更新
「広くて使いやすい、普通車なんてお金の無駄でしょ」軽自動車の魅力エピソード
日本の独自規格である軽自動車は、その経済性や利便性から「日常の足」として人々の生活に定着しています。
一方で、軽自動車に対して「うるさい、狭い、遅い」といったネガティブなイメージを抱いている人も少なくないでしょう。また、ネット上などでは「軽は恥ずかしい」「お金があったら軽なんて乗らないはず」など、ステータス性について揶揄する声も散見されます。
実際のところ、軽自動車は「安いから乗るもの」に過ぎないのでしょうか。今回は、普通車と軽自動車の両方を維持しているオーナーの方々に、「コスト以外の軽のメリット・デメリット」について話を聞きました。
高級車があるのに軽ばかり使ってしまう!?
維持費を除いた場合、軽の魅力としてまず思い浮かぶのは、小柄なサイズによる取り回しのよさでしょう。インタビューに答えてくれたオーナーのなかには、あまりの使い勝手のよさに、セカンドカーとして買ったはずの軽自動車がメインの座を奪ってしまったという人も。
「ずっと日産のファンで、ローレルやセドリック、シーマなどのセダンを乗り継いできました。ここ7年ほどはフーガですね。
数年前、社会人になった娘が『N-BOXを買う』というのを聞いて、最初は『軽は狭いし、走らないからやめておきなさい』と反対していたんですよ。ですが、『友達のN-BOXの方がお父さんの車より広くて使いやすそうだったから。普通車なんてお金の無駄でしょ』などと反論され、止めることができなかったんです。
きっと後悔すると思っていたのですが、実際に納車された娘の車に乗ってみると、たしかに驚くほど広く、内装もまったくチープには感じませんでした。何より、走行中の音がずいぶん抑えられていることに驚きましたね。
それで私も、セカンドカーとして日産のデイズを買ったんですよ。今まで走りにこだわっていましたが、デイズを買ってからは気軽に出かけることが増えて、自分の生活環境にはこっちの方が合っていたんだなぁと。妻も『乗り降りが楽だし、隣の車に気を遣わなくて済む』と喜んでいます」(50代男性)
高級車の走行性能は大きな魅力ではありますが、短距離の移動がメインだと、その性能を持て余してしまうこともあるでしょう。狭い道路や駐車場を気にせずに済む軽自動車は、お出かけのハードルを下げる「ちょうどよさ」があるようです。
ミニバンに引けを取らない利便性に感動
軽自動車のなかでも、現在主流になっているのが「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるタイプ。N-BOXやタントなど、軽ならではの取り回しのよさはそのままに、広々とした室内空間や多彩なシートアレンジを備えています。
子育て世代をはじめ、利便性に優れるミニバンとスーパーハイトワゴンの「2台持ち」という家庭も見かけますが、それぞれをどのように使い分けているのでしょうか。
「家族用にヴォクシーと、自分の通勤用にタントを使っています。タントは1人で乗るぶんには何も不満はないですし、むしろ取り回しの面でこっちの方が便利なくらいですね。燃費もいいので、ちょっとした用事でパッと乗れるのがいいところです。
ただ、普通車と比べるとやっぱり車内に入ってくる音も大きいですし、外が近い感じがするので、子どもを乗せるときはなるべくヴォクシーです。息子がサッカーをしていて、多人数を乗せるときにも便利ですし。なんというか、『息子がサッカーチームにいるのに軽自動車』みたいに思われるのもアレですしね」(40代女性)
サッカーや野球など、お子さんが多人数競技のチームに所属していると、「あまり人が乗れない車だと気が引けてしまう」という状況もあるのかもしれません。また、軽自動車に対する偏見が根強く残っている場合もあり、「軽だとお金がないと思われるかもしれない」と懸念する人もいるようです。
- 執筆者プロフィール
- 鹿間羊市
- 1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...