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DCTとは?仕組みと構造、メリット&デメリットを解説
DCTのメリットとデメリット
ATより加速性能と燃費がよい
一般的なATは、トルクコンバーターと呼ばれる装置でスムーズな加速と変速を可能にしていますが、構造上滑りが発生してしまうため伝達効率が悪く、MT車よりも燃費が悪くなります。アクセルを踏み込んでから加速が始まるまでの間にタイムラグも生じてしまいます。
一方でDCTは、トルク抜けを最小限に抑え、高い伝達効率を実現しました。変速ショックが小さくなったことに伴い、加速と燃費も向上しています。
ダウンサイジングターボエンジンとの相性がよい
ダウンサイジングターボは小型のターボを採用することでターボラグを改善していますが、実はDCTの素早い変速で加速時のターボラグを気にならないようにしているケースがあります。
これはダウンサイジングターボ車が多い欧州において、DCTが注目された理由のひとつでもあります。
ダウンサイジングターボとは?メリット・デメリット|ハイブリッドカーと比較
MTに比べてコストが高い
MTが人力で行う変速を自動で行うDCTは、その分部品点数は多くなり、コストも高くなります。MTに比べて重量も重くなります。。
CVTに比べて発進時のギクシャクが大きい
DCTの発進時は、MT車と同じようにクラッチ操作が入ることでギクシャクしてしまいます。CVTのようなスムーズな加速フィーリングを得られない場合があるため、渋滞などではやや違和感を感じてしまうかもしれません。
クリープ現象がないDCT車もある
DCTにはATのようにブレーキを離しただけでゆっくり加速する「クリープ現象」がありません。そのため、渋滞で少しずつ進む際や駐車の際は、AT車に乗りなれていると苦労するかもしれません。
しかし、このATとDCTのズレを解消するために、最近は疑似的にクリープ現象を再現した車も多くなっています。以前よりはATからの乗り換えでも、自然な運転ができるようになっていると言えるでしょう。
プロドライバー顔負けのシフトチェンジ?
DCTのシフトチェンジはプロドライバーでも不可能と言われるくらい、素早い変速を可能にし、MT車の方がAT車よりも加速が良いという概念は覆されることとなりました。
フォルクスワーゲンやアウディなどの欧州コンパクトカーに採用されたことでも、一躍注目を集めたトランスミッションといえます。
DCTがシェアを拡大できなかった理由
現在、DCTはメインのトランスミッション機構方式とは言えなくなっています。
欧州ダウンサイジングターボの普及に伴い、2010~2015年ごろまでは「今後のメインのトランスミッションになるのでは」と話題になり、日本車へも導入が進みました。
しかし現在では、トルコン付きの無段変速機(CVT)やトルコン付き多段式AT(8速AT、10速ATなど)の採用により、DCT車はマイナーになりつつあります。
DCTがシェアを拡大できなかった理由は、クラッチ操作特有のギクシャク感やコストがかさむという点が、デメリットとして目立ってしまったためと思われます。
スポーティな素早い変速や燃費性能、発進のスムーズさなどは、他のトランスミッションや他機構によっても実現できるため、あえてコストをかけてDCTを採用するメリットがないのです。
しかし現在もルノー トゥインゴなど一部のモデルに採用されています。DCT特有の乗り味が好きというかたは、採用車を探して選んでみましょう。
その他のトランスミッションについてはこちらの記事で解説・比較しています。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...