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納期4年でも日本仕様は全体の1割って本当?ランドクルーザーはナゼ世界で人気?

昨年、世界中の注目を集めての登場となった、トヨタ「ランドクルーザー300」。発売日前から受注がウナギ上りとなり、なんと現在は納車まで4年待ち。日本では実質、新車はもはや買えないという状況になっています。

なぜこんなにも人気なのか、ランドクルーザーの歴史や販売戦略を紐解いてみましょう。

日本仕様は全生産台数の1割!世界中で人気のランクル

ランドクルーザー300系
©Mike Mareen/stock.adobe.com

ランドクルーザーはその祖である「トヨタジープBJ型」から数えると、1,000万台以上を世界に販売している名車中の名車。輸出先は170国以上に上り、現在は300系を筆頭に70系、150系プラドが海外で販売されています。

70系にいたっては、そのボディバリエーションは実に豊富で、ショートボディ、ミドルボディ、ロングボディ、トラックなどをラインナップ。残念ながら、日本では安全基準などの問題により絶版となってしまいましたが、並行輸入で買い求めることはできます。

300系が日本で4年待ちとなってしまったことには、いくつかの理由が考えられますが、筆頭に挙げてもよいのは、ランドクルーザーの生産体制でしょう。

ランドクルーザーは、そのほとんどをトヨタの関連会社「トヨタ車体(愛知県)」が製造しています。これだけのワールドワイドカーですから、海外にも生産拠点があるのではと思ってしまいますが、ポルトガルとケニアでほんの数パーセントだけセミノックダウン生産されているだけで、ほぼ日本国内で造られているのです。

しかも、ランドクルーザーの市場は中近東がメインで、欧州、オセアニア、北米がそれに続きます。日本の市場も決して小さくありませんが、中近東に比べるとわずか1/4程度に過ぎません。

さらに生産台数割り当てをみると、日本仕様車は全生産台数の1割程度だという話を関係者から聞いたことがあります。これでは、4年待ちというのも仕方がないのでしょう。

ヨンクファンの夢「いつかはランドクルーザー」

ランドクルーザー60系
©art_zzz/stock.adobe.com

それにしても、なぜランドクルーザーはここまでユーザーに人気があるのでしょうか。日本市場と世界市場に分けて考えていきたいと思います。

ランドクルーザーが日本で、一般のユーザーにまで浸透したのは、やはり80年代に興った「ヨンクブーム」。それまでは作業車、商用車だった四輪駆動車が、バブル経済、それに伴うアウトドア、ウインタースポーツブームによって、にわかに注目され始めます。それまでは、スタイリッシュなクーペに乗ることがステイタスだったのが、無骨な四輪駆動車、いわゆる“ヨンク”に乗る人がモテる時代になりました。

ヨンクブームを牽引したのは、三菱「パジェロ」やいすゞ「ビッグホーン」であり、市場の頂点にいたのが、日産「サファリ」とランドクルーザーでした。

特にランドクルーザーは当時から高額な車両で、60系ワゴンの最上級グレードは「クラウン」を越えるプライス。当時のCMで、『いつかはクラウン』などというキャッチコピーがありましたが、ヨンクファンの間では「いつかはランドクルーザー」などと言われたものです。

その後、80系の登場によって、ランドクルーザーの高級化路線は決定的なものとなり、多くのユーザーの垂涎の的となったのです。その後、四輪駆動車人気の終焉と共に、ライバルだったサファリ(海外ではパトロールとして存続)やビッグホーンが消えて、大名跡のパジェロもやがて絶版となりました。

国産車でいわゆるオフロード四輪駆動車と言えるのは、ランドクルーザー、ランドクルーザープラド、そしてスズキ「ジムニー」のみとなったのです。ブームの終焉と共に、時代はSUVへと移行していきましたが、この3モデルは今でも絶大の支持を得ており、周知の通り300系とジムニーは長い納期が続いています。

「地球上で最後に残るクルマはランドクルーザー」という絶対的信頼

ランドクルーザーは80年代以降も、世界市場では絶大な支持を得てきました。その理由は、絶対的な信頼性です。

ランドクルーザーの開発者は代々、「地球上で最後に残るクルマはランドクルーザーであると認識し、開発にあたるべし」という命題が受け継がれると言います。80系以降、日本では高級路線を突き進んでいるかのように思われがちですが、それは国内ニーズに合わせたカタチ。ヘビーユースが想定される地域の仕様では、できるだけ電子デバイスを廃して、信頼性の向上、整備性の容易性を目指しています。

300系も様々な点で性能を大幅に向上させ、様々な電子デバイスの採用に踏み切りました。それでも、絶対に変えない部分があります。それは、ラダーフレーム構造とリアリジッドサスペンション(70系はフロントもリジッド式)です。

特にラダーフレーム構造は、車体の堅牢性や耐久性、整備性を左右する部分です。ライバルだったレンジローバーやランドローバーがアルミ製モノコックボディに踏み切っても、ランドクルーザーだけでは世界からのニーズに応えて、そこは変えませんでした。

リアリジッド式サスペンションに関しても、同じです。ライバルが四輪をインディペンデンス式サスペンションに変えても、ランドクルーザーに大人数乗車、過積載、そして苛酷な悪路走行という命題が課せられる以上は変えられません。トップグレードは非常に華やかに見えますが、ベーシックグレードは地味でも壊れず、非常に信頼性の高いワークホースであり続けているのです。

筆者はかつて、新車から10年以上が経過した40系に乗っていましたが、小さな故障で部品交換は要するものの、基本的なメカニズムは実に快調でした。残念ながら、ディーゼル規制で都内では所有することができなくなってしまいましたが、いずれはまたランドクルーザーに戻りたいと思っています。

ランドクルーザーの世界では「10万kmで慣らし運転が終わる」などと言われています。それほど、同車は高い信頼性と品質を持っており、同時に長く付き合っても飽きが来ないということを示しているのだと思います。

ランドクルーザーの良さを一度でも知ったことのある人はもちろんのこと、「いつかはランドクルーザー」と思っている多くのユーザーを惹きつけるのは、車名が持つ絶対的なステイタスと普遍性なのではないでしょうか。“4年待ってでも乗りたい”と思わせる魅力を持っているクルマは、世界を見渡してもそうそうありません。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...
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