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「オレらの税金はどこへ消えた?」用途不明の自動車税……ユーザーが抱える税負担に疑問の声
本当に道路に関係する場所へ使われているのか
記載事項を見ると、道路損傷負担金、つまり道路に関係する使用目的で徴収されているように思えます。
実際に、税金の中には「目的税」と言われる、使い道が決められている税金があります。しかし、自動車税種別割(以下自動車税)は目的税には当たりません。
自動車税の課税団体は都道府県、軽自動車種別割(以下軽自動車税)の課税団体は市区町村となっています。前述したとおり、この2つは地方税です。また、自動車税は普通税であり、徴収した地方公共団体が自由に使途を決められる一般財源でもあります。
つまり、自動車税として納付された税金は、各地方公共団体が管理し、一部は県道や市道などの保全改修などに充てられることもありますが、福祉や教育、公共物の整備、警察・消防・救急といった行政機関の維持管理などにも利用され、必ずしも車に関係することに使用されているとは言えないのです。
自動車に関する税金は自動車関連に使うべきでは
つまり、「道路損傷負担金的な性格を持つ」と総務省の説明には書いてあるものの、実質的に自動車税の何割が、道路損傷負担金(道路の修繕費)に使われているのかは明らかになっていないということです。
中には、自動車税の徴収額に対して、道路整備等にかけている費用が低すぎる地方公共団体も多く見受けられます。
さらに、道路特定財源と言われていた旧自動車取得税や自動車重量税も、そもそもは目的税だったにもかかわらず、税制改正等により、現在は一般財源化されました。こちらも国が自由に使途を決められる税金へと変わってしまったのです。
納税する自動車ユーザー側から見れば、せめて自動車が関係する場所に使ってほしいと思うところ。
自動車税、環境性能割、自動車重量税、消費税、ガソリン税など、自動車ユーザーが何重にも支払っている自動車関連の税金。日本の自動車ユーザーは、世界一高いレベルの税負担を強いられているとも言われているのです。
こうした事実を受け、JAFや大手自動車メーカーなどは、自動車の税負担について「改善してほしい」という声を集めています。
例えばJAFでは、毎年のように税制改背に対する要望活動を行い、日本自動車工業会からも、税制見直しの議論を進めていくよう、訴えが続けられています。私たちユーザーの声も吸い上げ、自動車の税負担の在り方について考え直す機会をつくれるよう、自動車関連の各団体が、力を合わせて取り組んでいるのです。
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- 執筆者プロフィール
- Red29
- 1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...