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エンジンのハンチングとは?発生する原因と対処法を解説

ハンチングとは?

アイドリングが安定しない現象のこと

©dreamnikon/stock.adobe.com

ハンチングとは、アイドリング中のエンジン回転数が高くなったり低くなったりするような症状を指します。これは、エンジンが冷えた状態で始動した時に回転数が急激に高くなるのとは異なる現象です。

ハンチングはアイドリング時のエンジン回転数が安定しない現象、つまりは吸気系のトラブルに該当するため、発生する原因は吸排気系周りにあります。

ハンチングが発生する原因は?

エンジンでは、取り入れてゴミを取り除いた空気量とスロットルバルブの開閉量に合わせて各種信号を元に燃料噴射燃量が決まり、それが混合気となって燃焼に使われます。その排ガスはエキゾーストマニホールドやマフラー(サイレンサー)を経由して大気へ排出される…という仕組みです。

ハンチングが発生するとき、特に吸気と燃焼関係の部品に問題のあることが多いです。挙げるとキリがありませんし、電系統やエンジン内部の機械的な故障なども考えられます。

例えば、ハンチングが発生する具体的な原因として考えられるものを列挙すると、次のようなものが挙げられます。

  • ISCV(アイドリング・スピード・コントロール・バルブ)の不調
  • スロットルボディの不調
  • インテークマニホールドのバキュームホース破損
  • ブローバイガスの発生
  • エアフロメーターの不調
  • キャニスターパージバルブの詰まり
  • プラグケーブルやスパークプラグなどの不調

以降の見出しでは、これらを詳しく解説します。

原因その1:ISCVの不調

ISCVとは

ISCVはアイドリング時の回転数を制御する部品です。昔ながらのスロットル・ワイヤーでスロットルを開閉する車両のスロットルバルブに装着されています。スロットルボディとの間にバルブパッキンを1枚挟んでISCVアッセンブリーをボルト留めしています。

スロットルバルブ手前にあるISCVバイパスを経由してISCVへ空気が流入します。ISCVバルブはスロットルバルブが開いている時には閉じ、逆にスロットルバルブが閉じた時に開いて燃焼室へ空気を送ります。

アイドリング時の回転数を安定化させるためのISCVが本来の性能を果たせなくなることでハンチングが発生するというわけです。

不調の原因と対処方法

ISCVの不調の主な原因はカーボン蓄積による汚れで、アイドリングが安定しない時の原因のほとんどはISCVと話す人もいます。

そのため対処方法は、ボルトで固定されているISCVを取り外して汚れを落とすという、いたって単純なものです。ジャッキアップをせずとも交換できるパーツですが、エアクリーナーを取り外す手間がかかったり、ISCVを固定するボルトが狭いところにあって取り外しに手こずる可能性はあります。

取り外すとISCVの先端がカーボンで黒く汚れているので、パーツクリーナーあるいはスロットルバルブクリーナーなどを使用して洗浄します。

原因その2:スロットル・バルブやスロットル・ボディの不調

スロットル・バルブとは

©Орлов Александр/stock.adobe.com

スロットル・バルブはその開閉を通じて燃焼室への吸気量を増減させる部品です。その役割ゆえにアクセルペダルに連動してバルブの開閉が行われ、ISCVとは異なる役割をになっています。

スロットル・バルブやセンサーなどのパーツを全て合わせてパーツ全体をスロットル・ボディと呼ぶため、混乱して間違えて理解しないように注意しましょう。

スロットル・バルブやスロットル・ボディにもISCVと同様にカーボンの汚れが付着しやすく、走行距離の増加とともに汚れが増すことが多いです。これがハンチングを引き起こす原因になることもあります。

スロットル・バルブやスロットルボディ不調時の対処方法

スロットル・バルブ不調の対処方法はいくつかありますが、主要な方法の1つはISCVと同じく取り外してカーボン汚れを落とすことです。

この時の注意点として、スロットル・バルブやスロットル・ボディにあるモリブデンコーティングを落とさないようにしましょう。モリブデンコーティングはスロットルバルブの気密性を保つために施されるもののため、これを取り除くと解決どころか症状が悪化する危険があります。使用する洗浄剤がモリブデンコーティングを落とさないかどうかを確かめましょう。ワコーズ社のスロットルバルブクリーナーが定番のケミカルです。

原因その3:インテークマニホールドのバキュームホース破損

インテークマニホールドと繋がっているバキュームホースの破損もハンチングの原因となります。このバキュームホースが経年劣化等で割れたり亀裂が入ったりすると、そこから空気が漏れてアイドリング不調に影響します。

バキュームホースをはじめとするホース類(ゴム製品)は消耗品のため、破損したらすかさず交換しましょう。ただし、年式の古い車種は純正パーツが廃盤・生産終了になっていたり、社外メーカーから互換品が販売されていない場合もあるので、心当たりのある方は事前に部品の入手方法あるいは対策方法を見つけておくことをおすすめします。

