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街で見かける“そっくりな車”の正体は? OEM供給と共同開発の違いを解説
新しい車が発表されたとき、「どこかで見たことがあるデザインだ」「別のメーカーから登場したモデルとよく似ている。これはパクリなのでは?」と感じたことのある人も少なくないかもしれません。
しかし、そのモデルは「OEM供給」と呼ばれる正式な提携によって生まれた車である可能性があるようです。
OEM供給にはメーカー双方にメリットがある

街中で「見た目はほとんど同じなのに、エンブレムだけが違う」という車を見かけたことがあるかもしれません。
実は、そのようなモデルはOEM供給による「OEM車」である可能性があります。
OEMとは「Original Equipment Manufacturing」の略称で、「委託先ブランドでの生産」といった意味を持ちます。
自動車分野におけるOEMは、あるメーカーが開発・製造した車両を、別のメーカーが自社ブランドのエンブレムを付けて販売するしくみを指します。
そして、この仕組みによって、販売する側のメーカーは自社で一から開発をおこなうことなく、ラインナップの幅を広げられる利点があるとされています。
さらに、販売力の強いメーカーに販売をしてもらうことで受注を増やしたり、生産力が余ったときにOEM車の生産をおこなって、生産力の無駄をそぐといったメリットもあるようです。
なお、このようなOEM供給の代表例としては、ダイハツが開発・製造する「トール」を、トヨタが「ルーミー」という名称で販売している例が挙げられます。
OEMではなく、共同開発で類似モデルが生まれることも

しかし、異なるメーカーから外観や基本構造がよく似た車が登場したとしても、それが必ずしもOEM供給によるものとは限りません。
両社が共同で企画や開発を進めた結果、それぞれのブランドからほぼ同時期に販売される「共同開発車」であるケースも見られるようです。
一般的に、共同開発車の場合はプラットフォームやエンジンなどの基本部分を共通化しつつ、内外装のデザインや走行特性、装備内容には各社の特徴が反映されます。
そもそも、車のモデルの共同開発は、共同する会社同士の技術や持ち味が掛け合わさることで、よりよいモデルが生まれる可能性があるというメリットがあります。
その代表的な例として挙げられるのが、スバル「BRZ」とトヨタ「86」や「GR86」です。
トヨタとスバルにより共同開発されたこれらのモデルには、スバルのボクサーエンジンの設計思想に、トヨタの直噴技術D-4Sが組み合わさることで生まれた、新開発エンジンが搭載されています。
その上で、スバルは走りの愉しさや操る愉しさを強調し、トヨタはスポーツカーらしいデザインや味付け、機能美に力を入れるなど、ブランドごとの違いが表れています。
まとめ
このように、新型車の中には、他社のモデルとよく似たデザインを持つ「OEM車」や、他社との共同開発によって生まれたモデルもあります。
異なるメーカーから似たような車が登場する背景には、単なる模倣ではなく、OEMや共同開発といったメーカー間の協力による成果であることが多いとされています。
これらの情報を踏まえた上で、似たデザインの車を探したりOEM車を調べたりするのも面白いかもしれません。
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