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SAや駐車場の急速充電スポット、なぜもっと増えないの?EV普及の足かせとなるインフラ問題、今後どうなる
急速充電スポットはガソリンスタンドの半分以下
カーボンニュートラルが社会全体で意識されつつある昨今、ガソリンを入れなくても走行できる電気自動車にも注目が集まっています。しかし、全国どんな道路を走っていても見つかるガソリンスタンドに比べて、電気自動車用の充電スポットはまだ少ないのが現状です。
ガソリンスタンドは2022年(令和3年度末)時点で全国に2万8,475給油所あります。一方、充電スポットは2023年(令和5年)3月末時点で全国に1万9,764拠点と、ガソリンスタンドより少ないものの、徐々に配備されてきています。
しかし、注目したいのは、そのうち急速充電に対応した充電スポットは9,559拠点しかないということ。ガソリンスタンドの三分の一程度に留まっています。
つまり、お出かけした先で電気自動車を充電したいとき、ガソリン給油のように「短時間で済ませて出発しよう」ということができない可能性が高いのです。
SAや駐車場にある急速充電器、充電には何分かかる?
電気自動車の充電には、「普通充電器」のほか「急速充電器」が使用できます。ここで少し触れておきたいのが「急速充電はどれくらいの時間で完了する」のかということ。
通常、自宅に備えつけることができる充電器は、車を使わない夜間に満充電にすることを前提とした設計です。この場合、満充電までには6~8時間かかります。
対するSAや駐車場などにある急速充電器のスペックでは、満充電までにかかる時間は1~2時間。通常の充電器に比べるとかなり速いですが、それでもガソリンスタンドで満タン給油するより遥かに時間がかかります。
急速充電器について、東京都港区で電気自動車の充電スポットなどの設置業務を行っていた担当者に話を聞きました。
「車種によって異なりますが、急速充電を利用した場合、満充電になるには1時間から2時間前後かかります。
そこで、少しでも多くのドライバーが急速充電スポットを利用できるようにするため、国内に設置されている急速充電スポットのほとんどは、30分充電をすると停止する仕組みになっています。
30分の充電ではバッテリーの50~70%まで充電できると思うので、走行には支障ありません。」
実際の急速充電器は「満充電」ではなく「30分」で充電終了となる仕組みとのこと。これでもかなり時間短縮されていますが、1台あたり30分は占有することになるので、単純計算で1つのスポットでは1日に48台しか充電できないことになります。ガソリンスタンドでの給油に比べると回転が悪いことは明らかでしょう。
- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...