了となり、バイクのラインアップが大きく変化するきっかけにもなりました。

2016年排ガス規制の概要

2016年には、国際基準との調和を図った、さらに厳しい排ガス規制が導入されました。

2016年の主な排ガス規制値は、次の表のとおりです。

規制対象ガスクラス1クラス2クラス3
CO値1.141.141.14
HC値0.300.200.17
NOx値0.070.070.09

2016年の規制では排出ガス規制値がさらに厳しくなっただけでなく、燃料蒸発ガスへの対策や「OBD」と呼ばれる車載式故障診断装置の装備なども求められるようになりました。

そのため、メーカーにとっては単に排出ガスの数値をクリアするだけではなく、車両全体で新たな基準に対応する必要がありました。

こうした規制への対応には開発コストも必要となるため、販売台数や設計の古さなどとの兼ね合いから、規制強化のタイミングで生産終了となったモデルも少なくありません。

なぜ50cc原付は排ガス規制への対応が難しかった?

では、なぜ今回、50cc原付は排ガス規制に対応して存続するのではなく、生産終了という道を選ぶことになったのでしょうか。

国土交通省によると、50cc以下の第一種原動機付自転車のうち対象となる車両には、2025年11月以降、新たな排出ガス規制が適用されることとなりました。

しかしメーカー側からは、技術面および事業性の観点から、規制に適合した50cc原付の生産・販売が困難になるとの見通しが示されていました。

小排気量の50ccエンジンでは、排ガスを浄化するための触媒を十分に機能させながら、必要な走行性能を確保することが難しくなります。

さらに、50cc原付の市場が縮小するなか、厳しい規制に対応するために新たなエンジンや排気システムを開発することは、メーカーにとってコスト面でも大きな負担となります。

こうした事情から、従来型の50cc原付を新たな規制に適合させるのではなく、排気量の大きなエンジンをベースに出力を制御した「新基準原付」へ移行することになりました。

50cc原付に代わって「新基準原付」が登場

従来型50cc原付の生産終了に対応するため、2025年4月1日から原付一種の車両区分が見直されました。

これまでの総排気量50cc以下の車両に加え、「総排気量50cc超125cc以下かつ最高出力4.0kW以下」の二輪車についても、原付免許で運転できるようになっています。

これが、いわゆる「新基準原付」です。

排気量だけを見ると125ccクラスですが、最高出力を4.0kW以下に制御することで、従来の原付一種と同じ免許で運転できます。

ただし、新基準原付になったからといって、原付一種の交通ルールが変わったわけではありません。

最高速度30km/h、二段階右折、二人乗り禁止など、従来の原付一種に適用されてきた交通ルールが新基準原付にも適用されます。

2026年にはヤマハから124ccエンジンを搭載した「JOG ONE」が発売されるなど、50cc原付に代わる新たな選択肢も登場しています。

まとめ

本記事では、50cc原付の生産終了とも密接に関係する、排ガス規制の歴史について解説しました。

2025年の排ガス規制強化を背景に、国内メーカーの従来型50ccガソリン原付は生産終了となりました。

ただし、「原付そのものがなくなった」というわけではありません。

2025年4月からは、総排気量50cc超125cc以下かつ最高出力4.0kW以下の「新基準原付」が原付一種に加わり、2026年には対応モデルの販売も始まっています。

また、すでに使用されている従来型の50cc原付については、今回の制度変更によって乗れなくなるわけではありません。中古車についても、適切に登録された車両であれば引き続き利用できます。

原付は、通勤・通学や買い物などの手軽な移動手段として、さまざまな生活シーンで便利な乗り物です。

従来の50cc原付に加えて新基準原付という新しい選択肢も登場しているため、それぞれの特徴を理解したうえで、用途に合った一台を選んでいきましょう。

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