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水平対向の名機「FA20」エンジンとは?NAとターボの違いや採用車種を紹介
FA20はどんなエンジン?
FA20は、トヨタ 86やスバル BRZなどに搭載されている、2.0Lの水平対向直噴エンジンです。
2012年に登場し、自然吸気(NA)のFA20D、ターボエンジンのFA20Fと2つのバリエーションがあります。
トヨタとスバルが開発したエンジン
FA20Dはトヨタとスバルの共同開発によって生まれたエンジンで、スバル伝統の水平対向エンジン(ボクサー)と、トヨタのガソリン直噴エンジン技術である「D-4S」が組み合わされています。
ベースとなっているのはスバルの2.0LボクサーエンジンであるFB20ですが、FA20DはFB20よりも高回転で出力を発揮するエンジンを目指して開発されました。
その結果、FA20Dはストローク、ボアともに86mmとなり、偶然にもFA20を搭載するトヨタ 86の車名をもじったような数値に。なお、これは偶然とのことです。
ちなみに、海外の販売されるトヨタ 86のエンジン名は「4U-GSE」となっていますが、これはFA20Dのトヨタ社内での呼び名で、FA20Dと同じエンジンとなっています。
FA20DとFA20Fは別物
ターボエンジンのFA20Fはスバルの完全自社開発エンジンで、「FA20」という名前が与えられてはいますが、86やBRZに搭載されるFA20Dとは似て非なるエンジンです。
FA20Dでは燃料噴射にトヨタの「D-4S」が採用されていますが、FA20Fではスバルの直噴ターボ技術「DIT」が採用されています。「FA20DIT」と呼ばれることもあります。
その他、エンジン内部のパーツもほとんどが別物です。トランスミッションもFA20Dではアイシン製の6速MTまたは6速ATですが、FA20Fではスバルの自社開発CVT「リニアトロニック」が組み合わされます。
FA20D/FA20Fどちらも名機
FA20Dは、高性能の証である1Lあたり100馬力の出力特性をもち、高回転まで回る胸のすくようなフィーリングが特徴のエンジンです。
FA20Fは、ターボにより最大で40.8kgf・mのトルクをわずか2,000回転で発揮し、低回転からの力強い加速と優れた燃費性能をもっています。
アメリカで「10ベストエンジン」を受賞
FA20DとFA20Fは前述のとおり別物のエンジンにはなりますが、どちらも高い評価を受けました。
アメリカの自動車誌「Ward’s Auto」が発表している、アメリカ国内で販売される量販車に搭載されるエンジンの中からその年のトップ10を選ぶ「テン・ベスト・エンジン」を、FA20D、FA20Fともに受賞しました。
FA20Dは2013年に、FA20Fは2015年、2016年に選ばれています。
FA20のメンテナンス
FA20に限らずどのエンジンにも言えることですが、エンジンオイルの交換は、エンジンの性能を長く保ち、エンジンブローなどのトラブルを防ぐためにも非常に重要です。
FA20のエンジンオイル量はFA20Dが5.2L(フィルター交換時:5.4L)、FA20Fが4.9L(フィルター交換時:5.1L)と、他の2Lエンジンと比較するとエンジンオイルの量が多いため、エンジンオイル交換費用は少し割高です。
そのため、出費を抑えたいからと先延ばしにしてしまいがちですが、しっかりとメーカー指定の距離・期間ごとにオイル交換をおこないましょう。
また、過去のレガシィやインプレッサに搭載されていた水平対向エンジンのEJ20ではタイミングベルトが採用されていたため、10万kmまたは10年を目安にタイミングベルトの交換が必要でしたが、FA20ではメンテナンス不要のタイミングチェーンとなっています。
FA20はオイル漏れが起きやすい?
FA20に限らず、水平対向エンジン(ボクサーエンジン)はオイル漏れが起きやすいと言われています。
しかし実際には、シリンダーが横向きに寝ていることから漏れたオイルが下に垂れやすく、それによって発見が容易になっていることが、オイル漏れが起きやすいと思われてしまう原因になっているようです。
そのため、水平対抗エンジン(ボクサーエンジン)だからオイル漏れが起きやすいのでは…と心配する必要はありません。
ただし、少しでもおかしいなと感じたときはディーラーなどへ相談してみることがおすすめです。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部 高山 志郎
- 平成元年生まれ、東京都出身。学生時代にモータースポーツ活動を開始し、大小さまざまな耐久レースへ参戦。優勝の経験も持つ。エンジニアとして複数の業界を渡りながら趣味で車やバイクに触れ続け、縁あって自動...