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2ストロークエンジンとは?メリットやなぜなくなったのか解説

1ストロークで2つの行程を同時に行う「2ストロークエンジン」

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もはや多くの自動車は4ストエンジンを搭載している
©happycreator/stock.adobe.com

現在では、クルマでもオートバイでも使われなくなってしまった「2ストローク(サイクル)エンジン」かつては“理想のエンジン”とも言われたのですが、いまや作業機械の世界からすら消えようとしています。

2ストロークとは、ピストンが上がって→下がる、つまりピストンが2度ストロークするという意味です。これでクランクシャフトが1回転します。この1回転する間に、燃焼行程を1回済ませます。上がる時に「圧縮」と「掃気」、下がる時に「燃焼」と「排気」を行うのです。

これに対し、現在の主流である4ストロークエンジンの場合は上下運動を2往復するため4ストロークとなり、1回目に下がる時に「吸気」、1回目で上がる時に「圧縮」、2回目下がる時に「燃焼」、そして2回目上がる時に「排気」を行います。

つまり、4ストロークエンジンが1ストロークで1回の行程を行っているのに対して、ストロークエンジンは1ストロークで2つの行程を同時に行っているのです。

2ストロークエンジンのメリット、デメリット

マフラー
@Kentaro Hayashi/stock.adobe.com

2ストロークエンジンの利点は、まずこの燃焼行程にあります。1回転する内にすべての行程を終えるため、非常に効率的です。そして発生するパワーも大きく、瞬発力にも優れています。

またシンプルな構造ゆえに軽量化が可能で、自分でメンテナンスすることもできるというメリットがあります。

また構造上、4ストロークエンジンはピストンの上に燃焼室を持ち、その上に吸排気バルブを持ちます。前述の通り、各行程は完全に分離して行われ、バルブも吸気と排気で同時に開くこことはありません。

一方の2ストロークエンジンは燃焼室の横に排気孔、クランクケースの横に吸気孔があります。4ストロークエンジンとの大きな違いは、クランクケース内と燃焼室脇の掃気孔にも混合気を通すことです。

排気する際の掃気孔はピストンヘッドで塞がるため、排気ガスに混合気が混じじることはありません。しかし、掃気する時にピストンが下がって掃気をする時に、燃焼室には混合気と残った排気が混じり合い、未燃焼ガスが僅かに排気されてしまうのです。

これにより2サイクルエンジンでは排気煙が多く出たり、未燃焼ガスに含まれる有害物質が4ストロークエンジンよりも多く排出されてしまうのです。

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排気ガス規制により徐々に姿を消した

ジムニーSj30
2代目 ジムニー(SJ30型)

4ストロークエンジンの場合は、1行程ずつが別々であり、また吸排気バルブぞれぞれの高精度な制御が可能であることから、排気ガス対策が2ストロークよりも容易と言えます。一方、2ストロークは混合気の流入経路が複雑で、吸排気の出入り口は「孔」であるため、エンジン内での排気ガス対策が難しくなります。

クルマでは、1987年まで発売されていたジムニー(SJ30型)までは2ストロークエンジンが採用されていました。かつての軽自動車は360cc、550cc時代に2ストロークエンジンを使っていたのです。

しかし、1973年から始まった段階的な排気ガス規制により、CO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の低減に迫られました。

しかし、昭和53年に施行された昭和53年排ガス規制の達成目標は、360ccエンジンではほぼ不可能なものでした。そこで軽自動車規格が550ccに排気量アップされます。各社は様々な技術で有害物質低減に取り組みましたが、規制数値を達成できても実用性に乏しいエンジンとなるため、結果的には4サイクルエンジンに移行せざるを得なかったのです。

オートバイでは90年代まで2ストロークエンジンが使われていました。燃焼ガスの経路に電動の制御バルブを設けることで、排気タイミングを可変させるシステムなどで環境対策を図りましたが、結果的にはクルマと同じ結論に達し、すべての市販オートバイが4ストロークエンジンに転換されました。

現在でも草刈り機やブロワーなど作業機械に2サイクルエンジンが使われていますが、こちらも年々排ガス規制が厳しくなっており、電動化への転換が進んでいます。操るフィーリング、そのパワー感に魅力が詰まっている2ストロークエンジンですが、旧車を除けば、まさに絶滅種なのです。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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