更新
「なぜ日本には罰則がないの?」障害者用駐車スペース問題の解決策はあるのか
現状では不適切な利用に対する罰則はない
アメリカやヨーロッパ諸国、オーストラリア、韓国などでは、一般のクルマが障害者用の駐車スペースを利用した場合、多額の罰金や罰則が科せられます。
対して日本では、施設管理者は「障害者等の移動等円滑化のために必要な対策を講じるよう努めること」、国民は「障害者等の円滑な移動と施設の利用ができるよう協力に努めること」とされており、罰金や罰則に関する規定はありません。
国土交通省の資料によれば、全国一律の制度化(罰則導入)について、「地方公共団体や施設管理者、利用者のコンセンサスが得られる状況とは言えないため、まずは制度の普及に向けた改善と普及啓発を行うことが必要」としています。
また、各自治体が条例により罰則を設けるという方法も「実効性を担保できず、罰則を設けたとしてもその対応が困難である」としており、罰則化は見送られています。
しかしながら、「マナーの向上」や「啓発活動」では限界があるため、今後不適切な利用が改善されない場合には、日本でも全国一律の罰則規定が必要となるときが来るかもしれません。
一般健常者による不適切な利用が「パーキング・パーミット制度」を生んだ
日本では障害者等用駐車区画の不適切な利用を防ぐ対策として、パーキングパーミット制度(PP制度)の導入が進められています。
これは、2006年に佐賀県からスタートした制度。『健常者が駐車していて停められない』という苦情が非常に多かったため、欧米などですでに導入されている、障害者用駐車スペースに駐車する際に”許可証”が必要となる制度を参考にして導入されました。
各自治体が駐車スペースの”利用証”を発行して利用者を限定するもので、現在では40以上の府県で導入されています。
同制度(名称はそれぞれ異なる)を導入している地域では、相互利用協定を締結しており、各府県の利用証を他府県の施設で利用可能です。
筆者地元の市担当者は、「パーキングパーミット制度が実施されてから、実際に『健常者が止めていて駐車できない』といった苦情は減少しました。また、外見では分かりづらい障害を持つ方も、駐車しやすくなったと思います。」
と話しており、PP制度が不適切な駐車の抑制や、駐車スペースの適正利用に寄与しているのは確かなようです。
しかしながら、PP制度が導入されてもなお、不適切に利用されているケースが少なからず存在します。
歩行が困難な方のために、優先スペースを空けておく。たったこれだけでも、障害を持つ方や妊産婦、車いすが必要な方の助けになるということを頭に入れておきたいものです。
「車いすマーク」の本当の意味、知ってる?
表示された駐車料金は「2307510円」!糸井嘉男さんたまげる
「運転中のヒヤリハット」についてのエピソード
- 執筆者プロフィール
- 成田 佑真
- 1993年生まれ。普段は医療機器販売を行っているが、暇があれば自動車関連記事を読み漁る。現在の愛車はA4。子どもの頃からマークⅡに憧れ、社会人になりマークXを購入。週末は必ず手洗い洗車を行い、ドライブに出...