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日野が国内向け生産を完全停止へ…関連企業に1兆円規模の影響か
日野自動車の国内販売が停止に
2022年9月6日、日野自動車が同社の排ガスや燃費のデータ改ざん問題を受け、自社製トラック用エンジンを搭載する国内向け全車種の生産を完全に停止する方針を固めたことが判明しました。
問題が長期化したことで、現時点における国内向け生産を終了し、これまでの全量出荷停止から対応を引き上げるとのこと。
日野自動車は具体的な停止時期について「未定」としていますが、主要な取引先に対し2023年夏頃に停止する方針を伝えているとのことです。
トヨタらの商用車連合からも除名
また、今年8月24日には一連の流れを鑑み、日野はトヨタ、いすゞ、スズキ、ダイハツが出資する商用車組合「Commercial Japan Partnership Technologies(以下、CJPT)」から除名されたことが発表されました。
CJPTは2021年4月の設立以降、CASEの普及を加速させることにより、カーボンニュートラル社会実現に貢献すると共に、ドライバーや作業者の皆様の負担を軽減するため、パートナーの皆様と現場での取り組みを進めてきました。
日野を含めたまま活動することは、顧客や社会の皆様からの理解を得られないのではないかと、トヨタの豊田章男社長からも投げかけがあり、CJPT内での議論を経て、除名という結論に至ったといいます。
具体的には、共同企画契約等全ての契約から日野を除外するとともに、日野がCJPTへ出資している株式(10%)をトヨタに譲渡。すでにCJPTが取り組んでいるプロジェクトについては、日野は必要最小限の役割を果たしていくとのことです。
そもそも国内の規制が海外より厳しすぎ?
たしかに日野の長期間に渡る不正は許されるものではありませんが、そもそも日本の規制が厳しすぎるのではないかという声も。
自動車メーカーには様々な環境規制に縛られています。今回日野がクリアできなかった排出ガス規制をはじめ、騒音規制やCAFE規制などその規制は様々です。
これまでも達成不可能と言われてきた規制をクリアし、魅力的な自動車を世に送り出してきた自動車メーカーですが、近年の規制は「ガソリン車では達成できない」と言われてしまうような厳しいものになっていると言われています。
今ではガソリン車が大半を占めるスポーツカーや軽自動車も存続の危機に危ぶまれている状況に。世界有数の自動車大国と言われる日本の産業がどうなっていくか危惧する声が多数挙がっています。
関連企業にも影響か
日野が国内向け全車種の生産を完全に停止した場合、部品などを共有するサプライヤーなどにも甚大な影響を及ぼすと言われています。
帝国データバンクの調査によると、日野自動車および同社グループ計6社の周辺産業での取引規模は年間最大約9,796億円。つまり、日野の生産が全面的にストップした場合、取引企業や周辺産業全体で年間最大約1兆円の取引が消失する可能性があるということです。
すでに大打撃を受けているサプライヤーも見られるなか、日野は2022年4-6月期において仕入先に対する補償など20億円の特別損失を計上。公的金融機関などでも資金繰り支援を受け付ける相談窓口を設置するなど、生産停止の影響を受ける中小企業・小規模事業者向けのフォローを実施しています。
ただし年間1兆円にもなる取引規模の維持は難しく、経営を支えきれなくなったサプライヤーの市場退出などが発生する可能性が懸念されます。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...