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全損とは?基準や買い替え費用はどうなる?車両保険の補償範囲

全損車を修理できる?

全損として保険金を受け取ればそれを資金に新たに車両を購入できますが、人によっては全損にせずにそのまま修理して乗りたいと感じる人もいるでしょう。ここでポイントになるのは、どのタイプの全損に該当するのかということです。

先で紹介した通り全損の定義は様々で、全損車によって修理できる場合とできない場合があります。

例えば、修理費用が車両保険の上限を超えたことを理由に全損とする場合。保険金の受け取りと引き換えに、自身が持つ車両の所有権は保険会社へ移行されるため、車を修理して乗り続けることはできません。

©Marina Gordejeva/stock.adobe.com

しかしこの理屈で行けば、修理代の見積もりが車両保険の上限を超えたとしても、車両保険を使わずに実費で直せば問題ないことになります。

また、車両盗難で車両が手元に戻ってこなかった場合も修理不可です。

ただし、車両の一部のパーツが盗まれた場合、例えばホイールやステアリングホイールの盗難被害に遭った場合には「全損」にはあたらないため、車両保険の補償対象となります。

保険を使って修理すると等級が下がる点にも注意

基本的に車両保険を使った時点で、ノンフリート契約者なら保険の等級は次回契約更新時に下がります。

この場合、等級が1つ下がる場合と3つ下がる場合に分かれます。盗難や飛び石などで保険を使った場合には1等級下がります。それ以外の事故でノーカウント事故に該当しない場合には3等級下がる仕組みです。

自身の過失割合が0の交通事故の場合を除き、全損になって保険料を受け取った時点で、次回契約更新時に等級が下がることは間違いないしょう。

備えて安心!全損時に使える特約

車両全損時諸費用保険金倍額払特約

全損時に車両保険の保険金額に追加で保険金を支払うというものです。

全損扱いにして保険金を受け取ったとしても、実際に購入するとなれば車体価格と各種手続きに諸費用が発生します。この特約を使えば車体価格以外の費用の補填ができますので、手元の現金を残しつつ次の車に乗り替えることができます。

車両保険とセットになって付帯されるのが一般的です。この場合、支払い上限を20万円として、車両保険額の10%にあたる金額(あるいは10万円のどちらか高い額)が支払われます。

「全損時諸費用再取得時倍額特約」や「車両全損時諸費用保険金倍額払特約」などの名称が付けられているものは、付帯すると支払い上限が倍になります。

弁護士特約

交通事故の損害を賠償請求する際に掛かる、弁護士費用や関連費用などを補償する特約です。

相手方保険会社や事故当事者が提示した示談の内容に納得できなかったり、そもそも相手が任意保険に加入していないといった不測の事態に遭った場合に効果的な特約となっています。

自身が加入する保険会社が関与できない場合(例えば貰い事故や過失割合が10割相手方にある事故)にはまさに「命綱」です。

弁護士特約の費用負担には上限があります。

  • 交通事故相手方への損害賠償請求費用:1回の事故につき1名あたり上限300万円
  • 弁護士への法律相談費用:上限10万円(法律相談費用補償特約)

弁護士特約は自動車事故のみを補償するものと、自動車事故に加えて日常生活の事故を補償するものの2種類に分けられます。全損対策だけをするのか、あるいは日々の生活に潜む危険に備えるのかなどを考えて付帯するタイプを選ぶと良いでしょう。

【注意】全損しても車両補償を受けられないケース

任意自動車保険に加入していて、なおかつ車両補償をつけていたとしても、全損したときに車両補償が為されないケースがあります。

全損時に飲酒運転をしていた場合

©ALF photo/stock.adobe.com

その代表的な事例が飲酒運転です。飲酒運転で交通事故を起こした場合、対人・対物補償は被害者保護の観点から支払われますが、車両補償や傷害補償は対象外となります。

つまり車が全損になったり怪我をしても、何も補償されないということです。先ほど紹介した車両全損時諸費用補償特約なども同様に無効となります。

消耗品の破損時や故障時

車両保険は部品の消耗やただの故障によって生じた修理代の補償を行いません。エンジンやミッションが壊れて(故障して)も車両保険を使えないということです。あくまでも交通事故で生じた破損のみです。

なおこのようなトラブルには新車保証や認定中古車の中古車保証ですので、心配であれば別途対策しましょう。

このように、車両保険に加入したとて、いざ事故があったときに納得する保険金を必ず受けられるとは限りません。車両保険の仕組みや、いざ相手のいる交通事故に遭った場合などに懸念される問題の対策方法を用意した上で加入しましょう。

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執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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