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「水抜き剤は入れますか?」ガソスタで勧められるけど…効果ある派vsない派の主張は依然として衝突中

「水抜き剤は入れますか?」と聞かれたらどうする?

©Carolyn Franks/stock.adobe.com

最近はセルフスタンドが増えて一般的になったこともあり、ガソリンスタンドで声を掛けられる機会は減りましたが、スタッフが給油サービスを行っているガソリンスタンドなどで『水抜き剤』の注入を勧められたことはありませんか? 

私自身も学生時代にはガソリンスタンドでアルバイトをした経験を持ち、販売していた記憶が色濃く残っているのですが、近頃は水抜き剤の注入を見かけなくなったことに疑問を持つこともありました。

そこで、そもそも水抜き剤とはどんなものなのか?そして、入れる機会がなくなった現在、それでも大丈夫なのか?今回は水抜き剤にスポットを当て探ってみたいと思います。

水抜き剤の効能と役割は何?

©Byrd Setta/stock.adobe.com

燃料タンクに入れる水抜き剤は、燃料系統内の水分や不純物を取り除くための添加剤です。その効能と役割として以下のことが挙げられます。 

  • 水分の除去:燃料タンク内に水分が混入すると、燃料との混合物ができ、エンジンの燃焼を妨げる可能性があります。 水抜き剤は水分を吸収または正常に分散させ、燃料タンク内の水分の除去が可能です。これによりエンジンの燃焼効率を改善し、始動性やパフォーマンスの向上に努めます。 
  • 不純物の除去:燃料中には余分な不純物が含まれることがあります。水抜き剤はこれらの不純物を分散・溶解させ、燃料フィルターや燃料噴射装置などの燃料系統の立ち位置を防ぎ、エンジンの正常な動作を維持し、燃費やパフォーマンスの低下を防ぐ効果があります。 
  • エンジンの保護:燃料中の水分や不純物がエンジン内に入ると、燃焼室やバルブ、ピストンなどの部品に損傷を与える可能性があります。水抜き剤はこれらの損傷を防ぎ、エンジンの寿命を延ばす役割を果たすのです。

燃料タンクに水抜き剤を使用する場合は、製品使用方法の指示に従って正しい量を追加し、混合させる必要があります。

ただし、燃料品質や自動車のメーカーの推奨事項によっては、水抜き剤の使用が推奨されないケースもあり、そのため、車のメーカーやマニュアルを確認し、正しい方法で使用することが重要です。

昔はもっと一般的に使われていた理由

©PixieMe/stock.adobe.com

昔の車においては、燃料タンクに水抜き剤を使用することが一般的でした。特にキャブレターを搭載した古い車では、燃料供給系統の清浄化や不純物の除去のために水抜き剤が頻繁に使用されていました。

昔の燃料供給システムは、燃料フィルターや燃料ポンプなどの部品の構造や機能が現代の車とは異なっており、不純物や水分の混入がより頻繁に起こる傾向がありました。また、燃料の品質も現代と比べて安定しておらず、精製度が低かったため、不純物や水分の除去が重要でした。

近年では自動車の技術は進化し、燃料供給システムの機能と品質が向上し、燃料タンクに追加する水抜き剤の必要性に疑問が投げかけられています。 

まず、燃料供給システムの進歩により、燃料フィルターや燃料ポンプなどの部品が効率的に不純物や水分を除去する能力を持つようになりました。加えて、燃料の品質向上も進んでおり、高品質な燃料が市場で入手可能です。これにより、現代の車は不純物や水分の除去において高い効果を示し、燃料タンクに水抜き剤を追加する必要性が低下しました。

次に、自動車メーカーの推奨事項やメンテナンスマニュアルに従うことが重要です。一般的な自動車のメンテナンス手順では、燃料系統の点検や燃料フィルターの交換などが定期的に行われます。これにより、燃料供給システムを適切に維持し、不純物や水分の混入を防ぐことができます。

現代の車においては効果が議論がなされている

©photoiron/stock.adobe.com

以上を踏まえて、ガソリンスタンドで勧められる燃料タンクの水抜き剤について考えると、一部のガソリンスタンドでは、水抜き剤の使用を推奨していますが、現代の車においてはその必要性は低いと言えます。自動車メーカーやメンテナンスマニュアルの指示に従い、定期的なメンテナンスを行うことが燃料系統の健全性を保つ上で重要です。

ただし、「使用することで、エンジンの燃焼効率や始動性、パフォーマンスを改善する」と主張しているガソリンスタンドもあります。彼らは燃料中の不純物や水分の除去により、エンジンの動作をスムーズにし、潤滑性や燃料噴射の正確性を向上させると主張しています。また、水抜き剤はエンジン内の部品を保護し、寿命を延ばす効果があるとも述べられています。

しかし、これらの主張に対しては議論があります。一部の専門家は「現代の燃料供給システムはすでに高度なフィルタリングと浄化機能を備えており、水抜き剤の効果は限定的である」と主張しています。さらに、燃料タンクに添加される水抜き剤は、燃料中の水分を吸収または分散させることで除去するため、水分が蒸発するまでに時間がかかる場合もあります。

したがって結論付けるとすれば、現代の車において燃料タンクに水抜き剤を使用する必要性は依然として議論の余地があるということでしょう。水抜き剤の効果に依存せず、一般的なメンテナンス手順に従い、燃料フィルターの定期的な交換や燃料系統の点検を行うことが重要です。また、自動車メーカーの推奨事項やメンテナンスマニュアルに従うことも忘れずに行いましょう。

最終的な判断は、車のメーカーやメカニックとの相談を通じて行うことをおすすめします。彼らから特定の車種や環境に基づいて、最適なメンテナンス方法や添加剤の使用に関するアドバイスを提供してもらうと良いでしょう。

余談ですが、私がガソリンスタンドでアルバイトをしていた1990年代中頃は、レギュラーガソリンは1リットルあたり80円台という価格でした。

私が務めていたガソリンスタンドでも水抜き剤や添加剤のキャンペーンもしばしば行われ、販売本数に応じてインセンティブが入ることもあり、頑張って声がけしたことを今も覚えています。それから約30年が経ち、ガソリンの価格はおよそ2倍、社会も自動車業界もずいぶんと変わったように思います。

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執筆者プロフィール
小松 男
小松 男
幼少時からクルマ、バイクをはじめ乗り物全般の運転を好み、社会人になり中古車業を営むも上手くいかず業界から離脱。その後は出版社に勤め、幅広く雑誌媒体を手掛ける。こだわりがないというこだわりを掲げる昭...

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