原因その4:ブローバイガスの発生

ブローバイガスとは

©jakHafiz/stock.adobe.com

ブローバイガスはシリンダーとピストンの隙間を通ってクランクケースへ漏れた未燃焼ガスです。本来、シリンダーとピストンの機密性を保つ工夫が為されていて、未燃焼ガスがクランクシャフトへできるだけ侵入しないようになっています。

しかし、走行距離増加によるクリアランスの拡大やエンジンオイルメンテナンス不足などの理由でクランクケースへ漏れ出します。

ブローバイガスはPCVバルブを経由して吸気に再利用されますが、炭化水素(HC)を含んでいるため、ブローバイガスが流れるスロットルバルブやスロットルボディにはカーボンが付着・堆積し、それが汚れとなってハンチングの原因になります。

カーボンの汚れ落としとマメなエンジンオイルメンテナンス

カーボンの汚れは先ほど紹介したようにスロットルバルブクリーナーで洗浄すれば良いでしょう。加えて、エンジンオイルの定期的な交換も燃焼室の機密性維持に重要です。

原因その5:エアフロメーターの不調

エアフロメーターは吸入空気量を測定する役割を担う部品です。

例えば昨今の多くの自動車に採用されている電子制御色インジェクションでは、測定された吸入空気量は電気信号としてECU(エンジンコントロールユニット)へ送られ、その他の電気信号情報と総合的に計算されたうえで燃料噴射量を決定し、フューエルインジェクターへ指示を出す構造です。

エアフロメーターにも種類があり、メジャリングプレート式、熱線式、カルマン渦式の3種類に分けられます。

エアフロメーターの不調の原因は?

エアフロメーター不調の原因はその種類によりけりですが、例えば熱線式エアフロメーターの場合、熱線の汚れが原因で空気量を正確に測定できないというケースがあります。もちろん、ただの汚れではなく何かしらの理由で破損する(している)こともあるでしょう。

対策としてはエアフロメーターのメンテナンスをすることです。汚れているだけなら壊さないように汚れを拭き取り、壊れていたら交換しましょう。

原因その6:チャコールキャニスターとパージバルブの不調

ガソリン車の場合、チャコールキャニスターやパージバルブの不調もハンチングの原因として考える要因の1つです。

ガソリンは揮発性が高く燃料タンク内で気化しますが、その気化したガソリンは混合気と共に燃焼行程に使われるようになっています。気化したガソリンをインテークマニホールドへ送り出すために使われるのがチャコールキャニスターとパージバルブが利用されます。

チャコールキャニスターは気化したガソリンを活性炭を詰めた容器の中へ送るための経路と、インテークマニホールドへ送るための経路(配管)を持ち、後者の経路にあるのがパージバルブです。パージバルブが開閉することでその気化したガソリンがインテークマニホールドへ送り込まれます。

対策方法は両方とも新品部品へ交換すること

チャコールキャニスターの活性炭がパージバルブへ回り、パージバルブの根詰まりを起こすことがあります。この時、パージバルブだけで交換してもチャコールキャニスターがまた詰まりを起こす可能性があるので、チャコールキャニスターも同時に交換します。

原因その7:プラグコードやスパークプラグなどの不調

プラグコードおよびスパークプラグとは?

©Nata Studio/stock.adobe.com

プラグコードとスパークプラグはどちらも燃焼行程のうち「燃焼」の過程に必要なパーツです。スパークプラグはピストン運動によって圧縮された混合気に点火する役割を、そしてプラグコードはスパークプラグに電流を供給する役割を果たします。

しかし、これらはどちらも消耗品で、適切に機能していないとハンチングの原因になることがあります。ハンチングが起きていないにせよいつかは交換しなければならない部品ですので、気になった時や中古車を購入した際などにはまとめてリフレッシュするのがおすすめです。

スパークプラグの確認やプラグコードテスターを使う

これらの対策としては、装着されているスパークプラグを取り外してその消耗量を確かめたり、プラグコードテスターを使用してプラグコードの通電を確認すると良いでしょう。

ハンチングを自分で修理することは可能?

これまで説明したようにハンチングの原因は多岐に及ぶため、自分で修理するのに難易度が低いものがあれば、逆に難易度の高い(揃える工具や作業の手間がかかる)ものもあります。難易度も車種によって難易度が変化する場合も。

しかし、車両をジャッキアップせずとも着手できる部品が多いので、自分でやってみる価値はあるとも考えられます。その際には一度サービスマニュアルで交換時の手順、特にECU絡みでリセット(再設定)が必要なところがないかどうか確かめましょう(スロットル・バルブは必要なケースがほとんど)。

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執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。

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