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「住宅地やマンションに活用されることも…」ガソリンスタンド跡地の土地や物件は買っても大丈夫?
廃業したガソリンスタンド、土地は有効活用できる?
昔からあるガソリンスタンドがいつの間にか廃業してフェンスに囲まれていた……。
ちょっと寂しい気持ちになる光景ですが、地方都市ではめずらしくない光景ともいえます。ガソリンスタンドだった場所が別の商業施設になっていた、なんてのもよくあることですよね。
元の施設がなんであれ、広い土地が空いたなら有効活用してもらいたいところです。
ただ、ちょっと気になるのが安全性。ガソリンスタンド跡地って安全に活用できるのでしょうか?土壌汚染の心配はない?
詳しく調べてみたところ、どうやらガソリンスタンド跡地を安全に活用できるか否かはケースバイケースのようです。
ガソリンスタンド跡地って安全なの?
まず基本的に、ガソリンスタンドの土地は以下の物質で汚染されている可能性があります。
- 鉛(1987年以前のガソリンに含まれていた第二種特定有害物質)
- ベンゼン(ガソリンに1%まで含まれている第一種特定有害物質)
- ホウ素(ブレーキフルードに含まれる第二種特定有害物質)
- 油分(ガソリンや灯油、各種オイルなどに含まれている)
これらの物質が貯蔵タンクや地表から地中に浸潤することにより、ガソリンスタンドの土壌は汚染されます。汚染物質の残った土地が住宅地になった場合、そこで暮らす住民は何らかの健康被害を被るかもしれません。
また、ガソリンスタンド跡地には油の臭いが残っている場合もあります。買い手の立場で考えると、油臭い土地なんて購入したくないですよね。
地盤が不安定になっている可能性も
ガソリンスタンドを更地として再活用するには、地中のガソリン貯蔵タンクを撤去し、埋設跡を浄化して土で埋める必要があります(タンクを残して埋め立てる場合もあります)。
ただ、この埋め立て工事がずさんだと、地盤が弱く不安定になり、地盤沈下しやすい状態になりかねません。また、タンクの撤去作業が雑に行われて、洗浄液の漏れにより土壌汚染が広がる可能性もあります。
埋め立てにかぎらず、工事のクオリティはガソリンスタンド跡地の安全性を左右する重要要素です。この点については後でもう一度触れることにしましょう。
土地の土壌調査は義務ではないが……
土壌汚染の可能性が高い施設であるにもかかわらず、ガソリンスタンドは土壌汚染対策法の定める「特定施設」に指定されていません。つまり、ガソリンスタンドを廃止する際の土壌汚染調査は法律で義務付けられていない、ということです。
とはいえ、土地の取り扱いルールは諸条件により変わりますし、不動産売買では地盤の安全性が重視されます。これらの点から、ガソリンスタンド跡地が土壌汚染調査なしで売却されることは稀なようです。
地域や条件によっては土壌汚染調査が必要
東京都や愛知県など一部の都道府県では、ガソリンスタンド廃止時の土壌汚染調査を条例で義務付けています。また、これらの地域以外でも、廃業にともない3,000平方メートル以上の土地改変を行う場合は、法令に従い土壌汚染調査を行わなければなりません。
土壌汚染調査は売却に必須
法的な義務の有無を問わず、ガソリンスタンド跡地を売却する際は、売り主による土壌汚染調査が必須となります。汚染の可能性を残したままでは買い手がつきませんからね(土地の活用方法にもよりますが)。
調査により見つかった土壌汚染については、売り主負担で浄化することがほとんど。こうした手間をかけて売却されることから、ガソリンスタンド跡地は基本的に安全と考えられます……が、浄化工事の品質は気になるところです。
- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...