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「やっちまった…車で歴史的遺産を壊しちゃった」この場合、保険は使えるの?
重要文化財をバイクで壊し、逮捕に至ったケースも
日本国内では、歴史的遺産を保護するための法律「文化財保護法」を制定。法律内に記載された195条“重要文化財を損壊し、毀棄し、又は隠匿した者”を対象に、5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が課せられる恐れがあります。
近年でも文化財保護法違反に当てはまり、逮捕に至った事件がありました。
2020年、山口県岩国市にある国指定の名勝「錦帯橋」にて、禁止されているバイクでの通行を行ったことにより橋に使われている木材に被害が発生。運転していたドライバーが警察に逮捕されています。
この事件以前にも、軽トラックで橋を通行し、損傷を負わせた事件が発生。その修復には200万円以上がかかったとされています。
もし故意にやったと認められれば、被害を与えた相手が人間ではなく物品であったとしても、加害者となってしまったドライバーに大きな負担がやってくるかもしれないのです。
歴史的建造物に任意保険の“対物賠償”は使えるのか?
器物損壊罪であるか以外にも気になるポイントがあります。それは、“破損した部分の修復費用”です。
通常であれば、自動車を購入すると加入が義務付けられる「自賠責保険」(強制保険)以外にも、損害保険会社がサービス提供している「任意保険」へ加入するのが通例です。
自賠責保険では事故相手の死傷に関連した内容のみ補償されますが、任意保険では「対人賠償」「対物賠償」と呼ばれる、事故相手の車両や物品、契約者自身の死傷や車両、物品などに幅広く適応できる補償があります。
もし、歴史的遺産を誤って壊してしまったら、任意保険の対物賠償は利用できるのでしょうか。ある大手損害保険会社に問い合わせたところ、次の回答がありました。
「もし“歴史的遺産”を自動車運転中に誤って破損してしまったケースでも、他者の所有している家宅や店舗などを破損したケース同様に対物賠償の対象となります。
設定されている「対物賠償」の保険金額を上限として、被保険者が負担する法律上の損害賠償責任に対して保険金をお支払いします。
なお、支払保険金の額は個別の事案ごとの判断となるため一概には言い切れませんが、一般的な考え方としては同等の素材で同等の建物を建築・修理する際に要した費用が補償されます。」
損害賠償の責任の度合いや個々の事案ごとに判断されるものの、対物賠償が適用され、新築および修理にかかった費用を保証してもらえるとのこと。任意保険へ正しく加入している車両であったとしたら、すべての修理費用の支払いは免れられると考えてよいでしょう。
とはいえ、任意保険で修理費用などが補償されても、一度破壊した文化財が元の状態に戻る可能性は限りなく低いのが現実。国の重要な資産として残されている文化財の付近に限りませんが、気を引き締めて運転操作をすべきではないでしょうか。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。