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”いっくん”ELT伊藤一朗インタビュー《vol.2》「未来を妄想?10年後のクルマとELT」
【Profile】伊藤一朗1967年11月10日生まれ。神奈川県出身。
Every Little Thingのメンバーであり、ギターと作曲、編曲を担当。高校時代からバンド活動を開始。卒業後は横須賀市のスタジオに勤務しながらバンドを続け、1996年8月にEvery Little Thingとしてデビュー。J-POP特有の歌詞の”聞こえ”にこだわった、美しいギターサウンドが特徴。最近はバラエティ番組にも単独で出演するなど、活動の幅を広げている。
クルマと音楽。未来はどうなる?
同世代だけでなく若い人も含めて、現代の日本の車社会について、どう思われますか?
若い世代は特に、車に乗ることをステータスだと感じないのかもしれないですね。でも車は「一人きりになれる空間」なので。自分の車があれば人生は絶対豊かになると思います。
それに、若い世代は車で苦労する経験をほとんどしないじゃないですか。もちろんいいことですけどね。今の車は、よく知らなくてもとりあえず運転席に座れば動かせてしまう。(笑)昔はそうはいかなかったので、車で苦労する経験もたくさんしてほしいなと思います。
自動運転やAIの導入などで、車はこれからますます便利になるでしょうね。
どこまでAI化、自動運転化が進むのか気になりますよね。僕なんかはアナログの方が楽しいと感じるので。(笑)
それに車で不便と感じることが少なくなってきているがゆえに、運転に対する敷居が低くなって、昔なかったような事故が増えているのかも・・・とも感じます。
伊藤さんが想像する「未来の車」はどんなものですか?
究極を言えば「運転しなくても乗っただけで目的地に行ける車」とか「事故を完全に未然に防げる車」が出てきたらいいなと思いますけど。ハンドルがない車とか、憧れますけど怖くて想像できないですね。(笑)
あと、僕よく妄想するのが好きで。車についても妄想したりするんです。(笑)
妄想ですか!?ぜひ聞かせてください!(笑)
車のAIが究極に優秀になったら、例えば「重大な事故を回避するために、自分を犠牲にして避ける」っていう選択をしてしまうのかな?とか。AIがドライバー1人を犠牲にすれば、周りの人が助かるって判断したらどうするんでしょうか。ドライバーの立場からすれば、そんな車に多額のお金を払って乗りたくないですよね。
自動運転とかAIもですけど、車ってこういう矛盾を結構抱えている存在ですよね。安全性を求める一方で、安全とは真逆のスピードやパワーへのニーズもあるわけですし。
AIにより車の価値がまた変化しそうですよね。
そうですね。僕はリスクとかも見てしまいがちですけど、車ほど生活に身近で便利なものってないと思うんです。しかも、エンターテインメント性と実用性を両立している。今後は、車と日本社会と海外の経済とがうまく共存できるようになるといいですね。
10年後、20年後の車はどうなると思いますか?
単によいものを作るだけでなく、世界や社会とか、他のものと共存できるような車になっていくといいですね。それに、やっぱり二極化していくと思います。安全性を求める人がいる一方で、かっこよさを求める人もいますから。そういう人はどれだけお金がかかっても、面倒くささがあっても、自分のポリシーを突き通すべきだと思います。
では、10年後、20年後のELTはどうなると思いますか?
僕はレコーディングよりも、お客さんの前でライブをするのが好きなんです。だから年をとってもお客さんを楽しませるような活動をしたいし、年齢のせいでスタイルが変わったとしても、音楽ならお客さんを楽しませることはできると思うんですよね。違うアプローチができるかもしれないし。
どんどん趣味や嗜好が多様化している世界の中で、音楽に興味がない人にも聴いてもらえるようなアーティストでいたいですね。
”妄想”と言いつつ、鋭い視点でクルマの未来に切り込んでいた伊藤さん。価値や嗜好が多様化する世界において、クルマも音楽も、興味がない人にどうアプローチしていくかが今後重要になっていくのかもしれません。深いお話を伺って、伊藤さんの新たな一面や魅力を発見することができました。次回vol.3では、ギタリストとしての伊藤さんの魅力に迫ります。
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vol.3「ギタリストとしての日々。J-POPへのこだわり」
インタビュアー:宇野 智(MOBY)
撮影:船迫 洋平(ピーエイチプラス)
編集:池田貴美(MOBY)
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...